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最前線  作者: TF
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Dead End ユ キ・サクラ (47)

とはいえ、意識外の攻撃はくるものがあるよね!突然の不意打ちによって、心臓がバックバックっと大きな大きな音を奏でている!心音が耳まで届いているよ、びっくりしたぁ…

心音を落ち着かせ平常心を勝ち取るために、何度か、隣に居る人に気づかれない様に深呼吸をする、私は何時だって平常心ですよ?っという大人の余裕を見せる為に。

心臓の音を落ち着かせていると、ふと、気になる点が?あれ?私が予想していたのとは違ってる?これは、確かめておかないと今後の動きに影響が出るかも?

ちらっと隣を見ると、先ほどの発言が至極当然、日常的な会話と言わんばかりに平常心で、何時もみたいに遠くを見ている。視線の先はいっつも、お星さま?

澄ました顔をしている人に確認を取る様に声を掛ける。

「えっと、もしかして、ユキさんが表の時の記憶って」

「ある程度は、把握しているぞ、っていっても、ユキが夢の中で俺に語ってくれたこと、共有してくれたことが主だがな、知らないこともあるよ」

視線を天空からそらさず、さらっと、自然体で答えてくれる。この雰囲気で嘘をつくような人じゃないし本当のことなんだろうね。

言葉の通りであれば!普段から、お化粧してたり、おしゃれしたり、とかってのを、ユキさんが目撃していたら、そういうのも、見られていたってことになる?


…思い返す、お酒の席での出来事

…思い返す、日々の業務に追われながらも何時如何なる時も妥協せずに自分が好きな服を着続けてきたこと

…思い返す、貴族に売り出す為にお母さんと一緒に開発しているお化粧品を試す日々…それらを、見られていたって事、だよね!?



あっぶなー!普段からおしゃれしててよかったー!!美容関係に力を入れててよかったー!!

可愛くない所、見られなくてよかったー!!はぁ~っぶっねぇ!お母さんが常日頃から美に対する意識を持っているのってこういう事だったってことか!こういう意味があったのか!!はー、学びって唐突にくるぅ~…


「前にも言ったと思うが、ユキのやつは、ほら?女の子だから、そういうのに敏感なんだよ、そういう話題ばっかりさ」

優しく私の唇に触れるか触れないかの距離で唇に向かって人差し指を向けられる。

そっか…そう、だよね。ユキさんの心がお年頃の女の子って考えれば、お化粧とか気になるよね…

気になるけれど、自分自身の体を見て、前に進めていないってことだよね?だって、男の体だからお化粧とかお洒落とか、出来ないし、誰かに見られるわけにもいかないよね。

したいことが出来ない、なのに、ふと視線の先に、私の様な小さな女の子に見える人が一生懸命に、大変な日々を送っていても、おしゃれに気を使っている、お化粧もしていると嫌でも目にとまっちゃうよね。

自分がしたいことを、誰かがしてるっていうのを目の当たりにするのってさ、辛いよね。私、知らない所、気が付かない所でユキさんを傷つけていたのかも?


そっかぁ、気を付けよう…じゃ、なくない?

…こればっかりはどうしようもなくない?おしゃれをしないといけないんだもん!

…お化粧とかって面倒だなーって、思う時もあるんだけど、取引に行く際に奥様達にお会いする時って絶対にあるんだよね!そういうときに会話の流れとかでどういうお化粧とか、どういうお肌のケアとかしているのかって話題が出てくるんだもん!これも、営業の一環なんだもん!仕事なの!っていうのを、今度、ユキさんに伝えようかな?でも、素直に受け止めてくれないだろうし、何で、その事を言うの?ってなるかー、今じゃねぇなぁ…デリケートな話題ってタイミング超重要!!

