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最前線  作者: TF
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Dead End ユ キ・サクラ (46)

天空で私達を見守り導いてくれる神聖なる月は顔を隠し、月の代わりに私は、小さなされど、大きな眩く輝く生命、星々の輝きに見守れ、明日を憂う。


なーんって、ね!

新月の夜にしか会えない、その、うん、まぁ、ね?うん、たた、大切っというか~、た、楽しみ?うん、楽しみにしている人物がやってくるのを…待ってる間、暇だから…恋する乙女みたいな?お母様が日記に書いていたような?詩的なことを考えてみたりもしたけれど?…私にはお母様達みたいな才能は無さそうかな~、心の表現を文字で表現する、お母様のように上手い事、表現できそうもないや。


私って?ほら?文系っていうよりも理系だから?そういうの?苦手だし?別にいいし?何かに書き起こす事なんてしないし?


詩とか、文才っていえばね、王都でたまーにそういった本職の人である、吟遊詩人の人?が、広場で歌を歌っているのを聞くときがあるんだけどさー、王都の子供達に人気なのが武勇伝なのかな?勇ましい話ばっかりでさ、恋物語とかそういうのって、滅多に聞かないからなー、かといって私も英雄譚が好きだから、そういう絵本ばっかり読むんだよね、だからね~、貴族の奥様や、文学少女の恋物語って言う、表現の仕方ってのが、よくわかんないんだよなぁー。


お母様の日記にはね、ある一定の期間の殆どが、お父様の事を書いているんだよね~、余りにも表現が誇張し過ぎだってのって感じだから殆ど読み飛ばしちゃった。

何となく覚えているフレーズもあるよ?誇大表現、酷過ぎるよ?だって、あんなハゲデブがさ、暗き世界に囚われた黒き世界、一つの白き点を救い上げた知恵ありし輝く賢者っとかって感じで、表現されていたけれど、誇張し過ぎじゃない?って、バカにしてた時期が私にもある!…認めたくないけれど、今なら、その、そういった表現もわからないこともないなぁって、感じてしまう部分も否定できない!


覚えている範囲でのお母様の日記を思い返してみるとさ、あの時のお母様って、たぶん、かなり若い頃に書かれたであろう日記だからさ、王族と教会に管理され監視される日々、若き頃は常日頃、将来について自由が無く希望も無い、不安に包まれていたんだと思う。

あのどうしようもない、自分勝手で何を目標としているのかもわからない頭カッチカチで愚かな王族に管理されてさー、血筋がどうのこうのって理由で、好きでもない人と交わって、好きでもない人の子を残さないといけない…


教会と王族の考えだけで生かされて、自由も無く…


私達って物凄く短命だからさ、当然、子供が絶対に産まれるわけでもない、一時は増えた一族も、じわじわと減っていく…始祖様の血を受け継ぎ、始祖様から特別に可愛がられていたルの力に目覚めたであろう白き短命種。


気が付けば、残された同族は年齢が近い姉ただひとり…


残り二人となった王都の歴史を象徴する聖女という古き宗教的柱、減っていく柱に王族も教会も不安を感じていたのか、それとも、始祖様を柱にして新しい宗教へと塗り替えたくて数を減らされたのか…真実はわからない。その流れによって、教会の中でも、新しい宗教的柱として始祖様を掲げる一派が増えてきていた。

教会の始まりの教えを説いた聖女様の教えを忘れるわけにはいかない、始まりの柱を変えたくない、そういう聖女一派としても、残された二つの柱を教会が望む聖女へと育て政治利用したいという思惑もあったのだろう。


それゆえに、姉は聖女として活躍することを望まれ、教会の教えを魂に刻み込むほどに厳しい教育を受けていた。


お母様の日記にもただ一人の姉の事を心配している様子が書かれていた。

親愛なる姉は苦悩の日々を送り続けている、清くあろうと清くあれと心の自由を封じらえている、外では自由に子供達が泥だらけになっているのに、私を守るために、聖女としての職務を一身に受け、私の代わりに、表舞台に出る事を選んだ…親愛なる姉は私に語ってくれた、聖女として、いいえ、教会の中で誰も文句が言えない程に、偉くなり。私を…自由にさせるようにしたい。…みたいなことが書かれていた。


