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最前線  作者: TF
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Dead End ユ キ・サクラ (37)

やることが山積み、もしかしたら私だけ大忙し?って感じない事も無いけれど、私が発案した影響もあって関係各所大忙し!

私達は今出来ることを懸命に、確実に、明日を目指して一歩ずつ一歩ずつ進めている気がする。


んだけどさ!こういう時に限って敵の襲撃って多いんだよなぁ!なんだ?狙いすましたかのように邪魔しようとするのかなぁ!?

ほんっと、ここ最近、敵が防衛ラインを越えようとする動きが増えてきている気がするんだけど?

あれか?私が殺気立っているのが何かで伝わったか?常に殺気は隠せってこと?


…確かに、それに近い事を先生に注意されたことがある、罠が隠しきれていないって、ほくそ笑んでいる姿が目に浮かびますよっと注意されたことがある!…ぐぬぅ、それかなぁ?…


取引の為に色んな街に出向いて、戻ってきては、敵からの被害状況を聞く日々!深刻な報告なんて無いでしょ?どのタイプの敵がどの程度、襲撃して来たのかってくらいでしょ?って、高を括っていたらさぁ!ある報告を聞いて驚きだよ!っていうか、ちょっとまって!?カジカさんなにケガしてんだよ!!


カジカさんって新兵達の教育担当で、現場であまり前に出ないタイミングじゃないの!?

っていうか、もう死の大地での実施訓練がスタートしたの!?速くない!?


焦ってたりしたの?そんなにも早く後任を育てないの?らしくないんじゃないの?っていう苛立ちを腹に抱えながら病室に向かう。


っていうわけで、現在、しょげているカジカさんの病室に来てるんだけど

「・・・・」

カジカさんの姿を見て声を失っちゃったんだよなぁ…

申し訳なさそうな顔でしわっしわになって項垂れている年上の人物になんて声を掛けたらいいのかわからない…


取り合えず現状を確認するために隣に座っている医療班団長こと、お母さんにカルテを見せてもらう。

怪我の内容は太もも裂傷?骨は?ヒビかー。

治療方針としては、何時も通りだね、回復の陣を起動させて傷の回復を促して、回復に必要な栄養を摂取させまくれば明日には完治って感じ…


この程度の傷で、しょげるほどかな?現場から三日から五日程度、離れる軽傷じゃん?

そりゃ、今は忙しいタイミングで怪我なんてして欲しくないけれどさ、不慮の事故はしょうがないよ?

新兵達を守るために熊タイプとか、虎タイプとかの危険度の高い獣と遭遇でもしたんでしょ?なら仕方が無いよ。


そんな事を考えながらカルテをお母さんに返すと、お母さんが現状報告をするためにカジカさんに淡々と語り掛ける。


診察を終えて怪我の状況などをカジカさんに伝え、どうして怪我をしたのか状況確認をするんだけどさ、え、それ本当って言う内容だった…

そりゃ、カジカさんもしょげるわ、しわっしわになって猛省するわ…

事実確認が間違いで無いっという確認を終えたお母さんが、此方に視線を向けてくる?

ウィンクをパチパチっとするってことは、何か伝えたいことがあるって感じかな?


その意味が何を意味するのか少し考える…

…っは!そういう事か、私がここに居ると話しずらい事があるってことだね?

もしくは、私だと傷をえぐるような言葉のブローを飛ばしまくるから止めとけって意味だろうな。


しゃーねー、どうしてそうなったか問い詰めてやろうかと思ったけれど、ここはお母さんの顔に免じて断罪するのはよしてやろう。

断罪した後は、カジカさんが復帰するまでの三日間?その間、何か考えがあるのなら聞いておきたかったけれど、ここはお母さんに任せようかな


カジカさんの病室から出て、耳をつけて会話を盗み聞きするなんて野暮なことはしない。お母さんとカジカさんは古い付き合いだから二人だけでしか話せない内容もある。

お母さん相手にしか弱音を言えないし、私が隣に居るとお互いの下ネタトークも花が咲かないってのも知ってるからねー。

二人の姉弟の様な関係性を知っているからこそ、任せることが出来るってもんだね。


そんな事を考えながら病室の廊下を歩いて外に向かっていると、最中にすれ違う医療の父ことセレグさんとすれ違うとすれ違いざまに声を掛けられる、新しい医療の道、完成を楽しみにしてるぜっと肩を叩かれた、一番の古株である彼の耳には自然とこの街で行われている開発などは耳に入るのだろう。幹部としても名を残してくれているけれど、会議などは自由参加にしている。良いご年齢だからね、引退せずにずっとこの街を支えてくれる彼には頭が上がらない。


彼が知っているだろうっていのは予想で来たけれど、すれ違う医療班全員から研究が完成したら発表会楽しみにしていますって声を掛けられる。

どうやら、私が始めようとしている研究は色んな人に伝わっているみたい。


そうだよね、医療班としても長年悩まされ続けてきた問題に着手しているんだから、気になるよね。

もしも、カジカさんが何かしらで腕とか足とか欠損してしまったら、この街の防衛力・殲滅力・後衛育成能力が大幅に低下しちゃう。


人は代用が効かない、きくわけがない…

そう考えると、少しでも早くこの研究を完成させないといけない気がする。


自分の研究が如何に大事なのか骨身に沁み乍ら、頑張ろう、禁忌を犯したとか、研究内容が危険だから討伐対象になりかねないとか不安を感じている場合じゃないよねっと、明日を目指す為に恐怖心なんて忘れようっと、心に活力を注ぎ、病室の外に出ると、視線を感じた。


誰だろうと、視線を感じた方向に視線を向けると珍しい組み合わせの二人がいる?いや、珍しくないのか?同室だし、所属する部署も同じだもんね?