頼まれているユキさんの心のケアに対して、どの様に注意していこうかと思案していると

「深く考えなくてもいいさ、君の仕事をユキのやつは理解している、それにな、ユキのやつが、いつも楽しそうに語っているよ、姫様はお洒落で、綺麗で、何時だって可愛いって、着飾って外で貴族たちの社交界に出ているって思っていたみたいでな、君の事を、何処かの国からやってきた、本当のお姫様だと思っていたみたいでな、楽しそうに語っていたよ、実は違ってたーっとね、最近のユキの話題は何時だって君の事だよ。君の事を楽しそうに語ってくれる、頼んだことを叶えてくれて、ありがとう」

そっと、私の頬に手が添えられる!?やばい、どんな表情したらいいの?落ち着いた心臓がまた狂ったように叫び始めてるぅ…

「時代は変化していくものだね、化粧も変化していくんだな…これって、頬紅っていうのかな?それも凄く綺麗だ…忙しい君に頼りっぱなしで本当に、感謝の言葉しか出てこないよ、ありがとうな、妹を気にかけてくれて」

てっきり、頬に手を添えられて見つめられるのかと思ったら、頬紅が気になったのかな?はぁふぅ、心臓が痛い…

っていうか、そのまま、流れる様に、頭の上にまで手が伸びゆっくりと優しく頭を撫でられてしまう…

あーだめ、これだけで頭の中が真っ白になっちゃう、何でもないのに感情が溢れ出るように、涙が溢れそうになっちゃう。


高鳴る鼓動を抑える術を知っているつもりでいた、でも、取引とかで感じる緊張とは完全に別物で、高鳴る鼓動は留まることを知らない!!

感情が表面に溢れ出ない様に、なるべく、なるべく!心を穏やかに冷静に!経験豊富な大人っていうのを演じたいのに、無理ぃ!!


会話の流れをコントロールするなんて余裕も無く、流されるままに、彼の動きを見つめ続ける事しか出来ない。

「君のおかげで、ユキのやつの表情が明るい、ここ最近ずっと、ずっと…曇った様な表情をしない。子供達もそんなユキを見て嬉しそうにユキと遊んでる」

えっと、確か、ユキさんの心の中にいる、遊び相手だっけ?…どうして、子供?深層心理で友達が欲しいっとか?かな?

「最近は、子供達と遊ぶ内容が、ちょっと物騒なのが気がかりだが、こればっかりは、しょうがないと思っているよ、どんな内容かって?獲物を追いかけるような遊びさ。大昔から猟っというのは、男の子達で嫌いなものはいないっと思っているから良しとしているよ、俺だって小さなころは猟に出ることが多かったからな、そういうのは理解がある方だ」

今では猟なんて、無いに等しい、完全にいないわけじゃないけれど、王都周辺では目撃する方が稀かな?…昔は、野生の動物達も数多くいたんだろうなぁ…

「ずっと見てきたから、わかるんだが、たぶんだけど、ユキが、子供達と遊ぶ内容を選ぶときっていうのは、自分が見て経験してきたこと、感じてきたことが、夢の中にフィードバックされているのだろう、つまり、騎士としてひとつ成長したのだろうな、今まで何かを傷つけるような遊びは絶対にしてこなかった、他の生き物を傷つけることに抵抗があったのだろう、それじゃこの先、やっていけないだろうと心配していたのだが、心構えが出来たのだろうな、自分が、この街の騎士として生きる。という心構えが…他の生き物を殺してでも守るべきものがあるのだという、覚悟が芽生えつつあるのだろうな」

我が事のように、自問自答するかのように語る彼の姿に見惚れてしまい、真っ白になった頭は、極上の絵画を見るような感覚で見つめ続けてしまう。

彼の慈愛に満ちた優しそうな微笑み、整った顔立ち、まつ毛も長くて、瞳も凄く綺麗で、中性的な雰囲気が絵画のように綺麗…


始祖様の絵画を見た時よりも…目の前の人の方が美しく感じてしまう。


こんな安らかな時間があってもの良いのだろうかと、何も悪い事なんてしてないのに、罪の意識が芽生えそうになる。

悪くも無いのに彼に懺悔し縋りたくなってしまう…ただただ、私は目の前にある美術品を眺めるだけで、心が浄化されていくような…満たされていくような感覚に包まれ続けていたい。


