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最前線  作者: TF
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おまけ 山とは…②

ふぅっと愛する妻の上に圧し掛かると、重くて苦しそうな顔をするので直ぐに妻を抱きしめながら転がり、背をベッドに預け、妻を我が鍛え上げた胸板の上に乗せる。

先輩である粉砕姫ほど分厚くはないが、戦士長と同等程度には鍛え上げたという自信がある自慢の筋肉である。


愛する妻を抱きしめながら、むふーっと息を漏らすと妻も一緒にんふーっと甘い吐息を溢している。

ちらりと、視線を窓に向けると、まだ、夜明けでは無さそうである。少しひと眠りしてもよいかもしれぬな。


そんな事を考えながら妻の背を撫でていると軽く抓られてしまうのである

何事かと視線を下げて妻の表情を見ると、物足りなかったのか少々不機嫌なご様子なのである…


むぅ、ベテランと言われるほど卓越した技術を持って愛したはずなのであるが、まだ、物足りぬというのであるか?

何事かと声を掛けようかと思ったら先に言われてしまったのである、私が目の前にいるのに他の事を考えたでしょっと…うむ、そうであった、愛する我が妻は二人っきりになるととても嫉妬深いのであった。


子供達が近くにいる場合は良き母であろうと冷たくあしらわれたりするのであるが、二人っきりになると母ではなく一人の女性になるのであったな。

ここは、素直に、夜明けなのかどうかの確認をしていただけだよっと優しく臀部を撫でながら声を掛けるとまだ時間はあるっと嬉しそうに頬を擦り付けてきてくれる。

吾輩としても、子供達の前でもこうやって甘えてくれると嬉しいのであるが、妻の母親としての考えは、お婆様の考えを受け継いでいるのだろうなと痛感するのである


だが!それはそれ!吾輩は愛する妻の可愛い一面も子供達に見せてあげたいのでちょっかいは出し続けるのである!頬を叩かれようともな!


そんなやり取りをしていると、温もりと幸せと、満足感に睡魔がゆっくりと押し寄せてくる。

このまま、眠ってしまっても良いのだろうかと、欠伸をすると、妻もつられて欠伸をした後、吾輩の体をよじ登る様にあがってきて、軽く頬にキスをしてくれると、寝ましょうっと優しく声を掛けてくる。

その一言に甘えるように、心穏やかに睡魔の波に身を委ねる…


心地よく柔らかい素肌に包まれながら眠ることが至上の歓びだと感じてしまう。

そんな時にふと【山とは何か?】っという、問いが浮かび上がる…

ううむ、こんなタイミングで思い出さなくてもよかろうに、憂いなく寝るにはこの問題を片付けないといけないということであるか?


山か…なんだろうなっと思いながらつい、愛する妻の臀部を優しくつまんでしまう。

この柔らかさこそが、山なのではないかと答えが出ると、満足して睡魔の波に意識がさらわれてしまう。



日の出と共に、起きてからは気持ちよさそうに寝ている妻をベッドで寝かし、シャワーを浴びて汗を流した後は朝の鍛錬を開始する。

といっても、ジョギングしたり軽い素振りをする程度であるがな。


剣の型を一通り終え、槍の型に移ろうかと木剣を壁に立てかけると視線を感じるので振り返ると、幼き息子が真剣な眼差しで見ているではないか。

まだまだ、子供達が起きるには早い時間だというのに、起こしてしまったかな?

まぁよい、見るのもまた良き勉強になるのである。


ここは、見られても恥のない完璧な演武を見せるとするのである!!

幼き息子に父としての偉大な姿を眼に焼き付けて欲しいモノであるからな!!


軽く流すつもりだった日課はついつい、父親として、いいや、一人の武人として、武に憧れを持つ少年に魅せつけてやりたくなる、先を歩み死線を潜り抜けてきたものとしてのプライドが刺激され心と体に熱を湧き上がらせるように火が灯ってしまったらもう致し方あるまい!!全力で行くのである!!!


