表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最前線  作者: TF
167/694

とある人物達が歩んできた道 ~ 時の流れは① ~

「お誕生日おめでとー!!」

部屋に灯りが灯ると同時に拍手喝采、一斉に歓声が沸き上がり、建物が震えよう程の大きな声に、この瞬間だけは世界中が祝福してくれると感じるほどの熱気を肌に感じながら何事かと驚いて状況を掴みつつある姫ちゃんの手を引いてお誕生日席に案内する。


お誕生日席にちょこんと座ると、飾りつけされた部屋を目を輝かせながら見渡している。


座って心落ち着くまでの間に次の作戦を決行する。

各部隊が連携して、絶対に見つからないように相談し、この日の為に!絶対に見つからないよう!慎重にかつ、そんな空気を感じさせないために本当に気を付けたこの日の為に準備を続けてきた。

姫ちゃんって勘が鋭いから些細な動きというか、ちょっとした所作で嘘を見抜かれるし、小さなことから紐づけて見つかりそうだったから、姫ちゃんにバレないようにするのが大変だった。

見つからないように用意したお洋服!大変だったのよー全部一から素材を集めて、奥様を筆頭にデザインして、話し合って、作った、世界に一つだけの姫ちゃん専用のお洋服。

皆でお金を出し合って、素材を長年お世話になっている行商の人に頼んで見繕ってもらってね。


この街に住む全員が何かしら関わって作ったのよ、姫ちゃんには感謝の気持ちしかないもの、喜んでほしくて皆で用意したのよ。


誰が渡すのか、決まってはいないので誰だろうと思っていたら背中をトントンと叩かれて、綺麗に飾りつけされた袋を渡されるので、察する。

私ね、そうよね、そんな予感はしていたわ。


部屋中を見渡して笑顔になって椅子に座った足を前後に振り子のように動かして気分が上機嫌の姫ちゃんにプレゼントを渡すと

輝いていた目を更に輝かせて開けていいの?開けていいの?っと声のトーンが高くなっていくので全員で頷きながら開けていいよっと声を揃えて言うと


綺麗に包装されたリボン等を丁寧に外してはリボンだった帯をクルクルっと丸める様にした後は近くにいる人に渡して、袋を丁寧に開けていき

中身を取り出すと声にならない声を叫び、嬉しすぎたのか


椅子から降りて、体の底から湧きあがる感情が抑えきれなくなり、ぴょんぴょんと跳ねながら袋から出てきたプレゼントを抱きしめながらずっと、声にならない声で叫んでいる。


落ち着いたのか、洋服を抱きしめながら椅子に座る、タイミングを見計らっていたメンバーがテーブルを姫ちゃんの近くまで持っていくと、食堂のおばちゃんお手製のケーキを姫ちゃんの前に用意して切り分けていく、その間に、次々とテーブルの上に料理が並べられていく、料理と言っても軽食の類で立食パーティーって感じのメニュー


そこからは、一人一人、姫ちゃんに感謝の気持ちを伝えたり、姫ちゃんの好きな英雄譚の寸劇をしたり、誕生日会を盛り上げていった。


全てが終わって、お開きになったので、姫ちゃんの手を引いて自室に戻ると、ぽろぽろと涙を流しながら

「私、この街に来てよかった、皆に会えてよかった」

感極まって色んな感情が零れ落ちていた、この子は、自分がどれだけ感謝されているのか理解していない節があるのよね。

貴女がこの街に、いいえ、私達に、最初は小さな小鳥の囀りのような小さな小さな福音だったのが、今では、大きな福音となって広がっていったのよ。


貴女はもう、この街に、いいえ、この大陸の心臓なのよ。この小さな世界で留まるような小さな心臓じゃなかったのよ。


部屋に着くとお洋服を抱きしめながらベッドにダイブしたと思ったら、直ぐに寝息が聞こえてくる。


窓を開けて外から入ってくる、先ほどまで開かれていた誕生日会で熱を持ってしまった体にはちょうどいい。心地よく感じる。


この1年、姫ちゃんが来てから、もう1年も経過するのよね、短いようで、長かった。

思い返してみると驚きの変化なのよね。

街も全体的に広がっていくというか、大きくなったというか、次々と建物が今も現在進行系で広がって行っているのよね。


気が付けば人が住む為のエリアが作られているし、誰がするのかわからないけれど商業エリアとかも作られているのよね、その為か色んな場所で変化があるのよね。

申請を出せば、お店を開くことも出来るのよ、王都じゃ考えられないのよね、王都で店を開く場合は、組合に登録しないといけないから、コネクションが必須なのよ。

それ抜きで自分の思ったようにお店を出せるなんてね、凄いことなのよ。

だから、お店を出したいっていう夢を持っていたけれども叶わなかった人って、結構いてるのよね、それすらも叶えようとしているのよね。


決して自慢できる、出来ではなかったわ、私としてはあるだけでも嬉しかった。

見る人にとっては、お風呂があるだけでも贅沢っていう人もいるのよ、流刑の地であり死の大地で働く人たちにお風呂なんて趣向品、必要あるの?って、時代を考えずに発言する人は、王都にはいるでしょうね。趣向品扱いだから、とても綺麗な物では無かったわ。


