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最前線  作者: TF
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Dead End ユ キ・サクラ (24)


それからは常に、どんなときも、何時だって街の中だというのに生きた心地がずっとしなかった。

見られているわけがないのに、何故か、見られている様な気…命を狙われているような気がして心休まる時が何処にもなかった…

監視されているということは、私達の情報が敵に流されている、という不安も常に付きまとっていた。


少しでも警戒心を弛めたら最後、その隙を突かれて総攻撃という波状攻撃によって攻めてこられると物量的に勝てる見込みがない…

敵はなぜかその選択肢を選ばない、人類に時間を与えてくれているのか、敵はそれどころじゃない何かをしているのか、知るすべがない。


虎視眈々と此方の内情が綻ぶのを待ち続けていて、隙が出来た瞬間に総攻撃する機会を伺っている、そうとしか思えれない…


普段以上に警戒心を弛めることが出来ず、常に張り詰めた状況下で何事も無いように装い演技するっという日々を送り続けるだけで、私の体はストレスによって内臓がボロボロになってしまっているのがわかる。


今日だって、昨日だって、ずっとずっとここ最近、思い返せば最後の食事はあの食堂の一件から…食事が喉を通らない、強引に食べたとしても胃が受け付けないのか痛みと共に食べたものを全て吐き戻してしまう。

栄養不足によって体調不良を起こす事こそ、敵が待ち望んでいた隙そのもの、司令塔である私が倒れるわけには絶対に行かないので、お母さんに頼んで点滴を自室でうってもらって、少しでも体に余力が生まれるように多めに魔力を注いでもらう日々だった…


食べないのは良くない結果になるのはわかっていた、多忙なのは変わらないのに、食べれなかったらこうなる…

鏡に映る私の姿は元々、瘦せているほうだったけれど、今の私は痩せに痩せてしまって骨と皮しかない、女性としての色気なんて何もなくなってしまった。

筋肉も落ちてきてしまっているのか、歩くのも辛い…食べていないだけで筋肉が減ってしまったような気がする。


立って歩くのも辛い、それだけじゃない、あれから一つも、次に向けての考えがまとまっていない…そんな状況で、先兵の疑いが晴れ切っていない柳に会いに行く…わけがなかった。


立つのもやっと、歩くのもフラフラ、誰でも私を殺せるような状況、この状況を敵は待ち望んでいるのかもしれないっと考えると、独りで会いに行く勇気が無かった…

…いいや、違う、ユキという存在が怖くて傍に行く勇気が無かっただけだ。

彼に会って話を確かめたいこと、聞きたいことは山ほどある、でも、今の私は栄養不足も相まって脳が上手い事、動かない…

…いいや、違うの、こんな、こんな、やせ細ってしまって、胸も小さくなって、お尻も小さくなってしまった、お肌も荒れているし、髪の毛も艶がない…女性としての魅力が落ちてしまった状態で会いたくないよ、こんなの私じゃないわたしじゃない、かわいくないもん…


鏡の前にゆっくりと近づき、今の姿をもう一度、映す…心臓がきゅっと縮こまる気がする

目を閉じてから、何度も何度も深呼吸をして心に勇気を宿してから、ゆっくりと、目を瞑った状態で着ている服を一枚一枚、脱いでいき、全ての服を脱ぎ終え、産まれたままの姿を鏡に映し、勇気を振り絞って目を開けると、縮こまった心臓が泣き叫びそうな音をあげる


膝から崩れ落ちるように床に座り、大粒の涙を流し続ける…

口を閉じて、大粒の涙を流し、声を殺し、喉で叫び続ける…

叫び続けながら、どうしてお母さんが自身の体を磨き続けるのかその理由がわかったきがした…


弱く儚く脆い…人の心はちょっとしたことで崩れていく、

心が崩れていくと体も崩れていく…私が今まで立ち上がり這いずりながらも動き続けてこれたのは…心の、魂の力だけで動けているのだと痛感する。

魂の力が弱まれば、直ぐにでも私の体は機能を停止しようと、お前はもう長く生きただろ?っと、もう楽になれっと声を掛けてきて機能を停止してさせようとしている気がする…


今までの、人類救済発展なんて理想を掲げながら、自身が目標としている人生の目標に向かって走り続けていた私だったら、今の私を見て【情けない】って、一笑するのだが、今の私には笑えるような…そんな気力も沸いてこない。


