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そうではないかと

 問題は彼女の持ち物だ。


 鉛筆に手編みのキャップが被せてある。


 鞄にはキューピー人形の編みぐるみのキーホルダーがついている。


 手帳カバー、水筒入れ、低めのポニテにつけてるシュシュや首飾りも手編みの物だ。


 さらに武原先生は花模様のモチーフを編みつなげたマーガレットと呼ばれるカーディガンみたいな羽織り物を着ていた。それは、俺も技巧が気になって編んでみたが、俺が着るとなんとも妙で、姉ちゃんにぶんどられたものと似ていた。


 そして、とうとう特徴的な手帳カバーから俺のSNSのフォロワーの1人、弓タコさんと武原先生は関係があるのでは無いかと思うようになった。弓タコさんのアカウントのアイコンが全く同じ手帳カバーの写真だったのだ。


 「弓タコさん、販売なんかしてたのかな?それとも武原先生の母親とか?」


思わず塾の帰り道、電車の待ち時間に独り言を漏らしながら弓タコさんのページを開いた。出てくる、出てくる。作品の写真が。



 『マーガレット、大作完成です。嬉しくて毎日着てます。温度調節に便利!キナばあばのマゴさんの編み図参考にしました!』


『いつも大好きなお店の卵巻きお寿司。キューピーちゃんに編んで着せてみました!編み図は適当に編んだから載せられない!』


本人か?確かめようと更に彼女のページをスクロールして日付けを遡って(さかのぼって)いった。


『編む。編んでいる間は忘れられる。耐えられる。』


『とうとう彼と別れました。しばらく浮上できないかも』


ん?ヘビーだ。編み物話以外まで呟いている。急にドキドキしてきた。リアルに知っている人かもしれないと思ったとたんに秘密を覗いているような気分だ。


 公開されているのだから、決して俺は悪いことをしているわけではない。それなのに編み物の作品の写真が見覚えのあるもので、武原先生ではないかとの確信を持つと同時に彼女の私生活を覗き見している感覚が拭えなかった。のに見るのがやめられない。


『彼から別れを切り出されました。私はまだ好きなのに。』


『私のオリジナル編みぐるみのゆみうさちゃん!初めて見せた時、私に似てると言ってくれました。これ見せたら、私を思い出してくれるかしら?』


『彼がケガしました。少し記憶もあやしくて私が誰だか知らないって。』






記憶があやしい彼が「深く沈めた初恋が蘇ってしまったら〜氷晶を溶かして花を咲かせて」https://ncode.syosetu.com/n5001hw/

の主人公安積廣智になります。

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