でもね、今のお風呂は凄いのよ、こんなに綺麗なお風呂なんて、王都、いいえ、この大陸全土を見回しても無いほどよ、きっと、王族が羨むくらい素晴らしい出来栄えなのよ、造詣だって姫ちゃんご自慢の地球の中でも指折りの風景が描かれているのよ。知らない私でも凄く綺麗で、見てるだけで心が落ち着くというのか、見惚れてしまうのよね。

浴場も素晴らしいけれど脱衣所も素晴らしいのよ、髪の毛を乾かす魔道具もあるし、お風呂上がりに体が欲するであろう、冷たい飲み物が飲めるように冷蔵庫もある。


仕事上がりに、お風呂に入って、お風呂で心も体も癒された後は、畜産の旦那ご自慢の牛乳がいれられた瓶を冷蔵庫から取り出して飲む!!

これがまた、脳みそが溶けそうなくらい蕩けそうになるのよね…あれはもう、麻薬の一種よ依存するわね、お風呂上がりに冷えた牛乳が無いだけで、心に与える衝撃は相当なものになるわ。


後はね、一部の人達って、丈夫な服を持っていないこともあるし、わざわざ用意するのも難しい人も中にはいたのよ。

そういう人達は、私達が着なくなった服で、その中でも、綺麗な部分を切って繋ぎ合わせて、新しく服を作るのよ。その作った服を着てたりしていたのよね。


もう、そういった悩みも無くなるのよね、隊服っという物も作られたのよ。

これからは、作業する時とか、仕事する時とか、各々が隊服を着るのか私服を着るのか、好きに選んでいいことになったのよね。

隊服も、かなり上物で切れにくいし汚れも落ちやすい素材みたいだし、何よりも頑丈というか、丈夫なのよね~。

だから、好き好んで私服で動く人は少ないわね、姫ちゃんは私服だけどね、スカートが好きみたいで、汚れる仕事の時以外は常に私服なのよね。


毎日、可愛い服を選んで着ているけれど、やっぱり、ちょっとずつ汚れてきていたし、ほつれてきている部分もあった、新しい服を買えばいいのだけれど、なかなか、新しい服を買いに行く時間もなかったのよね、行商の人も姫ちゃんに服を持ってくれば売れるのはわかっていても、仕入れて好みじゃなかったら…その後の、売り先がないので、迂闊に仕入れれなかったのよね。サイズもわからないし。


姫ちゃん自身も、それらに対して悲しそうな顔をしていたもの…だからこそ、誕生日でお洋服を貰えたのは嬉しかったのでしょうね。


後は、新たな資金源となった新機軸の魔石が産まれたのよね、どうしても浸透水式の為だけじゃなく、全てにおいて魔石の改良は必須になりつつあったのよね。

今では、魔石も改良に次ぐ改良に、過去の物なんて比べ物にならないくらい魔力を保存できるようになったのよね。

お陰様で、その構造を教えるという名目で大量のお金も入ってきたのよね。技術もしっかりと売る、商魂たくましいわね。


他にもいろんな変化が起きすぎていてお母さんといえど、把握しきれないわよ。

何度思い返してみても、溜息が漏れるわよ。経ったの一年で世界が変わりすぎて、正直付いて行けない筆頭と言えばこれよこれ、ナニコレ?


机の上に置かれている、手のひらに入る程の小さな四角い金属で出来た物を手に取る、特殊な材料で作られた石の様に硬いカード・・・

これ一つで、お金のやり取りが出来るようになってしまった、今まで見たいに金貨などを持ち歩く必要がなくなったのよ、あのおっっっっっもい!!硬貨を持たないでよくなったのよ!!!


産まれたきっかけは、私になるのかしら?

毎日毎日、あちらこちらから渡されるお金…姫ちゃんがあっちこっちで稼いだお金は、後々になって、護衛団と共に、この街に運ばれてくるのよ。

その際には、手の空いているスタッフ総出で私の!部屋に!運んでくるのよ…


当然、中身を確認して、間違いがないのか把握しないといけないのよ、税金もあるから…脱税なんてしてみなさい?直ぐに飛んでくるわよ?