私を動かし続けているのはいったい何なのか、自分が何をしようとしているのかわからないまま、瞳を閉じ一日を終える…




どうして生きているのか不思議に感じている日々を過ごしている。

何とか、今日も命がけで仕事を終えた。


気丈に振舞ってはいるが、膝はずっと笑っている…


足首が重たい、膝が重たい、股関節が動かない…引きずる様にされど、優雅な佇まいを意識しながら誰にも気が付かれないように気丈に振舞いつづける。私がいつ死んでもおかしくない状態だというのはお母さんだけしか知らない、何とか私を助けれないかずっとずっと、探し続けてくれていて、気が付けばお母さんもやつれてきている…

その姿を見て私の心は更に追い込まれていく…大切な人が苦しませている原因が私だって部分に…心がついていけない。


街の代表が弱ってしまっている姿をさらすわけにはいかないっという意地とプライドだけで何とか体を動かし続けている気がする。


そんな状態で外での仕事を終え、歩けてはいるが、今すぐにでも倒れてしまいそう…ふと、視線を上げて自分の部屋の位置を確認する。



自身の部屋が遠い、誰かの助けを借りたいけれど、借りれるわけも無く。

視界が狭まっていく中、必死に歩いていく…音も何処か遠い、景色もモノクロに見えてくる、気温も感じ取れない。



見据える先は自身が歩く道筋のみ…他は何も…情報が入ってこないんじゃない、受け止める力がもう私には備わっていない気がする。

世界には私しか残されていないような気がしながらも、前へ前へと、硬くなって動かなくなってきている股関節を一ミリでも動かし、曲がりにくくなっている膝を一度という角度でも良いので何とか曲げ、指先の感覚なんて無くなりつつある、だけれど、何とか親指を浮かし、足首を使ってすり足で動き続ける…


狭い視界の中、何も考えず、ううん、何も考えることが出来ないまま歩いていると、気が付くと誰かすぐ隣に居る?

何か声を掛けられている様な気がする、取り合えず、心配をかけるわけにはいかないので微笑を浮かべ挨拶をする

視界が狭まりモノクロの世界だと隣に居るのが誰かわからない、微笑を浮かべながら頷くだけしか出来ない…早く離れてくれないかな?

「失礼します」

何か、声が聞こえたと思ったら、腰に手が添えられ抱きしめられるような形になる?誰だろう?

「お部屋まで護衛させていただきますね」

ああ、声の感じからして、オリン…かな?

オリンに支えられながら、進んでいき、建物の中にはいろうとしたとき



視線を感じた?



…どこからだろうと、視線の先を確かめるように、安定しない首を必死に動かして視線の先を見つけようとするが…

視界が狭まりすぎていて何も見つけることが出来なかった


見つけることはできなかったが、何か、聞こえたような気がした


【…気丈に振舞って…隣に、男性を…女性だから?…私では…どうして…私じゃないの?…】


幻聴が・・・・よくわからない・・・・げんちょうが、きこえたようなきがした・・・・


おりんに やさしく ていねいに ごえいされ なんとか へやにたどりつき そふぁーにすわると いしきが とんだ




次の日の昼下がり、限界を超えているのか、もう、私の時計は止まろうとしているのか…もう判断がつかない。

分かっていることは体調が良くないっということ。


体を起こすのも辛いため朝からずっと横になっている。目を瞑っても眠ることが出来ない、眠る体力も無いのか、ただただ、横になっている。

眼球を動かすことはできるので薄めでふと、点滴を見ると、中身が無くなりそうになっている?