この街の女性達の心を騒めつかせているある意味渦中の二人、ユキさんとオリンくんだ…


何をしているのだろう?っていうか、そうだよね、病室前で、カジカさんが教育している二人。

その組み合わせを見てピーンときたよ、二人の師匠であるカジカさんのお見舞いって感じかな?


心配そうに視線を向けている二人に近づくと、二人は此方を見て不安そうにしているので、落ち着いた雰囲気、心配ないよっと意志を込めて声を掛ける

「大丈夫、骨はヒビが入ってるだけだし、裂傷も骨まで到達しているけれども、怪我に関しては、直ぐに治るよ」

見てきた状況を冷静に慌てるようなことじゃないよっと伝えると、私の言葉を重く受け止めたのか、衝撃的な事実を聞いたかのように青ざめた顔をしている?

「そ、そんな大怪我を!?…心配しますよ…」

衝撃的な内容だったのか、今にも膝から崩れ落ちそうになっているんだけど?オリンくんは王族だからこういった怪我とか見慣れていないのかな?

…ん~?確かにさ、怪我は不快かもしれないけれど、私達の技術ならっていうか、この街ではこの程度の傷って結構、頻繁にあるよ?

それに、今日でほぼ完治するし、念のために三日間はリハビリなどを含め、様子を見る程度、だとおもうんだけど?…んん?そんなに衝撃的かなぁ?

「わた、ぼ、僕が、僕が避けきれなかったから…」

衝撃を受けたのはオリンくんだけじゃなくてもユキさんも同じ感じだね、そりゃ平民だとすれば太ももが抉られる様に切り裂かれたら大怪我だって思っちゃうよね。

今にも、泣きだしそうなユキさんが脳裏に過ったえぐい光景から逃げたいのか縋る様にオリンくんの袖を握って、青ざめながら狼狽えてるね

「ち、違うよ、ユキさん、僕が、敵の威圧に気圧されて足が、うぅ、情けないことに動かなかったんだ、僕が、弱い僕が…悪いんだよ…」

涙目になりながらも必死に己を奮い立たせるように声を振り絞り、ユキさんが掴んでいる袖にそっと手を重ねるように手を添えてお互いを慰めあってる?

二人だけの異様な雰囲気をぼんやりと眺めていると、近くに誰かの吐息等を感じるし、遠くからねっちょりとしたじっとりとした熱い視線を感じる。


誰だろうかと、ポケットから一瞬だけ、手鏡を出して周囲をチェックする…したんだけど…頭を抱えたくなってしまう。

うっわぁ、医療班とか、戦乙女の面々が熱い視線で鼻の穴を広げながら、二人の様子を真剣にみてるんだけど?…これ、どうしたらいいんだろう?


どうやってこの場を切り抜けるべきなのか、少しの間悩み、目の前の二人が落ち着いてから先に進めようかと、二人のお互いを励ましあい責任は自分にあるっという会話を聞きながらも周囲の様子を伺い続ける。

だけど、進展する様子が無い、なら、この状況を見守っている年上の方達からの助け舟が出てくるのか待つ、が!周囲の人達からのねっとりとした視線に変化はなく、ううん、些細な変化だけれど、熱量が増している様な気がする…っていうか、助け舟を出す気ないな、この人達。


駄目だ収拾がつかん!こういう時はお母さんがよくやる方法を使わせてもらおう!

手をパンパンっと叩くと二人がピタッと止まり、何かを察したのか周囲の人達も息を潜めるように気配を消していく…傍観する気は満々ってことね~!ったく、娯楽に飢えてんのかなー?…心の中でため息を吐き、真剣な表情を作り

「大丈夫!ベテランさんは、おっと、カジカさんの怪我に関しては、医療班団長が診察して今日中には治ると判断しています!」

この発言が信じられないのかユキさんが直ぐに口を挟んでくる

「ほ、骨にひびが入っているし、傷口が深く裂けて、骨がみえて、止血しても血が」

ああいう怪我を見るのは初めてだったんだろうに、冷静に見極めてんじゃん、顔を真っ青にしながらもさ、状況分析能力が高いのかな?それとも、勇気くんの影響とか?

「はい、その言い分もわかります、ごく普通の医療の知識であればそれが正しいと思います。で・す・が!此方には常識を超えた医療の術があります。王都には無い最新の回復術式があります。それによって怪我は貴方達が知りえる常識とは大きく違い、貴方達の常識、それを上回る速さで治ります、その為に必要な栄養も今ごろ、強引に食べさせられているか、点滴で投与されている頃合いだと思われます、なので、怪我に関しては!問題はありません」

メンタル的な部分は知らん!きっと、お母さんが何とかしてくれるでしょ!


ぴしっとユキさんに現状を伝えると、きょとんとした驚いたような表情をしている。

その驚きは何を意味するのか追求はしない!ユキさんってつい最近まで私の事を年下って思っていたから仕方がないよね。

「ですが!怪我が治ったとしてもリハビリ期間を設けています!その間、最低でも三日間はカジカさん抜きで防衛をしないといけません!」

つっても、大袈裟に事態を重く表現しているけどさ、ぶっちゃけると、カジカさん以外にも戦士はいるし、騎士部隊もいるので、防衛ラインを巡回する人手に関しては、深刻な状況ってわけでもない。


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