なので、毎日、毎日、仕事から帰ってくると、仕事が待ってるって日々よ…


お金の管理ばっかりしていた日々に、精神の限界というか、肉体(腰と肩)の限界も、きちゃって…

もう無理!耐え切れない!近くで寝ていた姫ちゃんに抱き着く様に泣きついてしまったのよね、そしたら寝ぼけながらつぶやく様に「銀行作るか」呟いた後、直ぐに寝ちゃったのよね。


それから、たったの三か月で作っちゃったのよ、銀行って言うシステムを…


凄いのが王都に住む平民、貴族だけじゃなくて、近隣諸国の領主にもしっかりと浸透したのよ。

これのおかげで、現金を持ち歩かなくても買い物や、取引が出来るようになったのよね。

使い方も凄く簡単で、これに魔力を通して、お互いのカードを重ねて、いくら相手に支払うのか、声に出して宣言する、それだけ、相手にお金が振り込まれるのよ。


現金が必要な時も、当然あるのよ、そういう時は、王都や各町にある姫ちゃんが作った銀行という施設で働いている人にカードを渡して申請すれば、ちゃんと現金を下ろしてくれるのよ。銀行が無い街では、提携している領主様が管理している施設にカードを提示すれば銀行と同じようにお金を引き出せるようになっているのよね。


それだけじゃないのよ、このカードで取引をすると、しっかりと記録される、これが一番助かるのよ、帳簿を付ける係としては大助かり。


お金を引き出したり預けても記録されるわよ、支店名とか、担当した人の名前とかもね。

記録した情報は、銀行の人に言えば、その場で印刷してもらえるのよ、それさえあれば、お金の動きが丸わかりなのよね、


このシステムを造り上げちゃったものだから、財務の人が完全にこの街から離れることになったのよね、そう、王都での経理担当する人達にこのシステムの素晴らしさを武器に財務を管理する部署に配属が決まったのよ、それも、次期、財務大臣候補(ほぼ、当確間違いなし)という形でね。


これのシステムのおかげで各国の領主様は、悪いこと代表である不正取引とか、脱税とか、後ろめたい事が、しにくくなったのよね。

完全には防げなくても、悪いことをするために必要な条件を整えるのが、かなり面倒になるのよね。

何処で何をどんな風にお金を使ったのか履歴迄残ってしまうから、不正も出来ない。支払いのミスも減る、良いことづくめなのよね。


最初はね、銀行なんて一か所にお金を集めちゃったら、野党とか、犯罪を生業としている人達に、襲われる可能性があるんじゃないかって思ったのよ、当然、それについても提案したけれど、姫ちゃんは当然の如く、対策を練っていたみたいなのよ。


銀行を、運営しているのが姫ちゃんだと、後々に野党や犯罪集団の誰もが知って、手を出せない状況になったみたいなのよね、迂闊に手を出せば…


時の人でもある、大層な人物を怒らせた結果、多くの野党が捕まってこの街に連行されているのよ。

その光景を見た他の野党や、盗賊団たちは思ったでしょうね、アレに手を出せば、確実に助かる道がないって…


姫ちゃんが雇用している行商の人が襲われたときに、物の数分で襲った敵のアジトを突き止めて、壊滅させられた盗賊団は数知れない…そんな武勇伝みたいな噂があるって昔からこの街に来てくれている行商の人が言っていたのよね…まぁ、ね、噂じゃないんですけどね。


姫ちゃんってね、悪意にはきっちりと悪意で返すのよね…非道な行いをする者には同じように裁くのよ、王都に盗賊団を引き渡したところで、黒幕がどこぞの貴族とかだとすると、面倒になるから…消えてもらうのよ、人類の生存圏からね…お察しの通りよ、死の大地へ装備無しでご案内よ…


その悲惨な盗賊団の結末を、多くの商家に、騎士団が目撃しても何も言ってこないのよね、心情は、姫ちゃんを敵に回すのは得策じゃないってところかしら?

当然、王都で悪どい事をしていた貴族の庇護にあるどうしようもない奴らにも、当然、それらを抱えている貴族にもね。広まっているでしょうね…


今はね、財務の人が王都で重要なポジションに向かって邁進しているからね、姫ちゃんが、王都や、各国の領主、いいえ、大きな取引であれば全てよね。

そりゃ、当然、すっごく文句を言われたわ、けれども、私達からするとそんな、大口の取引を生産者であり開発者である彼女でしか知りえない状況も数多くあるのだから、迂闊に返事なんて出来ないわよ。だから、しょうがないじゃない。


それにね、戦士達も強くなって、道具も大量にあるし、この街は、魔道具持ちの人型でも襲撃してこない限り、陥落しないわよ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