Dead End ユ キ・サクラ (16)
「そうですね、そういう日もあると思います、寝苦しい夜もあると思いますよ?ですけれど、起こしに来る側の事をお考えになっていただけたりしませんか?此方としましては何時もの様に有り触れた日常として気持ちよさそうに寝ている人のシーツを捲ったらお見せになられます寝姿が全裸っだというのは、瞬時によろしくない事件性を連想してしまうのでこれからは控えて欲しいとは申し上げません。絶対に以後、二度とないようにおやめになっていただけますか?ほかにも言いたい事としましては、最近、お体を崩されたという事をお忘れですか?過ごしやすい気温だとは言え、夜風はお体に障ります故、この様な理由で体調を崩したらどうするのですか?」
起こされてすぐに、全裸のまま、ベッドで正座させられ、メイドちゃんに軽くお小言を言われてしまう。正論過ぎて何も言えないので耳が痛いけれど、こればっかりは私が悪いので反省するだけだよね、はい。もうしない。心地よさが癖になったらそれはそれで、私も困るから。全裸じゃないと寝れないっていうのは、ちょっとね、良くない気がするから。
どうして、メイドちゃんに怒られる流れと言うか、事の顛末なんて要る?
まぁ、一応、説明するけどさー。そりゃ、夜更かししちゃったわけじゃん?そうなるとさ、いつもよりも寝る時間が遅かったからさ、当然、起きる時間も遅くなるわけじゃんよ?ってことは、誰が起こしに来るんだい?決まってるよね?メイドちゃんが起こしにくるってわーけ。
っで、メイドちゃんが起こしに来たら、私が全裸で寝ているという状況に驚くと同時に、何か事件でもあったのかと慌てるわ~け、っで、慌てふためくメイドちゃんにあっけらかんと夜更かしして、シャワー浴びて、服着るの面倒だからそのまま寝たって言った結果、やんわりと怒られました!はい!私が悪いです!二度と…しない、かな?かなじゃないよね、しないようにします。ってなわけです、
やんわりと怒られた後はスケジュールも押しているので、手早く用意された服をいそいそと着て、ぼっさぼさになった髪の毛を櫛で綺麗に整えてもらいながら、今日のスケジュールを確認する為に、予定を声に出してもらうのだけれど、人に聞いておきながら、私の頭の中は昨日のことばっかりだった。
そう、私の中で大きな存在に膨れ上がっている、新月一歩手前の繊月だった為に、やってくることがなかった柳について、頭の中も心の中も、選挙率が大幅に膨れ上がり、私と言う器の中には彼の事がいっぱいいっぱいだった。
ってなわけで!仕事もなるはやチョッパや大急ぎで終わらしてきました!
っていうか、元々、新月が近い数日の間は仕事の量を減らす様に調整したので実は予定通りで問題はない!
問題があるとすれば、昨日も遅くまで起きていた影響もあって、少々寝不足みたいな感じがして、今も瞼が重く感じる程度に眠たいって、くらいかな?
かといって、何時も通りの時間に寝ちゃうとさ…うん、柳が訪れる時間に起きれる自信が無いんだけど…
起きれる自信が、じしんが…ないんだけどぉ~、ふぁあぁぁ…欠伸がとまらなくなってきまっている…まぶたもおもけりゃ、首がすわらない…ふにゃんふやん…
日々の仕事による疲れに、先ほど、食事を済ましてきた影響もあってすっごく眠たくなってくる、徐々に徐々に、加速する様に睡魔がこっちに向かって走ってきていりゅぅ…
ぐらんぐらんと座らない首を回しながらも、ちらりと壁にかかっている時計を見ると、はわぁふぁあぁぁぁ…まぁだまだ、時間があるぅ~…っていうか、そうじゃん、2時間くらい仮眠をとっても問題ないじゃんね?寝たほうがすっきりするよね?っという、甘い誘惑を睡魔が両脇に抱えて声を掛けてくる、その声に誘われそうになる…
寝たほうがいいのか?起きていた方が良いのか?…仮眠ができる人からすればどうでもいい内容に、かれこれ何分だろう?よくわかんないけれど、悩んでいる。
簡単に整理してみよう~、仮に~仮眠を取ったとして~いったいぜんたい…私って起きれるのか?そんなの誰だってわかってる、答えは否!!経験上、私は寝たらまず起きない!起こしてもらうという生活を何年してきたと思ってるの?貴族を舐めんな!…いあいあ、ちがったちがった、いまは平民だよぉ~?貴族みたいな生活してっけどな!
では、仮にこのまま寝ないで気合で起きていた方が良いのか?
冷静に分析しよう、この状態であと私は何時間耐えれる?耐えられる?っというか、彼が現れると思われる時刻は後、3時間から4時間って考えると、後三時間も起きていないといけないんだよね?…耐えれる?無理!!何とか起き続ける事が出来たとしても彼にあったら、少しでも気を抜くと絶対に睡魔に負けてしまって、うつらうつらとして頭回らなくなるよね?なる予感しかしない。
…っく、お母さんと同部屋じゃないっていう弊害がこんな形で浮かび上がってくるなんて想像していなかった!
