おまけ 山とは…①
おまけです!
本編との温度差に困惑してしまいそうになりますが、おまけです!
山とは何か!!
わからぬ!!
学のない俺には…もとい!吾輩にはわからぬのである!!無い知恵は振れぬ!!のである!!
まったく、このようなこと…どうして吾輩に託すのであるか?わからぬなぁ…
事の始まりは、何時もの様に若輩者どもの訓練が終わり、さぁ、明日から休日!久方ぶりに愛する妻が待つ王都の家に帰ろうかと準備をしていたら、伝言が届いてな、厄介なことに姫様からの通達だ。嫌な予感をしながら通達を受け取る、内容的に恐らくであるが、吾輩以外にも配られたであろう託された言葉…
【これを読んだ人たちにお願い、山の日って何?山って何?山とは何ぞや?っというテーマにそって各々の考えを提出してね♪期日は~、一か月後なのでシクヨロ!!】
っという、相も変わらずわけのわからぬ言葉を託され、少々、向き合ってみるが、学の塊である姫様が分からぬのであれば吾輩が分かるわけも無し!
っというよりもだ、これはあれか?各々が思っている言葉を提出すればよいのか?それだけであれば
山とは…山である!!っでよかろうが?
あれだろう?坂道が多く王都よりも高い場所を山と呼ぶのであろう?っであれば、ここが既に山では?
ピーンときたのである、これこそが真理!我が姫が求める答えはこういうことではないのではないか?
おお!考えれば考えるほど納得なのである、なるほどなるほど、姫様はこう言いたいのだな?私達こそが山であるっと!!
納得できた閃きを片手に腕を組んで満足げに首を縦に振り、完膚なきまでに納得したので、帰省の準備を再開していくが、ひっかかってしまう。
・・・・ふむ、この内容で提出したら、幹部連中からまたもや、白い目で見られそうな気がするのである、戦士の部はやっぱり戦士の部なのだと、蔑み・哀れみ。悲しみの瞳で矢面に立たされるのであるな。
短絡的思考は馬鹿を見るという過去の経験が危険信号を出してくる。
導き出した答えに自身は納得できたが、周りが納得しないのだろうと察してしまう辺り、吾輩も世渡りというモノが上手くなったものである。
ふぅむと、再度、腕を組み、足首を使って踵で地面をトントンと叩いたり、つま先を持ち上げてトントンと地面を叩いて考え込んでしまう。
手を止めて考えてみても、所詮は闘う事しか出来ない学も無き人生を送ってきただけあって、何も浮かばない。
吾輩を育ててくれた場所で学んだのは、言葉を話す事と、生きる為に必要な知識だけを学んだのである。
必死に毎日毎日、槍を振って振って振り倒して、掴んだ勝利を手にし、この街に志願することが出来た。
吾輩のような身寄りのない捨て子が生きるにはこういった命がけの世界でしか生きられぬ時代であったからな。
あの頃の吾輩を思い出してみるが、今も大して変わっていないものであると感じてしまうのである。
吾輩にはどうしても越えねばならぬ壁がある、それを超える為にも、何時だって時間がある時は武の鍛錬を欠かさず行っているのである。
当然、身体強化の術式というモノも訓練しているのである。まだまだ、頂には届かないと痛感するばかりであるがな。
しみじみと過去の事を思い出してしまうと、ついつい、懐かしくなって瞳が潤っていくのを感じてしまう。
施設には、王都に帰るたびに、出来るだけ手土産をもって挨拶に行くようにはしているのであるのだが、姫様が活躍なさるようになってから、そういった施設にも潤沢な運営資金を用意してくれているみたいでな、吾輩が土産を持っていく必要性も無くなってしまったのである、その影響もあってか最近は少し足が遠のいているのである。
かといって、顔を出さないという選択肢は無いのである、施設に赴いて、子供達に簡単な手ほどきをしてあげてあげないといけないのである。
子供達が少しずつ成長していく姿を見るのは、悪くないのである…
きっと、戦士長も吾輩と同じ気持ちを抱いていたのだろうと思うと、涙が零れ出てしまいそうになるのである。
心を震わせていると時計の針がぽーんと音を出して知らせてくれる、その音によって、思考の渦から抜け出るように我に返り、慌てて支度を済ませ、急いで王都行の大型バスが止まる場所へと駆け出してく。
次のバスを逃してしまうと、明日になってしまうのである!!そうなると吾輩のアレが我慢できなくなってしまうのであるぅ!!
荷物といっても、医療班の古株達に我が愛する妻に持って行って欲しいと言われた物くらいなのだがな。
あの者たちは王都に行く用事が無いので、我が愛する妻とは昔なじみ故に、吾輩が定期的に帰省しているのを良いことに吾輩に色々と渡してくるのである。
まったく、行商の物に頼めば届けてくれるであろうに、っと、言いたいのだが、昨今、行商の数も減ってきておってな、そうもいかんようになったのだろうよ。
詳しくは知らんが、そういうものなのだろうな
老いたとはいえ研鑽を重ね現場で動き続ける吾輩からすれば、まだまだ体力は無尽蔵!と言えるほどに体力は溢れているのである!