惚けるように蕩けていると、すっと、頭から手が離れる、ぅぅ、もっと触れて欲しいっていうのは我儘なんだろうなぁ…

「さて、君のおかげでユキの心は陰ることなく、あいつらの干渉からの影響も気にせず過ごせている、その影響もあってか、今日は満足そうに熟睡しているよ」

トントンっと胸を叩いて、ユキさんのことを教えてくれる。その意味することが何を意味するのか、惚けている私では直ぐに答えに辿り着けなかった。

「そういうわけで、今日はゆっくりと話すことが出来る、聞きたいことがあれば、何でも聞いてくれ、サクラの方が俺よりも賢いから、俺が気にしていない事でも何か気になるっ事があったりするだろう?」

その言葉の意味を理解した瞬間、我に返る!

これ、たまに私がやる手法じゃん!自分自身では気が付いてない事でも同じ風景を見た人が何か気付いているかもしれないっていう、部下を試すやつじゃん!


惚けていて蕩けていて完全に我を忘れてたよ!!なに?なにがある?…考えろ!前準備は主に報告だけで、質問なんて考えてもいなかったよ!?

慌てて思考を巡らせようと気持ちを切り替えるのだが…直ぐには思い浮かばない、だって用意してなかったんだもん!


どうしようと、慌てたふためき、心に投げかけていると、【敵からの干渉っとは?】っという、疑問が湧き上がる!きっと未来の私からのパスだろう!助かるぅ!!


その事について、質問をしてみると勇気くんも忘れていたのか思い出したような顔で此方を見てくる

「あー、そうか、まだ、説明して、いな…かったか?魂の同調で此方の全てが伝わっていると思っていたんだが、そうか、上手い事いかなかったんだよな」

うん、此方の伝えたい情報は伝わったと思う、けれど、勇気くんからの伝えたい情報はあんまり伝わっていない、の、かな?

勇気くんの心っていうか、人となりだけは伝わってきたような気がしたけれど…たぶん、封印術式が変に干渉して同調できなかったんじゃないかなって、少し冷静になった今田らこそ答えに辿り着く


この質問をどう表現したらよいのかと、悩みながら、言葉にしようとしてくれるのだけれど、こういう事への言語化っていうのが、苦手なのか、たどたどしく?言葉を探しながらゆっくりと、敵からどの様な干渉が起きているのか、それと自分たちの置かれた状況を含め説明してくれる。


まず、第一に、ユキという魂は、ある儀式を成功させるために保険として用意するために植え付けられた魂っだと、俺は感じている。

└たぶん、これって、叔母様と深く関わる事だと…思う。

 たぶん、だけど、王都を死の街にするために必要ないけに…触媒にする為じゃないかな?

 魂が条件なのか、ユキさんの肉体が触媒として条件を満たしているのかは、わからない。


その儀式が未だに発動しないっという事は、何かしらの要因で失敗に終わったのだろう、もしくは、この街でその儀式をするためにユキの心へと干渉を開始し、心の平穏を削りに削り、ユキの心を搔き乱しているのかもしれない。


考えられる事としては、儀式以外にも、まだ役割があるのだろう。役割が無いのであれば、執拗に干渉してくる理由が無い。


魅了の魔眼、その主な役割は、俺の推測だが、ユキが死なない様にって役割があるのだと思っている。

何かの儀式を発動させるために必要な存在を失うわけにはいかない、かといって表だってユキを守るわけにもいかない、ゆえに、誰からも危害を加えられないように、ユキと言う存在を間接的に守るために、用意されたのが、魅了の魔眼…だと、思う、そもそも、あの家系に魔眼もちがいるなんて、そんな話を聞いたことが無い。

自然発生したにしてはユキも、俺も、この魔眼を自在に扱えれる自信が無い、そもそも、ユキは自分の体にそんな機能があることなんて考えたことも感じた事も無い。

今は、出来る限り、破邪の力で抑えようとしているが、抑えれているのかわからない。


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