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最前線  作者: TF
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とある人物が歩んできた道

こんなのは、何処にでいる、誰でも私と同じようになれる、居ても居なくても世界は変わらない。


見える世界の色は灰色、貴族同士の会話なんて木々の騒めきと等しい、中身何て、何もない、ただ音が流れるだけ、中身があるとすれば、領主に如何に気に入られるのか、そんなの何も意味が無い、どうせ、私みたいなのは側室候補…候補にあがるだけでも家の事を考えれば良い方だ。


何時も通り、手を振って、愛想だけでも振りまいておこう、幸いにも私の美貌はマシな方だ、一級品の様な特別に上等でもない、かといって下民ほどひどくはない。

何処にでもある貴族の一欠片、頭が良いわけでもなく、運動神経が鋭いわけではなく、取柄なんて何もないわ。



私もあの方と同じ様に自由に生きれたらどんなに、幸せだったろうか…



あの方って?決まっているじゃない私達の騎士。憧れの存在。我が王国の筆頭騎士、王を守る為の近衛騎士になると歌われ続けていた騎士様。


衝撃でしたわ、初めてお会いした時はなんて、あの大きな体に品があるのかと言われていても、女性に対しての気遣い、同僚や下の者に接する態度、上の者に相対するときの凛としたお姿、所作雰囲気吐息に至っても全ておいて優雅で勇ましく品がある、孤高の存在でしたわ。


この世全ての乙女達の憧れでしたわ。


学院、全てからの、いいえ、王都に住まう若い乙女は全員が憧れていたと言っても過言では無かったわ。彼が道を歩くだけで皆々が見惚れてしまうほどの勇ましさ、アレこそが、始祖様の純粋なる系譜ですわ。


学院での模擬戦で、当時、学院最強とまで歌われていて、卒業後は噂の死の街に勇敢にも志願しているという人を圧倒したあの体格から考えれない程の優雅な体捌き。

アレなる動きに、心射抜かれない乙女はいないですわ。



そんなお方が、この上流階級からお隠れになるなんて、誰が想像したでしょう?あそこまで高貴を体現したような方が下民に降るなんて、誰がお考えになりまして?



あの人が王城から消えた瞬間に私達、乙女達の世界から色が失われてしまったの、全てがどうでもよくて、つまらない世界に変わってしまったの。

嗚呼、いと高き麗しの騎士様!どうして、どうして去って行かれてしまったの!?


理由はみんな知っていますわ、ある下民に惚れたからという理由


そんな、嗚呼、そんな、約束された成功の道を、輝かしい未来が待っているのに、それら全てを捨ててでも、愛に生きるなんて、誰もが真似できない真なる愛の為なんて叫ばれてしまっては乙女達は納得するしかないわ、なんて高貴で高き心の持ち主なのかしら。より一層、惚れてしまいますわ。



それからというもの、日常からの潤いがなくなってしまって、どうしたらいいのかと、人生への喜びを、歓びを、悦びを失ってしまって、悩んでいたの


そんな日々を送っていましたら、ある日、学友であり、私と同じく騎士様の大ファンだった方からお聞きしましたの、騎士様が死の街に行かれると、これは神が与えた試練でもあり、チャンスなのではと天啓を受けましたわ。


私の未来何て、何処かの、貴族の側室以外ないと思っていましたけれど、死の街はどんな人でも受け入れてくれますし、そこで名を上げることも出来る、どんな人にも可能性を与えてくれる場所ともお聞きしております。



そうと決まればやる事は一つですわ。



私もそこで才を誰よりも発揮し私の輝きを魅せて!私の存在を誰よりも輝かせることで!騎士様に気が付いてもらい!その後はもちろん!奥様から遠い異国の死の土地で盛り上がる生存本能!燃え上がる生命のサガ!


…いけますわね。この計画!やるしかないじゃないの!!


そこから一念発起!今までしてこなかった努力をする日々が始まりましたわ。


騎士の方達に手解きをしていただいたり、研究者の方達にお話を聞かせていただいたり、医療を志す人達から人体の構造などの講義をレクチャーしていただき。


それを全ての努力を、経験してわかったのが一番適性がありそうなのが、医療、次いでは研究の方、最後に戦闘でしたわ。


とはいっても、続けていけば、何処かで花開くこともありましょう、なので、


一年!一年は全力で!今まで灰色で何処にでもいる様な体たらくではなく!あの輝ける騎士様の様に個として周りからも認識されるような、あの騎士様の隣を歩けるくらいの輝きを身に纏って魅せる!!


そこからの一年は、世界が灰色なのは変わっていなかったけれど、何か目標があるのはとても素晴らしい物なのだとわかった。

堕落して自分の価値を下げて、卑下して、不貞腐れて、そんな人間が、あの輝ける騎士様と会話しようものなんておこがましすぎる、彼はどんな人にでも態度を変えずに接してくれるけど、それを望んではいない!彼のその鉄壁を剥がして!態度を変えて見せる!彼の人のオンリーワンに私はなって魅せる!!!