眼球を動かして傍にいるであろう人物を探す…見当たらない。

何処に行ったのかとここ数分の記憶を思い返す


ああ、そう、そうじゃん、そういえば、お母さんが替えの点滴と薬を取りに行くって言ってたような…

っで、取りに向かってから、何分経ったのだろうか?医療に関してはどんな時もしっかりとしているお母さんが点滴が無くなりそうになるギリギリまで席を外すとは思えれない。

壁にかけられた時計を何とか首を動かしてみると、私の記憶が正しければ、お母さんが席を外してから、もう、一時間も経過している。



遅い、よね?何かあったのだろうか?



時計を見る為に動かした首の力が抜け、枕の上に頭を落とす、今動かせれるもので状況を把握できるもの…

目を閉じて聴覚に意識を向けて、状況を探ってみる。


もしかしたら、私が気が付かない間に敵の襲撃とかがあって、お母さんの手がそちらに…いや、そんなことはあり得ない。

今の街の体制、規模を考えたら、そんな事態が起こりえるわけがない…それに、そんな事態になっていたら鐘が鳴るし、街全体が騒がしくなる…


耳を澄ましているが、話し声が聞こえない…もっと遠くまで聞こえれる様に聴覚を強化する術式を展開する…


音はある、でも、話し声じゃない?足音しかない?どういう状況なのだろうか?

今まで感じたことのない違和感、人が少ない最前線基地っという形の街ではあるけれど、私語を禁止した覚えはない。

どんな状況であろうと、声が聞こえてくるのが普通なのに、どうして、誰も、声を出さない?


背中がぞくりとする、寒気がする?いやな予感がする?これは、何故?この違和感を私は知っていたりするのだろうか?

点滴を腕から外し、止血するために回復を促す陣を小さな紙に書いて起動し使い捨てる


ベッドから起き上がって地面に足を付けた瞬間に私は自身の体重を支えきれなかったみたいで膝から崩れ落ちてしまい、膝を地面にぶつけてしまう

ゴンっと音が鳴る程に、強くぶつけたはず、だけど、痛みをあまり感じない…背筋を冷たい何かが通っていくのを感じる。


首を横に振り、まだ、自分の時計は動いていると奮い立たせ、太ももを幾度となく叩き、頬を叩き、胸を叩き、立ち上がる。


立ち上がったはいいモノの、膝は笑い、腰は抜けている。

何かに捕まりながら何とか歩き、こういう時の為に用意しといた禁薬を取り出し、口の中に放り込んで噛まないで、すぐに呑み込み、粉末状の薬を鼻から吸い込み、ある液体を注射器で吸い上げ、即座に自身の前腕に突き刺し血液に向けて液体を流し込む…


全ての禁薬をぶちこみ、薬が体に廻るのを待とうと目を閉じた瞬間に全ての薬の作用が同時に発生し、体の内側からくる衝撃と痛みによって気が狂いそうになる。

ここまで強い衝撃がくるのは予想外、常人だったら発狂してもおかしくない。

痛みを軽減するための薬をすぐに血液に投与したからこそ、耐えれている、こんな劇毒、誰にも使わせるわけにはいかないよね…


ふーふーっと自然と呼吸が荒くなるのを何処か遠くで眺めるように感じる。

薬の影響で体の感覚が狂ってきているのだろう


狂った状態で動けるわけがないので、肉体を操作するための術式を展開する。

過去の正常な感覚を思い出させるように術式を使って狂った感覚を正常に動かしていた日々の記憶をたどる様に上書きしていく。


硬かった股関節は柔らかくなる、動かすとあちこち引っかかるような感覚がするが…気にしない。動けばいい

膝を曲げる為に屈伸する、ぐちゃぐちゃと変な音が膝から聞こえてくるが曲がる…問題はない、動けばいい。

爪先立ちになる、親指にしっかりと力が入る、爪が割れるような音が聞こえたが…問題はない、動けばいい。


体を動かせれる状態へと強引に持って行ったので、頬を叩き、全力で外に向かって駆けだす。



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