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最前線  作者: TF
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おまけ 山とは…③

目が覚めて、何時もの様にカードを取り出して支払う

支払うのだが、悲しそうな顔をする?ふむ、これはチャンスなのではないか?多めにチップを渡す好機というやつでは?

お嬢の雰囲気が何時もと違うことにどの様に声を掛けようか悩んでいると、お嬢がそれに気が付いたのか慌てて笑顔になり

いつも、多く払ってくれて申し訳ないねっと、何時も通りの言葉をかけてくれる。


吾輩としてはこれでも少ないと思っているくらいである、もっと、多く払っても良いのだと伝えると、これ以上は受け取れないっと断れてしまい続けているのである。

頑なに受け取ってくれないので吾輩もこれ以上、強引に我儘を通すわけにはいかないのである。出禁になるのが一番困るのでな。この店に通えなくなるのが困るのである。


店の外に出ると、太陽が昇って少し高い位置にあるのである。

お嬢が見送りで何時もの様にほっぺに優しいキスをしてくれるので、吾輩も笑顔で手を振って店から離れ、ある場所へ向かって歩いていく。

ある場所には、すでに先客がいる、先客の練武を見守りながら周りをぐるりと見渡す。


街から少しだけ離れたここは、何かを建てる予定でもあるのか、木は無く、背の小さな草原だけがある、まさに広場のような場所がある。

吾輩も幼き頃はこういった場所で皆と駆け回ったものである。


辺りを見回し、曇りなき空へと視線を向けているとおっちゃん!っと爽やかな声が聞こえてくるので、微笑みを浮かべながら視線を下げると目を輝かせた少年が木剣を両手に持って此方に近寄ってくるので木剣を受け取り少年に向けて何時でも来い!戦士の一団を取りまとめる者として負けるわけにはいかぬのである!っと勇ましい声をだすと少年は嬉しそうに剣を振るってくる。


少年が繰り出す剣の流れ、所作、踏み込み、幼き頃に比べて本当に卓越した動きになってきているのがわかる。

少年の母親が扱う型もしっかりと身に着け、吾輩が教えた型もしっかりと研鑽を積んでいるのがよくわかる。

少年はきっと、強く成る、吾輩よりもきっとな。


木剣が奏でる音を堪能しながら少年が満足する迄、剣の舞は繰り広げられていく。


小さかった子供が、少しずつ青年へと向かって行く、その姿を目に焼き付けるというのはこれ程までに感慨深いものであるとはな…

もしかしたら、吾輩を育ててくれた施設長もこの様な気持ちを抱いていたのかもしれぬなぁ…

今度、王都に行ったら挨拶にいかないといけないな…


まだまだ、他の事を考えれるほど余裕がある相手との稽古を続けていると、少年が肩で息をしていたと思ったらあーだめか!ちっくしょー!っと大きな声を出しながら野原に背中を預け横になるので、木剣を少年の横に置き、確実に成長しているぞ、何時かは吾輩を越え、母を守れる戦士へと至るであろうな、では、息災でなっと声を掛けてからご飯どころへ向かうと、後ろからいつか絶対におっちゃんを越えて見せるからな!っと威勢のいい声が背中を叩いてくる。


ご飯どころへ向かう途中で古き知人である少年の母親が何時も鍛えてくれてありがとうなっと、声を掛けてくるので一緒に食事でもどうだっと返事を返すが、夜勤あがりで疲れたから遠慮しとくねっと断れてしまう。

遠慮などしなくてもよかろうに、共に戦った仲だというのにな…いや、だからこそ、一線を引いてしまっているのであろうな。

吾輩も、踏み込み過ぎない様に気を付けないといけないのであるな…


向こうの事情を大人として受け止め、大人として付き合っていくべきであるが、寂しい気持ちを胸に抱きながら食事処へと向かって行く、その足取りは少々、何かに引っ張られる様に重かった。


食事処でささっと腹を満たし、もう一晩、夜の街を堪能しようかと考えるが、何か忘れている様な気がするのであるな…

何だろうか?…吾輩は何を忘れているのだろうかと立ち止まって考えていると目の前には、これから出勤へと向かって行く数々の花が職場へと向かって優雅に歩いていくのを鼻を伸ばしながら手を振って見送る。


ふむ、愛する妻にはない魅力あふれる花達であるなぁ~…No2に負けず劣らずの美の頂がいっぱいであるなぁ~ムッホホゥ


今夜は誰にしようかと鼻を伸ばしながら手を振っている時に 頂 っというワードに何か引っかかりを感じ…ほぁ!?そうであった山!山についての意見を提出しないといけないのである!?吾輩は字を書く習慣ないので期日までに書き上げれる時間が厳しいのである!?