一年の実際に血が滲んだ努力の末、私の努力が上の方達にも目を留めてもらい、成果を認めて貰える様になりましたわ。


その結果、学院の推奨も頂き、死の街に行く許可を得ることが出来ましたわ、学院からの見学ではなく推薦を捥ぎ取り!更には!学院での功績が認められ!正式に王城からも推薦を頂きましたわ!


学院+王城から推薦された立場を持っての参戦!きっと、先にいる彼の耳にも届いているはず!王都から凄い人がくるって!!期待感が高まってきましたわぁ!胸の鼓動が鳴りやまない。努力の成果が報われる瞬間が待ち遠しい!!!


ソコからはもう脳内のアドレナリンが途切れることが無くて、眠れない日々が続きましたわ。瞳孔も開いて脳内麻薬ガンギマリでしたねー。心臓の音がずっと耳に響くくらい高鳴り続けて、医学的観点からみると、死ぬんじゃねこれ?って感覚でしたけれど!抑える術が無いの!期待感が高まり過ぎて高揚が抜けなくて!もう誰にも私を止めることは出来ないの!もうどうにでもな~れ!?



これが、本当に地に足がつかないってことなのだと思う。ずっとずっとずっとふわふわとお空を飛んでるような気分。



荷造りも全て終えて、最後にやることがある、王都を離れる前に心残りを憂いを無くしたい。


憎くはないが、心のしこりとなっている、あの高貴なる騎士様の心を射止めた人に遠目でいいので一目見てから出発しようと思い向かっていく。

この王都に住んでいる限り、あの騎士様に憧れを抱いている乙女なら全員が知っているわ、何処の誰でどんな仕事をしているのかも、だから、会おうと思えばすぐにでも会えるわ。


最近では貴族の間でも話題となっている仕立て屋がいる、そこにアイツがいる。


仕立て屋の近くにいると、人影が見える、恐らく、アイツだろう


あいつから私達の騎士を、私だけの騎士にしてみせると決意を固める為に!全神経を集中させて見ると、とても美しい女性だったのは認めましょう、そして、お子さんを抱っこされていた。


そう、子供が生まれていたのね、だから、彼はかの地に旅立ったのかもしれないわね。


いと高き至高なる高貴な魂の持ち主である、彼であれば、安全な王都で自身の愛する家族を守るのではなく、未来の脅威となる可能性が高い死の根源を!憂いを!断つために!愛する未来の為に!勇者として旅立ったのね!はぁはぁ、興奮が止まりませんわ、流石は私達の孤高なる魂の騎士様!


それにしても、お子さんは服装から見てもたぶん、男の子でしたわね、嗚呼、あの騎士様のお子様ってだけでも尊く感じれますわぁ、興奮が、まだ、あの方にお会いしていないのに胸のトキメキが爆発しそうですわぁ。


平静を装いながらすれ違っていく、尊きお方のお子様は私を見て手を振ってくださいましたの!嗚呼ダメ、興奮しすぎて倒れそう、でも、ここでそんな失態を見せるわけにはいきませんからね!心は天国にいきそうですけどね!



決意と野望がより深く、心の奥底まで刻まれたのを感じ取れましたわ。この覚悟さえさればどんなことでもしてみせる。



出発の準備も物理的にも心構え的にも、完璧、かんのぺっきぺき!心はばっきばき!さぁいきますわよぉ!!


活き込んで馬車に乗り込んだのは良いのだが、馬車の中は何もすることが無かったので気が付いたら爆睡熟睡完睡だった。


ふと、目が覚めたらいつの間にか夜になっていて、それでもまだ、目的地にはついていなかった、お聞きしていた話によると明日の昼には到着するらしい、耳を澄ませるとゴトゴトと私が乗っている馬車以外にも馬車の音が聞こえる。


どうやら、同じ目的地へ向かっている馬車が複数集まってきているみたいだ。


死の街に行きたいなんて、酔狂な人が他にもいるなんて思わなかった、たぶん、目的は各々違うのだろうと思う、この馬車の集団の中に、死の街に喜んで馳せ参じる様な愚者は私だけだろうな。


馬車の揺られる刺激に、夜の爽やかな風、神聖な月の光、その全てが相まって私の心は冷静になっていくのが解る、この一年の頑張りが報われる日が近いのだと思うと、もっともっと、刻が近づいてくればくる程、高まるかと思いきや、こんな落ち着いた気分になるなんて思ってもいなかった。



やっぱり、神聖なる月の導きがある時間だからかな?



我が王都では、月夜輝ける日は始祖様の御心に触れるといわれていて、月の光や始祖様が信仰の対象となっている。


その御心なる光の導きよって、きっと、私の心が洗われ磨かれ、清浄なる正常へと戻れたのだと思う、嗚呼、始祖様からも我が行いが認められていると肌で感じれる、この先の未来が良き未来へと繋がっていくのだと感じれます。嗚呼、始祖様の後押しに感謝の言葉が止まりません。



ありがとうございます、始祖様、感謝を捧げます。私はやり遂げて見せますわ。

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