90、 影は急にやってくる
読んでいただきありがとうございます!
本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
本編の更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
「と1/2」シリーズは不定期です。
ツアーが始まって智と会える日が少なくなってきた。
「大嶋さん達は忙しいねぇ」
「そうね」
由里香と家で飲んでるとテレビに智たちが映った。
今日は金曜だけど智が地方にいるから自分の家にいる。
それを知った由里香が泊まりにきた。
「で、どうなの?ラブラブなの?」
ワクワクと背負ってるのが見える。
「ラブラブって…仲良くしてるよ」
「ふーん」
嬉しそうな由里香に私は苦笑する。
「蓮華、知ってる?」
「?」
「会社でね、蓮華ちょっと前からさらに綺麗になって、最近は可愛くもなってきたって言われてるんだよ?」
「…へ?」
「それって大嶋さん効果だよねー♪」
ルンルンな由里香に私は顔が熱くなるのがわかる。
「そ!んな…こと」
「あるでしょー?」
ふふっと笑う由里香に私は何も言えない。
そりゃ、お手入れを前よりちゃんとするようになったし、ちょっとは可愛いって思われたいし。
「可愛いなー!私の蓮華ちゃんは!!」
ギューッと抱きついてくる由里香。
智が見たら剥がしてきそうだ。
「あ、最近周りから何か言われたりしてない?」
一時期、私のことで社員から色々言われていた。
「大丈夫」
「何かあったらすぐに言ってね?」
「うん」
滝と雨宮からもちょこちょこ確認される。
ありがたいけど、過保護だなぁとも思う。
この日はずっと由里香と恋バナをしなから飲み続けた。
日曜日。
智の家でご飯を作って帰っている時、声をかけられた。
「あのー、すみません」
「…はい?」
ニコニコしてるけど、なんだか嫌な笑顔の2人組。
「私たち、こういう者なんですが」
差し出された名刺には週刊誌の編集者の肩書き。
しかもこの週刊誌はいわゆるパパラッチ。智の記事を出したところだ。
「……」
「ちょっとお伺いしたいのですが」
「すみません、急いでいるので」
歩き出すと後をついてくる。
「さっき、このマンションから出てきましたよね?」
「…」
「ここ、Runeの大嶋さんが住んでるんですよねー」
「…」
無視しているのに話しかけてくる。
厄介だな、と思っていたら交番が見えた。
そのまま交番の方に向かう。
「すみません!!知らない人たちに追いかけられてて!!」
ちょっと大きい声で外に出てきた警察官に声をかけると、記者達は「やべ!」と言いながら逃げて行った。
「大丈夫ですか?」
「…すみません、大丈夫です」
駆け寄ってきてくれた警察官にお礼を言う。
安心したからか、手の震えが止まらない。
交番で説明をして、タクシーを呼んでもらった。
【…本当にごめん】
夜、智とのテレビ電話で今日のことを話した。
話すつもりはなかったけど、顔色が悪いからと理由を聞かれたから隠しておいてもと思って話した。
「ううん。交番が近くてよかった。ちゃんと帰れたし」
【今回の件は事務所にも報告するね】
「いいの?」
【事務所っていってもチーフマネージャにだけどね】
苦笑する智。
「…でも、智達がいつもあんな風に見張られてるんだってわかった」
【蓮華…怖い思いさせてごめんね】
「うん…」
【今度からタクシーでうちにおいで。タクシー代、渡すから】
思わぬ提案に驚く。
「え?でも悪いよ」
【蓮華の安全が優先!それにタクシーなら地下駐車場から中に入れるから追われることもないし】
行ったことはないけど、確かに地下駐車場があるらしい。
【マンションに地下入れるように手続きしておくね】
「…ありがとう」
智がやることが増えるのは申し訳ないけど、会えなくなる方が嫌だから甘えようと思う。
「…ごめんね、私のせいで」
【謝らないで。蓮華のせいじゃないし、俺のわがままで来てもらってるから】
いつもと違う厳しい言い方の智。
「でも」
【蓮華の安全を考えたら会わないで電話だけの方がいいよ?でも俺が我慢できないだけだよ】
そう言われてムッとする。
「それは私もだもん」
智は驚いた顔をした後に嬉しそうに笑った。
【そっか。じゃあやっぱり一緒に乗り越えよ】
「もちろん!」
力強く頷くと智は嬉しそうに笑った。
久しぶりに影を感じた。
厄介な奴らは諦めずに見張っていたようです。
でも二人で乗り越えると決めた蓮華さんと智くんなのでした。
あと、由里香さんとの恋バナには混ぜて欲しい。
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