吾輩の部屋からバス迄、一度たりとも止まることなく駆け抜け
ふぅっと軽く息を整えるように息を吐いてから、バスに乗り込み、持たされた荷物を他に誰も乗りこむ様子が無いのを確認してから座席に置いて背もたれに体重を預け目を瞑る
姫様が開発した、全自動バス、運転手が要らないという画期的なバス
あまり利用するものが居ないがゆえに、運転手の仕事が無さ過ぎるがゆえに、姫様が開発した乗り物。
吾輩のように定期的、いや、不定期的であるな、帰省するものにとっては非常にありがたいモノであるのだが、如何せん、寝過ごしてしまうと面倒なことになるので寝ない様に気を付けないいけないのであるが
此度の運行に関しては寝てしまっても問題は無いのである、何故なら、今日はこれが最後の便なので、寝てしまっても、勝手に我らの街に戻ることは無いのである。
なので、寝てしまっても問題ないのであるが…目を瞑っても眠たくなることは無いのであるなぁ…年をとればとる程、睡眠がとれなくなってきている気がするのである。
これが老いなのだ言うのであれば、そうなのであろうな、っであれば、吾輩のアレも年相応に落ち着いて欲しいモノである…いや、こればかりは、年齢など関係ないモノなのだろうと、とある人物を見て諦めたのである。
…ふむ、いかんな、こういう類の事を考えると、滾ってしまうのである。いかんいかん、滾るのはもう少し後にしたいので、違う事を考えるべきであるなぁ…
何か、手ごろなものがないか、考えてみるが。何も出てこない、出てくるのはムホホなことばかりで、どんどん、吾輩のアレに熱き血潮がめぐっていくのを感じるのである。
誰が言うたか、わからぬ吾輩の別名ベテランが滾ってきてしまうのであるぅぅ…
一人ムラムラと湧き上がる妄想、そして、誰もいない場所という状況に興奮を覚えそうになるのを必死にこらえながらバスに揺られていく。
長い時間、おあづけをくらってしまっているような独り孤独なプレイを堪能していると、色々と限界を超えてしまいそうになり、王都に到着するころにはいろんな意味で限界が近く、大急ぎで愛する妻が居る家へと駆けだそうとしたのだが、そこは冷静に、貴族エリアへと人を運んでくれる馬車を呼び止め乗り込む。
吾輩が手荷物を持って駆けるよりも馬の方が速いのである。
まだまだ、こういった馬車があることには感謝しかないのである、姫様が次々と新しい便利な物を産み出すのは良いのであるが、こういった昔ながらの物があるのは、それはそれで、趣があって吾輩は好きなのであるっというか、子供のころ、馬車に乗り込む優雅な人達を遠目で羨ましそうに見て育ったというのもあってな、憧れが強くあるっていうのもあるのだがな。
馬車とは貴族の象徴、憧れは止められなかったものであるなぁ…
んふーっと鼻から息を吐きだして、滾る下の心を落ち着かせていると外の景色が徐々に貴族たちが住まうエリアに入っていく。
吾輩の家は、愛する妻の実家から少しだけ離れた場所にある、本家に比べたら非常に質素な家ではあるが、貴族社会を勉強中の吾輩から見ても、貴族としてのメンツは保たれていると思っているのだが、実際のところは質素過ぎるのかもしれないのである、だが、愛する妻からすると豪華な家は要らないそうなので、あれくらいでちょうど良いのかもしれぬな。
お給金に関して言えば、ちょっとした貴族と同程度、いただいているので、家を大きくしようと思えばできるのであるが、妻は今の家がちょうどよいというのである。
大きければ大きい程、貴族として箔がつくのではなかろうかと思うのであるが、吾輩が常にいるわけでもないので大きすぎる必要が無いのかもしれないのであるな。
まだまだ、吾輩も貴族としての勉強が足りていないのである…憧れはあったのであるが、正直、今となっては面倒くさいとしか思えんのよなぁ…
御父上はそれを見抜いているからが故に、吾輩に貴族としての名を与えてくれないのかもしれないっと今でこそ思うモノである、これが親心っというものなのであろうなっと。
若い頃の吾輩は認めてもらうことに必死になり過ぎていた気がするのである…だから、こそ、愛する妻を怒らせてしまったのであろうなぁ…
遠い過去を思い返しているとドアをノックする音が聞こえてくるので手荷物を持って外に出ると愛する妻が玄関で待っているのが見えるのである。
駄賃を渡し手を振って馬車を見送った後、優雅な佇まいで歩いていき、愛する妻の前に立つと愛する妻は周りに誰も見てる人がいないときはいつも
熱烈なハグとキスで出迎えてくれる
少々、控えめな胸を押し付けて、つま先立ちになって背を伸ばして求めてくる。
これだけで、吾輩も愛されてるのだと実感が湧き上がると同時に、抑え込んでいたもの全てが溢れ出そうになってしまう。
子は何人いても良い、四人目を授かりにいざ参ろうぞ!!
お姫様抱っこと呼ばれる姿勢に愛する妻を抱き上げ家の中に入ろうと玄関のドアに手に駆けると吾輩が動かすよりも先にドアが開く。
どうやら、侍女達がずっとまっていたみたいであるな、吾輩が玄関のドアを潜り家の中に入ると、玄関から出てきて吾輩が持ってきていた手荷物を手に取り家の中に入っていく。
どうやら、周りの目は無かったが、耳はあったかもしれないのであるが、妻からすれば侍女のことは気にしてはいけないっていう持論なので問題ないのである。
吾輩たちは侍女たちの目や、耳を気にせず、愛する妻と吾輩の部屋へ向かって真っすぐに進んでいく。
今夜も長い夜になりそうであるな!!!ムホホ