調子に乗って、剣と槍だけの予定だったのに、棒・槌・斧・ナイフ・対人戦用の投げ、受け、徒手空拳も披露してしまった。

全てが終わるころには汗だくになってしまい、もう一度、シャワーを浴びて汗を流すかと庭から自室へと戻ると、誰かがシャワーを浴びている、吾輩と愛する妻の部屋に備え付けてあるシャワー室なので、誰が使っているのかわかりきっているのである。

シャワー室のドアをノックしてから中に入る許可をもらい、愛する妻と一緒に汗を流した。


シャワーを浴びた後は、妻の髪を魔道具で乾かしていると、どうやら、先ほどの吾輩の鍛錬を見ていたみたいで、子供達に良い影響を与えるので素晴らしいっと褒めて頂いた。

のだが、妻からすると剣の振り方が大雑把すぎると軽く注意もされてしまった。ううむ、武の一族から見れば、吾輩の剣はまだまだ頂には遠いようであるな~


頂きというワードがふと気になる…


一瞬だけ、ぽけっと意識が疎かになったのを見逃すわけが無く、何を考えているの?っと少し声に怒気が含まれているので慌てて、弁明する

正直に、姫様からこういった事をお願いされたのだと、念のために持って来た紙を見せると妻もうーんむと、首を傾げる。

髪の毛もちょうど乾かし終わったから良いものの、乾かしてる間は動かないで欲しいモノである!


困ったものであるが、これは好機と見て良いのではなかろうか?

学のない吾輩よりも、妻の方が学がある、何かよい言葉をいただけないか質問してもよかろうか?


それとなく、愛する妻がもつ、山とは何か質問をしてみるとバッサリと山は怖いっと一言だけ頂いた。

怖いっか…なるほど、一理ある、吾輩も、偉大なる壁の向こう、死の大地の奥へ歩を進めた一団として向かった、あの、殺気立つ未知なる世界は恐怖そのものだった。

心臓が永遠と鳴り響く中、徐々に体が恐怖と緊張で強張っていくのを感じていた、されど、絶対に死ぬわけにはいかなかった、愛する妻と幸せな未来を勝ち取るためにも。

その不安や緊張が戦士長には伝わっていたのであろうな、至る所で吾輩を助けてくれていた…


壁の向こうは緩やかな上り坂になっている、山と言われれば山である…大自然の中、常に付きまとう食うか食われるか、野生の狂気…

うむ、思い出すだけで背筋が凍り付きそうになるのである、怖い…うん、俺も、怖いと感じてる。恐怖があるからこそ慎重になる。命の危険があるからこそ超越した感覚が宿る。

あの一団で共に戦った索敵班の偉大なる先輩が遺してくれた言葉のとおりであるな。


お互い、恐怖心を思い起こしてしまったのか、抱きしめあってお互いの体温を確かめ合った。


夜までは家族団欒を満喫し、夜には吾輩たちの街に帰る。

満足のゆく帰省だと、心から充足を得たと感じ、愛する家族たちに見送られながら慎ましい屋敷とお別れをする。


街に帰ってからも何一つ何時もと変わらない生活。

危機を望んでいるわけではない、絶望を求めているわけではない、英雄に等、吾輩は…俺はなるなんて、そんなのはない。


吾輩の心はいつの間にか弱くなってしまった、若かりし頃の希望にあふれ、世界を救うのだと、幼き頃に施設の皆と共にみた英雄譚の舞台劇、そこに登場する始祖様のような英雄に憧れた、激しい戦場の中、必死に前へ進んで道を創り、志半ばに死んだとしても、自分が踏み固めた道を誰かが歩み、何時かはこの世の絶望を撃ち滅ぼしてくれると思い願っていた。


