82、 ずっと一緒にいるよ
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本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
本編の更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
「と1/2」シリーズは不定期です。
日曜日。
智は昨日と同じように一緒に朝ごはんを食べて仕事に向かった。
私はちょっとボーッとしてからご飯の作り置きをするためにキッチンに立った。
作るのは肉じゃが、おひたし、ひじきの煮物、照り焼きチキン。
今日の夕方には家に戻るから今日の夕飯用にシャケの塩焼きも。
智は帰るのは深夜らしいから作っておけば食べてくれるはず。
作りながらテーブルを見ると鍵が置いてある。
『これ、合鍵。いつでも来ていいから』
そう言って渡された鍵を見て小さくため息。
「…どうしよっかな」
そう呟いた言葉はチキンの焼く音に消えた。
『あのさ、相談…というか提案があるんだけど』
昨日の夜、智が嬉しそうな、でも不安そうな顔をして言ってきた。
『提案?』
『うん。蓮華さ、家の更新どうしようかなって言ってたじゃん?』
『あー、うん』
結局まだ決められずにいるハガキを思い出す。
『それってもう更新で返信した?』
『まだしてない。更新するか引っ越すか悩み中。でもまだ返信期間1ヶ月ぐらいあるから』
『そっか』
智は安心したような顔。
『それがどうかした?』
『あのさ、蓮華が良ければ一緒に住まない?』
その言葉に思考が停止した。
『………』
『蓮華?』
『え…っと、一緒に住むってここに?』
そう聞くと智はニコッと笑って頷く。
『付き合いたてだし、お互いの生活リズムとかもあるけど、この半年みたいに会えないのは嫌だなって』
『…うん』
『そう思ったら一緒に住めたらって』
『……』
あまりのことに驚いてると智はハッとした。
『あ!!結婚はまだだよ!!同棲ってことを言いたくて…』
『…まぁ、それはわかってるけど』
確かに結婚前提で付き合ってほしいと言われたけど、こんなすぐなんて思ってない。
けど、同棲もこんなすぐだとは思ってなった。
『…嫌かな?』
不安そうな智の顔を見てハッとする。
急いで首を横に振る。
『嫌ではないよ!!でも急すぎて頭が追いつかないっていうか…』
『そうだよね』
シュンっとする智をちょっと可愛いと思うのは重症だろうと自分でも思う。
『でも一緒に住もうって言ってくれて嬉しい』
智の手を握って答えると智は顔を上げた。
『本当?』
『本当。また付き合えるだけでも幸せなのに』
ふふっと笑うとぎゅーっと抱きしめられた。
『俺も』
2人でクスクス笑う。
『でも、考えておいてほしいな』
その言葉に私は小さく頷いた。
月曜日の夜。
「で、お前は俺たちに言うことあるだろ」
滝と由里香の家でいつもの4人で飲んでる。
【月曜の夜、ウチに集合!!絶対だ!!】
4人のグループメッセージに滝から徴収をかけられたのが土曜日。
雨宮は【月曜なのに?】とちょっと嫌そうにしてたけど多分、連れてこられたのだろう。
あのメッセージを見て、智が報告したんだなとわかった。
「報告って…」
「あ・る・だ・ろ」
滝が睨んでくる。
「…智と付き合うことになりました」
そう報告すると空気がシーンッとなる。
雨宮に関しては缶ビールを口につけたまま固まってるからちょっと溢れてる。
「……あ、あの?」
さすがに私が驚いて声を出すと由里香がきゃーっと叫んだ。
「え!?本当!?おめでとう!!」
「う、うん」
抱きついてお祝いをしてくれる由里香。
「マジかよ。おめでとう」
ティッシュで服を拭きながら雨宮がお祝いをしてくれる。
「ありがとう」
「いつから?いつから?」
由里香がワクワクと言う顔をして聞いてくる。
「金曜の夜からかな」
「大嶋さんから?」
「うん」
きゃっきゃする由里香をなだめていると滝が何も言ってこないことに気づいた。
滝を見ると泣きそうな顔。
「た、滝?」
「……うっせ、見るな」
「連司、ずっと気にしてたもんな。2人のこと」
雨宮が言うと滝はプイッと横を向いた。
高校の時から見守っててくれてる滝。
それはもう感謝しかない。
「ありがとう滝」
「おう」
「今度は離れないよ、私たち」
「当たり前だ、ばか」
鼻を啜る滝に私はうん、と返事をした。
今度こそ、ずっと一緒にいるから安心してほしい。
智くんの提案は同棲でした。
嬉しいけど戸惑っちゃう蓮華さん。
そして2人が付き合ったと2人から聞けて嬉しくて泣いちゃう連司くん。
いい男だ。
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