姫様はそういった期日を大事にする人なので敵に回すと怖いのである!急いでバスに向かい、吾輩たちの街へと駆け出していく。


バスを降りると同好の士がバスを待っているみたいでえいちの書を鼻を伸ばしながら眺めている…どうやら、これから色街へと向かうのであろう。

うむうむ、楽しんでくるがよいぞっと視線を向けて微笑んでいると同好の士は此方に気が付いたのかニカっとした笑顔で挨拶をしてくれるので吾輩もニカっと歯を見せるような笑顔で応えてから、自身の部屋へと向かおうとかと足を一歩前に出すと…ふと、思い出す。

同好の士は文武両道、元は文官を目指していたと聞いたことがあるのである。故に、本を読むのが趣味なのであると、っであればである。


彼の者に力を借りるのがベストなのでは無かろうか?

直ぐに立ち去らない吾輩を見て不思議そうにしている同好の士に声を掛け、事情を説明すると快く引き受けてくれる!のだが、条件があるとな?


其方が用意した魔道具を持って所定の場所に置いて欲しい?


危険物であれば、それは無理だと言うと、何の魔道具か説明をしてくれる、成程、その様な魔道具があるのであるか…まぁ、その程度なら誰も害することなぞなかろうて、お互いの利害が一致したので熱い握手を交わし、彼の者に吾輩が山について考えたことを書き起こしてもらう。


同好の士はとても筆が速く、吾輩が感じた事をしっかりと文として筆を進めていく。

普段から文字を書きなれていない吾輩からすれば非情に頼もしく感じるのである、今後は、何か文を書かねばならぬ時は頼りにさせていただこう!


瞬く間に出来上がった提出物を受け取ると、暫く待っていて欲しいと言われたので部屋で待っていると思ったよりも速く部屋に戻ってくる、駆け足で動いていたのか湯気が立ち上りながら箱を渡される。

見た目は何処にでもある箱で、その箱に書類を入れて運んで欲しいとな?っで、ごく自然な流れで机の上に絵が描かれている方を姫様に向けて設置するのであるな。

っで、素知らぬ顔で箱から用意した課題を取り出して箱を閉じると魔石がセットされて魔道具が起動するっか、ふむ、よくわからんが、よく直ぐにこの様な魔道具を用意できたものであるなっと同好の士に疑問を投げかけると野暮なことはお聞きになさるな同志よ、他にも同好の士はいるのであるぞ?っと不敵な笑みを浮かべている。

吾輩も似たような考えを持っているので咎めはせんがバレたとしても庇わんぞっと念を押すと構わないそれもまた一つのデータとなるっと熱く握手を交わした後は、色街に行くのでっと笑顔で外に向かって駆けだしていくのを見送った。


受け取った魔道具を机の上に置いた後は、今日は特にやる事も無いので、新兵達の訓練でも見守るために訓練場へと足を運び、普段関りの薄い者達と関りを持てた、これはこれで、充実した一日であった。




そして、翌日、会議室に入ると、既に各々、席について、めんどくさそうな表情をしている。

うむ、その表情はわかるのである、今回の我儘も必要性が見出せぬのであるからな、この街に住む者たちは皆、姫様に感謝してもしきれない程の恩を感じているのでこの程度のお遊びくらい付き合ってあげるのが道理である。


此度の会議室は講義室を兼任しているので、正面には黒板があり、その黒板を見る為に机が並べられているのである。

黒板から一番近くて正面にある席は幸いにも空いているので、魔道具が入っている箱を机の上に置き、どかっと椅子に座って全員が揃うのを腕を組み欠伸を噛み殺しながら待ち続ける。