今は、今の俺は…そんな勇気なんて何処かに落としてしまった、俺が歩いた道は複雑で戻ることが出来ないみたいでな、何処に落としたのか見当もつかぬ。

だからだろうか?いくら武を磨き練度を高めようと、永遠にあの偉大なる背中に触れることが叶わぬのは…


俺では、駄目なのだろう…だが、俺しか、いない、戦士を、騎士を…導けるのは俺しかいないのだ、それを姫様も期待していつも気にかけてくれている。

忙しいのに、忙しい御身であるというのに、影ながら色んなサポートをし続けてくれている、頭があがらんよ…


日々に、未来に、過去に、俺の心は常に弱き心で満たされている。

それでも、明日はやってくる、家族を養う為にも働かないといけない、学が無く、闘う事でしか銭を得られぬ俺は何歳になろうとも前に立ち続けるさ。



外の巡回任務を終え、装備を所定の場所に置く、ここに置いて置けば新人やまだ壁の向こうの巡回任務に出れない者たちがしっかりと手入れをしてくれる。

吾輩も昔は良く先達者達の装備を手入れしたものだ、先輩である粉砕姫の斧は非常に手入れが厄介だったのを未だに覚えているであるなぁ…

若き頃の筋肉も未熟な吾輩には重すぎたのである、かといって、吾輩以外に若手がいないので、吾輩がやるしかなかったので、非情に腰が辛かった思い出があるのである。


さて、そんなものから解放されるために行くとしますかな!!いざ行かん欲望の園へ!!ムホホ!!


大急ぎで大浴場に向かい、念入りに体を洗い、爪の間、歯の隙間、舌も綺麗に磨き、フローラルな香りがする香料を塗りたくりバスへ浮足立って向かう。

隣町へと向かうバスに乗り込む、やはり、誰もいない、吾輩と同好の士は吾輩と交代で外勤務に旅立ったのでな、居ないのは当然である。

…あやつがもつ、様々なえいちの書を少々楽しみにしていたので少々、残念である。


バスが動き出すまですることがないので腕を組んで背もたれに体を預けていると…眠くなってくるのである…




っはっと、目が覚めると、バスは動き出している、外の景色は真っ暗で何も見えない、窓を開けて後方を見ると、吾輩たちの街の灯りが遠くに見える。

街の光の大きさから凡その距離を探る…うむ、あれくらいの距離であれば、幾分かで到着するのであるな。


窓を閉めてドカっと背もたれに体を預け、この後の予定を考える。

まずは、新しい花が増えたのかどうかの確認であるな!吾輩としては初々しいのも大好物である!

熟達した技術もまた良いが、発達していく成長過程もまた、次回、来た時に向上しているのか体験するのもまた乙なモノである。


指を折って、何軒回るのか考えていく、色街に行くとき、何処をどうめぐってどうフィニッシュをキメるのか考えるのがもしかしたら、一番楽しいのかもしれぬなぁ。


2軒回ってから、一杯ひっかけて、2軒回って、一杯ひっかけて、洗体してもらってから…最後はあの店

うむ、何時もと変わらぬ流れになりそうだ。


変化を好む、変化を好まない、何時もの流れ、そのどちらも望んでしまっている吾輩はきっと欲張りなのであろうな…

だからこそ!欲望のままに本能のままに!!遊びつくすのである!!ムホホーーーゥ!!


滾る心と肉体で夜の街を堪能し尽くした。




ふぅっと満足しながらも手から零れ落ちてしまいそうなほどに柔らかくも大きな、うむ、まさに山と表現するべき立派なものを抱きながら満足感に包まれ横になる。

嬢も吾輩の相手をして疲れたのか、息を荒げながら吾輩の体に引っ付きながら横になっている。


何も考えることなく、ただただ、この満足感に包まれながら心臓の鼓動を聞くだけのこの時間、この瞬間だけは…吾輩は解放されたのだと感じてしまう。

この充足感を求めて吾輩はこの街に通ってしまうのであろうな…


そんな事を考えていると小さな欠伸が漏れてしまうと、満足したみたいで何よりさっとお嬢が頬を桃色に染めながら微笑んでくれる。

うむうむ、長き付き合いであるからな、吾輩一押しの嬢だからこそ、吾輩を満足させてくれるのである。


満足感に包まれながら目を瞑ると直ぐに眠ってしまう、何時も、ここにきたとは、こう…

これを永遠に続けれる様に頑張ろうと思えれるものであるな。




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