そうなんだよねー、お母さんが居ればさー何時だろうと、何時に起こしてってお願いすると、全力で起こしてくれるんだよね!
私が不機嫌になろうがお構いなしに起こしてくれる!!っていうか、手慣れているから私が寝ぼけていても手慣れた動きで支度もしてくれるんだよね!メイドちゃん以上にメイドなんだよね!その事を伝えると、私は侍女じゃないって嫌そうにするけれどさ、内心はちょっと嬉しそうなんだよね。
ってことは、効率を考え保険を考えるのなら。
時刻を確認すると今の時間なら部屋で仕事してそうだよね、今から部屋に行って起こしてもらえれないか相談してみる?…でも理由がでっちあげれないなぁ、どうしてそんな夜中に起こしてほしいのかって理由が必要だよね?絶対に夜中に起きないといけない理由を聞いてくるよね?
起こしてもらうために必要な、何か手ごろで都合のいい理由があるのか、ないのか、考えようとする…のだが、少しでも気を抜くと睡魔という悪魔に肩を叩かれ夢の中へと誘われようとしている。いつ寝落ちしてもおかしくない私の思考能力では良い案が思い浮かばない。
…今言えることは…できるせんたくしはぁ…
僥倖にも、私って考え事をするときはソファーに座ることが多いんだよねぇ、その為、今だって何時もの様にソファーに座りながら考え事をしていた。
気が付けば、思考は停止し、睡魔に優しくソファーに持たれる様に言われ、言われたままにソファーの背もたれに全身を預けるようにすると、ずるずると、背中が滑っていき、横になってしまうと、夢の中という大海原に出航してしてしまっていた。
「うっは、っぇ!?な、なに!?ぇ。敵襲!?」
突如、ぽっかりと空いてしまったような気持ちの悪い感覚によって目が覚める。
ソファーから飛び起きるように起きて、涎をハンカチで拭き取りながら慌てて周囲を見渡し耳を澄ませる
異常なし!よし!ごほぅ…ねるか…
しゅういにいへんはなかった~…かねのおともなっていない~…きっとねぼけていた・・・・
吸い込まれる様にソファーで横になり目を閉じ、しんけいをおふにしようと・・・
じゃない!あの時と同じように私の術式にぽっかりと干渉できない空間が出来てる!起きる!おーきーる!!
寝ぼけた頭を叩き起こす様に頬をぺちぺちと叩いてから、吸い込まれていったソファーから上半身を勢いよく起こし、その勢いのまま床に足を付けるころには目が覚める!!
まったくもう!眠たい時の私はダメだ!この感じた異変が何か思い出せっての!
ここ数日待ち望んでいた感覚であることを確認する様に思い出すと同時に現時刻を目視で確認する。
これで、柳という人物が何時ごろに現れるかという目安を手に入れた!
本当はっていうか、理想は、柳が現れる前に広場で仁王立ちで待機して、柳が広場に現れると、かっこよく「待っていたぞ!」って、覇王の如く!この街の代表者らしく威厳をだした出で立ちで待ち構えていたかったけれど!寝ちゃったものはしかたない!それに、広場には時計を設置してはいるけれど、暗くて見えにくいし彼が目の前に現れたら時刻を確認する余裕が私にはないだろう!ってことで!彼が行動を開始する時刻を入手するという目的が達成できたから、ヨシ!!結果的にヨシ!
うんうんっと、頷いて、自分自身の肯定感を満たしている場合じゃない!
慌てて、鏡の前に立って、身だしなみを確認する、のだが、気が付くと化粧台に置いてある化粧品が目に留まる…が!今はそんな時間ないでしょっと、視線を鏡に向けなおして、手櫛で乱れた髪の毛を整えていると、どうしても視界の隅っこにあるモノが気になり、ちらりとみてしまう…
軽く首をふって、もう一度、鏡に映った自分を見る…うん、寝癖も取り合えず誤魔化せそうな範囲かな?あと、寝ていた時にお化粧せずに寝たから、すっぴんなんだよなぁ…化粧台の上にポツンと置かれている品物につい視線が吸い寄せられてしまう…
この間、試作品として出来上がった新作の口紅がある…
口紅を手に取ろうとした瞬間に、手を引っ込めると同時に頬をぺちっと叩く
って、違うでしょ!デートとか、そういう目的じゃないでしょ!なに、悠長にお化粧したほうがいいかな?っじゃないっでっしょ!!まったくもぅ!!
時折、乖離する自分の思考を正し!誘惑の化粧台から離れて、ワークスペースである机の上に置かれているメモ書きを流し見ることによって、思考を切り替える!
三順ほど、メモを見返してから、うん!っと小さく声に出しながら気合を入れる。
気合を入れた後は、寝起きだから口が臭いと嫌だから、念のために口の中に水を放り込み、急いで漱いで、口腔を綺麗にして、ついでに水分を含む様に摂取して、寝起きで乾いた喉をささっと潤わす。
エチケット的な意味合いがある支度も終えたので、急ぎ足で向かおうとするが、慌てず落ち着いて部屋のドアを開け、外用の靴を手に持ち、足音で皆を起こさないようにする為に、廊下は裸足で慎重にされど急ぎ足で、音を消して歩く!