妹を消えゆく運命、不自由な世界から解き放ちたい、その一途な願いが、ある地方の領主に伝わった。

その領主っていうのが、この大地で唯一、ルの力に目覚めた人物が自然に生まれた大地…その周辺土地を代々守り続けてきた領主の耳にはいった。

領主としても、代々受け継がれてきた紡いでて来た、村として重要なルの力に目覚めたものを奪還したいという想いはあり続けたみたい、そんな時に、若き頃のお父様が知略を巡らし、策略の末、お母様を王族から、教会から、解放することが出来た。


解放した結果、お母様の存在は、王族達の間では死んだことになっている。

つまり、私は…死んだ人が産んだ子っと、なる。


なので、ルを名乗ること、教会が教え伝えてきた聖女の証しイラツゲを名乗ることは…本来であれば許されることじゃない。教会としての教えなんて私は知らない。いや、知ってるけど、知らない!教え伝える気なんてない!…犠牲を強いる考えは間違っている、から。初代聖女様には申し訳ないけれど、歪に歪んだ教会の教えは間違っていたよ。


だからね、私は、ルでもなく、イラツゲでもない。

だた一人の短命種、消えゆく運命の滅びる個体…唯一、始祖様から加護を与えられた悲しき運命の果て…サクラとして生きて行かないといけない、って思ってた時期もあったんだだけどさー、どうしようもない状況に陥りそうだったから、名乗り上げたんだよな~…未来からの助言じゃ無視するわけにもいかないじゃん?


その結果、あの結末は回避することが出来た、朧げだけれど、私の中に眠っている悲しき運命、愛する人が穢された悲しき死の道…それを回避することはできた。


…時折考えてしまう、ルっとは、何か?

…私が生まれ育った大地で突如現れる、ううん、突如目覚めるが正解かな?


ルの力に目覚めたもの、ルの力を導くもの、そして、ルを冠するという事はその力をもって民を豊かにしなければいけない。


私が生まれ育った土地では、そういう言い伝えがあるって教えてもらった。

過去には、ルを守るための戦士という役割とか、ルをお世話する人とかも居てたみたいで、そういう役職を持っている人もルって名前が与えられるみたい。


力に目覚め、民を導き、民を豊かにする一族、それらを一括りにしてルの一族、または、村で役割を得たもの、役職を得たものって意味あいがある、だったかな?


初代聖女様が死んだ後もさ、当然、あの大地では、突如、ルの力に目覚めたものが生まれ出ることがあった、幼き頃に真っ白な髪になると力に目覚めようが目覚めなかろうが、教会が何処からか嗅ぎ付けてきてさ、攫って行くんだよね…同意の下っとか言うけれど、当時の人達からすれば大切な娘が強引に奪われていく感じだったろうなぁ…


強引に連れ去られた、白き短命の少女は、初代聖女様の威光を消させないため、教えを繋いでいく為に宗教的柱として利用するために教会に連れていかれたって感じで、教会としても失うわけにはいかない柱として白き短命の少女を強引に連れ去っては、聖女として、称え祭った。って、記載されているけれど、内情を知っていると全然!敬ってないって感じが伝わってくるんだけどね!