全員が揃う頃には姫様もやってきて、黒板の前に立つと、今回の趣旨が何を意味するのか伝えてくれる。

成程、山についての見聞を深め、山について各々が感じていることを知ってから、何かしら山に関するイベント開催する為であるか。

姫様も慰安の為とは言え、あの手この手と考えてはいるが、時折、アイディアが枯渇したのか、色んな人に話を聞いていたりするので今回もその一環なのであろうな。


説明が終わった後は、各々が用意した文を姫様に提出するので、吾輩も箱から書類を取り出し、姫様に渡す。

姫様は受け取った文をその場で朗読して、書かれている文の内容と書いた人がどういった意味で書いたのか、そして、山を題材としてどの様なイベントを開催して欲しいのかを聞いていく。


医療班団長の文は、山と言う山っていうのが行ったことが無いのでわからないけれど、楽しければ何でもいいんじゃないの?っという短文で、姫様も呆れながら何かイベントしてほしいことはありますか?っと尋ねると、楽しければ何でもいいで終わった。

姫様もあきれた様子であるが知らないものはしょうがない、知らないって言うのもまたサンプルとして非常に有効なのでありがとうっと団長が用意した山については軽く締めくくっていく。


っく、吾輩もその程度で良いのであればそうすればよかったのである!変に畏まったのがいけなかったか…


続いて発表されたのがNo2で、彼女が用意した内容であるが、山菜狩りなんてしても、昔から医療班が行っている薬剤に必要なものを採取しに行く仕事と変わり映えが無いから特別に何かっていうのは無いわね

っと、さらっと流していく辺り、吾輩もそうするべきだと感じてしまう、吾輩だけ、とんでもないモノを用意してしまった気がするのである。

冷や汗を感じていると、そーなんだよねー!普段から山に関わっている様なもんだからさー特別感が無いんだよね!むー、だから、知恵をお借りしたかったんだけど、こればっかりはしゃーないよね~っと姫様も同意見だといわんばかりにあきれた様子でNo2の言葉を締めくくる。


騎士の部を代表としてティーチャーのやつが用意した文を発表するが、これには吾輩も同意である。

普段から、壁の向こうへ危機感を持って行くので、山と言うのは恐れの対称な気がします。そして、それをイベントとするのでしたら、楽しいことにしないといけないのは理解できるのですが、畏怖の対象を楽しむというのがわかりかねます。っと、綺麗に淡々とまとめ役をしている時と同じく意見を出すと、うん!そうなんだよね!王都から身近な山ってここでしょ?死の街、死の大地なんて呼ばれているのをどうやって楽しむんだって話だよね?ぅーそれを払拭する良い機会になるんじゃないかなーって考えてたんだけど、根深い問題だよねーっと悲しそうな表情でティーチャーの意見を締めくくる。


…皆、至極真面ではないか、これは、吾輩、選択肢を誤ったかもしれぬな…うむ、飛んでくる攻撃に備えて魔力を循環させ筋肉を膨張させておくのである。


「えっと、次は、ん?ベテランさんのだよね?なんか、長文なんだけど?まぁいいか読み上げるね」


山とは…吾輩は考えたのである、考えたのであるが、学のない吾輩には答えは導き出せぬ、隣人に答えを求めてみたところ、山は怖いっという貴重な意見をいただいた。

吾輩もこれには大きく頷けるものがあるのである、山とは恐怖、そして、山とは起伏を意味するものである、つまりは、女性、女性もまた吾輩からすれば恐れる部分もあれば滾る部分もあるのである。

山もまた生命を滾らせ生きる為に何が必要なのか恐怖をもって教えてくれるものである、そう、それはまさしく、数多く、幾度となく研鑽を重ねた卓越した技術を持った舌技によって吾輩の滾る血潮を諫めんとする花も同じなのである。


山には起伏があり、渓谷があると知恵あるモノから聞いたことがあるのである、つまりは、吾輩が求めてやまない起伏も渓谷も同じなのである。

花が持つ起伏に挟まれ挑み滾る血潮と共に渓谷へと勇んだ腰で勇猛果敢に攻め入り山という山全てを味わう


味わい尽くす為には舌を使い、耳を使い、鼻を使い、全ての五感をもって挑むのが挑むものとしての務めである

味わい尽くし、生も根も果てた時、人は、いや、山と共に満たされるのである!


