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最前線  作者: TF
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Dead End ユ キ・サクラ (40)

待っている間に、先ほどの鹿を殲滅した作戦の流れを新兵達に説明していく


鹿の行動パターンや、どの様な攻撃をしたらどの様な反応をするのか熟知したうえでの作戦だという事を伝えていく

説明を終えるころには獲物を運んだ騎士が戻ってくるので、直ぐに行動を再開する、目指すはカジカさんが居なくなってぽっかりと空いてしまった巡回ライン

っていっても、他の部隊にも通達が出てるから、穴が開かない様に取り組んでくれているだろう


それでも、鹿が一機、抜けてくるってことはさ、相当な数が攻めてきたって考えるべきだよね。


奥へと進んでいくと、直ぐにまたはぐれたのか一機の、群をなしていない鹿タイプが、耳を立てて周囲を警戒している

ちょうどいいや、先ほどは練度を高め切った極まった連携を見せたことだし、今回は戦士一人で仕留める方法を披露してもらうとしましょう。


新兵に良いところを見せようと息巻いて失敗しないでよ?っと小声で声を掛けると、ベテランと一緒にしないでもらおうかっと鼻で笑って、認識阻害の術式から抜けて鹿の前に立つと

鹿は突如現れた人に警戒を示す、頭を下げて角を前に出すっという事は、下がって群に戻るという選択肢を捨てたってことになる。

ってことは、はぐれで確定かな?


戦士は落ち着いた雰囲気で敵の仕草を観察する、鹿が臨戦態勢を取る、その姿を見て直ぐに左腕を前に出して盾を構える。


鹿は唐突に、警戒していたにもかかわらず現れた敵意むき出しの人を警戒することなく考え無しに突進してくる、どう考えても罠だろって知恵があれば考えるだろうに…

理由は知らないけれど、推測として鹿タイプってのは、目の前に大きな物を構えられると突進する習性でもあるのだろう。

突進してきた鹿が先ほどと同じように、ご自慢の唯一の武器である頭に生えている大きな角を振り上げ人を突き刺して天空に投げ出すのをイメージしながら向かってくる。


目の前にいる人物の事を何も考えずに考え無しに走るスピードを徐々に速めながら近寄ってくる


盾を構えたまま敵が近距離になるまで構えを解かずに耐え、此方の攻撃できる距離に近づいてきたらすかさず、真っすぐに盾を前に出し、敢えて敵の攻撃を受け止めるように角と角の間に盾をねじ込む。

ねじ込んだら、そのまま盾に飛び乗る様にジャンプすると鹿は重たい装備を持っている人物の重みと衝撃を振り上げるほどの力が無く下げた頭は持ち上がることなく下げたままとなる


つまりは、首を垂れる形になるっということ、そういう状態に追い込まれちゃったら、敵は為す術もないだろうね。


身動きが取れなくなった敵の状態を逃すわけも無く、鹿の頭の真上にいる戦士は、すかさず、取り出した片手剣を敵の首めがけて突きさす!振り下ろした片手剣が首に突き立てられると、鹿は動きを止める。

動きを止めたら、片手剣を抜きながら、首元を切り裂き、地面に足を付けると瞬時に一定の距離を取り敵の動きを確認する。

油断してはいけない、死の大地以外にいる普通の野生の鹿であれば今の一撃で完全に死を迎えているのだが、ここはそういった常識は捨てるべきだ。

ピクリとも動かなくなったとしても最後の一撃を放ってくるやつがいる、それを警戒しつつ、暫く様子を見ると、完全に動きを停止しているので切り裂いた部分を起点として片手剣を振り下ろし首と胴体を別つ一撃を放つ


振り下ろされた剣戟によって鹿の首は胴体と別れ転がっていく…


一連の流れを見送った後は、呆気に取られている新兵達に声を掛ける。

はい、これが手慣れた戦士が鹿を倒すときの一例ねっと新兵達にわかった?っと声を掛けると

青ざめた表情はなく、驚いた表情で頷いている、どうやら、目の前で怪我をした光景は払拭できたかな?恐怖心は無くなったかな?


死の大地特有の嫌な気配は充満しているが、新兵達はこの雰囲気に耐えれてる様子。

信頼していたカジカさんに手傷を負わせた相手。

それをいとも簡単に仕留めたことで多少は、心に余裕が生まれたみたいだし、それをいともたやすくやって見せた人たちが多くいるからこそ安心できているっていう点もあるかな?


これなら、巡回ルートまで進んでも問題ない、かな?パニックを起こされると此方も被害が出るから気を付けて進みたいけれども、その心配は杞憂だったかも?

カジカさんの教育が行き届いているのか、新兵達がこの大地に足を踏み入れても恐怖で膝から崩れ落ちるような事も無かったし、カジカさんの人を見る目を信じて進もう。


巡回ルートに到着すると同時に、少し離れた場所を見ると、白い光が多くいるのを見つける、そりゃ、いるだろうと思ったけれど、こうも…予想通りにいくものかな?

私だったら、この状態に持ち込んでから、敵が現れるのは考えて罠をはる…波状攻撃、横やり、油断したところでの人型ないしは、熊タイプ、虎タイプなどの大型を投入してくる…


って、考えるべきだけどさ、流石に、そいつらの生息エリア外だから、易々と得難い敵に出会う事なんてないっよね?…

そんなあからさまな行動をすると私達が知恵あるモノで何かしらの方法でお前たちを見ているって私に教えるようなものだもの…


警戒心が強い…


あいつらは手札を絶対に見せない様にしてくる、相当な臆病者か、相当な切れ者ってことになる…

読めきれないこの感じ…此方が手札を見せる迄、慎重に行動し隠密し、隠蔽し…虎視眈々と何時如何なる時でも寝首を安全にかくことを狙い定めている感じ…


嗚呼、いやだ、先生の事を思い出してしまいそうになる…先生は死んだ、いるわけがない…

って、思うのが普通だが、勇気くんのおかげで確信がいった…私は、更なる覚悟が出来たよ…



お前たちは、親愛なる先生の魂、もしくは、脳を保持しているだろう?