強引に交配させられ、白き少女から産まれる子供の多くが…その運命を背負って生まれてきた…


私も…同じ…変わんないよ…お母様が白きルの運命を生きたように私を産み、白き運命を私へと繋いだ。


教会と王族の管理の下、私達、白き短命種は徐々に数を増やし、一定の数まで増えることが出来たらしい…

だが、誰一人として短命という、悲しき運命を乗り越えたものはいない…


私を除いて…

いいや、違う、私も短命種だ、封印術式を施さなかったら、ううん、私が始祖様の加護を一人で受け止めているから、ううん、違う。


最高の良き理解者、私を支え続けてくれた愛するお母さん…ジラさんが居たから、今を歩むことが出来ている。


共に研究を重ね、私の体から魔力が抜け出ていくっという症例を発見してくれた、今ではその症例にも名前が付けられている、魔力枯渇症っという名前で。

ただ問題があるとすれば、それを完全に治す手立てが未だに見つかっていないってこと。


私と同じような苦しみをもって生まれた人が他に居ないってのもあるから、研究が進まない。

っていうか、封印術式と、魔力譲渡法さえあれば、何とかなるから問題は無いと思っていた…


でも、封印術式には欠陥がある、それは、体の成長も封印し、更には病気やケガなどを治す働きも弱めてしまうって事、後、問題があるとすれば、触媒に魔力を豊富に含んだ血が必要だったり、術式がどこから発祥したのかルーツを知られると断罪されることっかな?…後は、憶測だけれど、体の成長を阻害しているってことはさ、当然、子供を宿したとしても…っということになるよね?


…考える迄も無い、よね…望んではいけない…


でもね、仮に封印術式を解除すれば、それを望めるんじゃないかって考えたこともあるよ?

でもね、私に施された封印術式を解除すれば、たぶん、私の時計の針は急激に進んで、即座に死に至ると思う…だから、子供は諦めた。完全、に、ね…


…恋を知るまでは、私と同じ短命というデメリットを繋ぐ必要なんて無い、そんな遺伝子を残す必要なんて無い、ルの力に目覚めたなんて大それた理由があるけれど…

ルの力って具体的に言うと何だよ?ってなる、正直に言えば、私ってさ、誰も持っていない様な、初代聖女様が起こした奇跡、そんな感じの特殊な能力なんて無いって思ってるよ?


あるのは、引き継いだっていうか、与えられたって言うのかな?

始祖様が私達の運命を憂いて自身が愛用していた槍を触媒にして、術式に変換して遺してくれた寵愛の加護だけ…


初代聖女様の様な奇跡なんて、私は起こすことが出来ない。


私としての考えとしては、ルっていうのは術式に対して理解力が高いだけの才能だと思っている。

初代聖女様が特異点なだけで、彼女だけが特別な才能を持っているんだよ。


だって、お母様も、叔母様もルの力、聖女様の様な奇跡なんて出来ない。


お母様はともかく、叔母様は私と同じで術式について非常に理解力が高い、その影響を受けてお母さんも苦手だった術式に対して理解力が深まっている。

そこから導き出される答えって、そういうことでしょ?ルっていうのが、術式に対して適性能力が他の人よりも秀でているってだけじゃないの?


…たった、それだけで、短命種としての運命が押し付けられるんだよ?メリットよりもデメリットの方が重すぎると思わない?って感じだよね!


「よかったら、これでも飲んで眉間の皺をとってもいいんじゃないか?待たせてしまったみたいで申し訳ない」

ついつい、私達、白き短命種の呪いのような運命に対して怒りを覚えていたら、優しい声と共に手の甲に冷たくて硬い感触が伝わってくる。

驚いたように隣を見ると、申し訳なさそうな表情で勇気くんが隣に座っている!


何時の間に来たんだろう!?っていうか、考え込んで気づかなかった!っていうか、違う違う!勇気くんが遅くなったから怒ってたんじゃないよ?

慌てて、冷たい瓶を受け取り、考え事してたの!勇気くんが遅いから怒ってたりして無いからね!っと、怒っていたことに対して弁明をすると

「なら、よかった、レディを待たせるのは、良くない事…だから、ね」

言葉に詰まりながらも、こっちをじっと見つめてくる?なんだろう?おかしな部分あるかな?変な部分あるのかな?まだ怒ってるように見えるのかな?

「今日も、綺麗で可愛いね、その紅は…うん、見たことが無いね、淡いピンク色で君に凄く似合っているよ」

唐突に、流れる様に褒められると一気に体温が熱くなっていくのを感じる。

慌てて燃えてくる体を鎮める様に、彼から受け取った瓶の蓋を開けてごくりと喉に流し込む。


急激に火照っていく体に冷たい水が流れ込んでいくのが、凄く心地よかった。


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