つまりは、山とは挑むものであり、山とは満たされるものである


「・・・・いじょう、で、す」

耳まで真っ赤にして指先は震え少々辱めの影響か涙を浮かべながらも、吾輩が用意してもらった文を読み終えたので、吾輩がイベントにするのならはだけた欲望を解放するようなものを求めるっと、決め顔で言うと、女性陣から色んなものが罵声と共に吾輩へ向けて投げられる、それも予想済みなのである!吾輩の筋肉にその程度!効かぬのである!!


それにしてもこれは良い!吾輩も何か新しい世界が開けそうである!流石は同好の士!乙女の恥ずかしいという感情がこうも吾輩の心に響かせてくれるとは思ってもいなかったのである!!…相手が我が子を連想させるような姫様で無ければ尚、良かったのであるがなぁ…今度、こういった趣向をお願いしてみるのもいいかもしれぬなぁ…


そんな事を考えながら、飛んでくるコップや、変態!!性欲の塊!!といったモノが当たり続ける、うむ、これ以上、ここに居ると、箱の中身が壊されかねないので箱を持ってそそくさと退散するであるかっと箱に手をやった瞬間、とびっきりの殺気を感じ

つい、箱から手を放し防御姿勢をとる

「セクハラじゃぼけぇ!!!」

顔を真っ赤にした姫様が大きな土の塊を何処からともなく生み出し、先を尖らせ鋭くしたものを吾輩の目の前にある机の上に向けて振り下ろし、机と吾輩が持って来た箱ごと貫く


しまった!?同好の士が用意したカメラが!?


慌てて、箱に突き刺さった土をどかし、これ以上は身の危険を感じるので失礼するのであるっとそそくさと会議室を出ていくと次したら●●●●ちょんぎるぞ!っと腰をかがめたくなる暴言が聞こえてくるので急いで逃げるのである!


吾輩まだ吸いも甘いも味わいたいのであるー!





後日

幸いにも部屋に戻ってカメラという魔道具が壊れていないか起動してみるとしっかりと映像が映し出されたのである。

映像の内容も、落ち着いて見返すとこれはまた、吾輩の新しい扉が開きそうな気がする内容である。

徐々に用意した文の内容がわかってしまったのか恥じらう様に震える声と徐々に朱へと染まり、始めてしまったものは最後までやり遂げるという素晴らしい意志を持っている姫様だからこそ、声に出し続けている。


姫様と言う部分を忘れて、映像に移されたものをみると、恥ずかしさが最高潮に達したのか薄っすらと涙を浮かべている初心な女児っというわけである。

こういった映像が、そういう趣味趣向を持った人であれば至高の映像であるなぁっとしみじみと確認することが出来たのである。


後日に、これを持たし、吾輩の言葉を吾輩では表現することが出来ない官能な響きがあり、学があるモノしかわからぬ世界での辱めっという高度な技術で作られた文を用意してくれた同好の士に新しい世界が垣間見れたという感謝の言葉を述べ、魔道具を渡すと、どうせなら、その開いた世界をもう一度、一緒に楽しみましょうっとニカっと屈託のない笑顔で肩を叩くので、吾輩もニカっと歯を見せるような笑顔を見せてから頷き、吾輩の部屋で新しい扉を開くために二人で向かって行く。


部屋の灯りを落とし、カメラの映像を見やすくした環境を作り、魔道具に魔石をセットすると映像が映し出される

映像は、確認した時と変わらず、黒板の前で、吾輩達が用意した辱めを受けさせるための文が書かれた紙を広げ言葉にする

『てめぇら、覚悟はできてんだろうな?映像を保存する高価な魔道具まで用意するなんてなぁ…』

っという映像が再生され、吾輩達の滾っていた血潮が次々と震えるように小さくなっていくのを感じているとドアが勢いよく開く…



すまない、我が愛する妻よ…四人目の子供は難しいかもしれぬのである…




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