92、 独占欲と重さ
読んでいただきありがとうございます!
本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
本編の更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
「と1/2」シリーズは不定期です。
目が覚めると蓮華の寝顔。
「…おはよ」
小さく呟いておでこにチュッとキスをする。
くすぐったいのか蓮華はモゾッと動いてまた寝息を立てる。
いつもは蓮華の方が早く起きて朝ご飯を用意してくれる。
でも今日は俺が早朝に出発なので俺の方が早い。
だから久しぶりに感じる左腕の痺れに蓮華がここにいてくれるんだなと感じる。
「…幸せだなぁ」
ギュッと抱きしめると蓮華もフニャッと笑って擦り寄ってきてくれた。
いつもとは違う甘えた感じがまた可愛いし、俺だけが知ってる蓮華だ。
「絶対にもう離れないから」
そう呟いて頭を撫でるとまた嬉しそうに笑った。
蓮華が用意してくれていたパンを持って地下駐車場に向かうと
タカくんがいた。
「おはようございます!」
「おはよー。今日もよろしくね」
「はい!」
車に乗るとハルくんがいた。
「おはよう」
「おはよー。今日、ハルくんと移動だっけ」
「そうだよ」
苦笑するハルくん。ハルくんはいつでも爽やかだ。
「じゃあ行きますね」
「あ、タカくん。どっかでコーヒー買いたい」
「俺も便乗しようかな」
タカくんに言うとハルくんがちょっと嬉しそうに言った。
「わかりました!指定がなければ近くのテイクアウトにしますけど」
「うん、大丈夫」
「俺も」
「了解です!」
いつも元気だなーと思ってるとハルくんが俺の手元に気づく。
「あれ、それもしかして愛妻弁当?」
「そー。朝ご飯の手作りパン」
最近パン作りにハマってるらしい。
今日は一口サイズのベーコンロールパン。食べやすいからって小さくしてくれた。
「智くんがちゃんと朝ご飯食べてくれるようになってよかったよ」
「蓮華のおかげでね」
タカくんがコーヒーをお使いしてくれたので、パンを食べることにした。
「いただきます」
口に入れるとふかふかのパンの甘さとベーコンのしょっぱさのバランスがいい。
「うまぁ」
味わっているとハルくんが笑う。
「本当に幸せそうに食べるね」
「そう?」
「うん。食べることにそんなに興味なさそうだったのに蓮華さんのご飯は幸せそうに食べてる」
「…それはそうかも」
何を食べても味気ないと思ってたけど蓮華と再会してからは何でも美味しいし蓮華のご飯は絶品。
「蓮華さんには感謝でしかないな」
「え?」
「だって智くんが自分のことを大事にしてくれるようになったから」
「そうだね」
ハルくんの言葉に俺は小さくと呟いた。
仕事が終わって19時に家に着いた。
「ただいまー」
「おかえりなさい」
蓮華がパタパタと玄関までお迎えにきてくれた。
「ただいまぁ」
ギューッと抱きしめると蓮華も抱きしめ返してくれる。
「おかえりなさい。お疲れ様」
「蓮華ぁ」
ずっと抱きしめてると蓮華もちょっと困ったらしい。
「智、ご飯できてるから!」
「蓮華が足りない」
「もう!!肉じゃが冷めちゃう!!」
「…蓮華も肉じゃがも足りない」
「どういうこと?」
渋々と蓮華から離れて手を洗いに行く。
「…智」
「ん?」
「私はいつでも充電できるでしょ。だからご飯が先!」
顔を赤くした蓮華に俺は理性を保つのが必死だった。
隣で寝息を立てている蓮華の髪を整える。
結局、俺の理性が抑えれれなかったのは決して俺のせいだけではないと思う。
「無茶させたかな」
でも来週はまた地方でライブだし、しばらく会えない日が増えるから許してほしいと思いつつ髪を撫でる。
実は蓮華が気づいてない(と思う)耳の後ろに俺がつけた印がある。
独占欲が強すぎるのは自覚してる。
「俺、結構ヤバイ奴だよなぁ」
別に蓮華の行動を制限したいとかは全然無い。
でも俺の蓮華であることはしらしめたいし、手を出すなと言いたい。
連司にそれを言ったら高校の時からだって言われた。
「…俺、重いな」
でもそれだけ大事にしたいし一生一緒にいたいと思えるんだ。
モゾッと動く蓮華を抱きしめる。
「絶対に離さないから」
だから何が何でも守る。絶対に。
愛が激重な智くん。
「離れない」し「離さない」のです。
智くんの独占欲の印に蓮華さんは気づいているのでしょうか。
いいですね、こういう表ではデレデレなのに裏では重い感じの愛(あ、引かないでください)
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