何処までも何処までも!!死者の魂!人の尊厳を!!ゆるせるものか!ゆるせるものか!!

ぜったいに、なにがあろうと、どうなろうが、おまえたちをころしつくす


突如湧き上がる殺気、明確な殺意を放つと近くにいる近衛騎士が慌てて声を掛けてくる

冷静な私がこうまであからさまに殺気を漏らすことが珍しいのだろう、殺意を抑えることなく近衛騎士を見つめるとびくりと体を跳ねさせてしまう。

「敵を殲滅するよ、カジカさんの仇討ちっていうのも変だけど、あれらは、私達の大切な人を殺してきた奴らの一派だ、根絶やしにする」

その一言で近衛騎士から一粒の涙が零れ落ち、歯を食いしばったかのような音が一瞬だけ聞こえた

「各員!乱戦準備!」

すぐに指令を出すと全員が得意とする得物を手に持ち、声にならない声で応えてくれる。

皆の意思が伝わってくる【応!!】っと、この状況下で声を出すわけにはいかないが、得物を鞘から抜き、呼吸を整え構えた瞬間に…私には聞こえてきたよ。


此方の殺気が向こうにも伝わったのか、遠くで見えた白い点が此方に向かって走ってくる

「タイプ鹿!集団戦用意!古き手順1!術式部隊用意!」

「はい!」

私が育てている術式部隊が、術式を増幅させるための特殊な杖型魔道具の先端を地面に突き刺すと術式を発動させる

これにより、敵の足元、地面が緩やかに揺れたと思ったら、瞬時に地面の一部が隆起する

突如、隆起した地面に足を取られ此方に向かってくる鹿の一団、その先頭が転倒すると後続がそれにつられてもみくちゃになるように転ぶ

瞬時に、次の手札を切る、私が指示を出すまでも無く弓矢部隊が転んだ集団に術譜と発動用の小さな魔石を取り付けた弓矢を放つ

手順としては、弓矢部隊の二人が矢を放ち、着弾する直前位に別の弓矢部隊の二人が矢を放つ

最初に放った弓矢が地面に着弾すると一瞬だけ世界が明るくなる、まだ、昼間っていうか、ボチボチ夕方だけどね。

世界が明るくなったのは火を灯す術譜を放ったからで、今頃、もみくちゃになった場所から火種が育っているだろう

そして、火種が育っている場所に放ったのが小さな小さな…油が入った瓶を取り付けた弓矢

それが火種に着弾することによって緩やかに火が燃え広がる

これによって、もみくちゃにならなかった後続が足を止める、または、迂回しようとする


足が遅くなったり、立ち止まった敵は格好の的ってね!


火を避ける為に慌てて固い頭蓋骨を上げてしまう、そうなると、自然と急所である首が出てくる、当然、急所を無謀に晒した馬鹿どもの喉元には、次々と矢が突き刺さっていく

敵の隙を見逃すほど私達は甘くないよ?私が指示を出すまでも無く練度を極めてきている戦士の一団をなめんなっての。


これで、だいたい8頭くらいは仕留めれた、でも、奥にはまだまだ控えている、火が終息し喉元を射られ地面にのたうっているのを我先にと飛び越えてやってくる勇敢な馬鹿を仕留める為に術式部隊が、次の術式を発動させる


前が良く見えないのに馬鹿みたいに飛び越えてくるやつってのは絶対にいる、何時になっても学ばない、だから低脳だの、雑魚だの言われ続けているんだろうなぁ…


野生の鹿でも多少は学ぶよ?


飛び越えてきた敵が着地する場所に先端が鋭くとがった土の柱を産み出す術式を展開する、通称アーススパイクの術式

産み出された鋭く尖った土の柱が、馬鹿みたいに前方確認せずに本能のままに同胞の屍を飛び越える馬鹿に目掛けて伸びていく。

もう一度言おう低脳で学ぶことを知らない馬鹿どもが…次々と前方を確認せずに飛び越えた結果、己の弱点である柔らかい腹部や胸部を尖った土の柱によって貫かれていく


これにより、敵の半数は削れたかな?


後続にいるであろう敵の出方を待つが、流石に二の足を踏むのかと思いきや…

左右に分かれて走っていく?視線を左右に向けると一瞬だけ遠くで光が反射するのが見えたってことは、あの集団と闘っている私達の姿を他の巡回任務にあたっている別動隊が見ていて、私達が闘う音を聞いて他の獣共が集まってこないか周囲を警戒してくれていたってことかな?

そして、その周囲を警戒していた巡回部隊を鹿たちも見つけたから、それに向けてロックオンして駆け出したって事かな?


ひのふのみっと…後続も左右に分かれて走って行ったのもたったの5頭、敵も馬鹿だなー分散したら戦力も減るんだから勝ち目も薄くなるってのがわかんないんだろうなぁ…

雑魚が5頭なんてね、瞬殺されるだけだっての…馬鹿だよねー


此方に向かってくる敵は無く、左右に散っていった鹿を眺めるとあっさりと駆除されている


はい、これにて、巡回ルートに沸いた鹿の群れは処理完了!

処理完了したので、本来であれば一旦、休憩の為にセーフティーエリアに回収した獲物を運んで息を殺す様に固まって夜を迎えるんだけど、新兵を死の大地で宿泊させるのはまだ早いでしょ?


一旦、セーフティーエリア経由して転送陣で帰還しようかな


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