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過去、私を嫌ったキミは今、私を溺愛する  作者: ひなた


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83/119

79、 ここからまた一緒にスタートしよう

読んでいただきありがとうございます!

本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。


本編の更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。

「と1/2」シリーズは不定期です。

俺はもう逃げない


メンバーと話をした2日後。

「三倉さん」

ライブの事でミーティングをした後、俺は三倉さんを呼び止める。

「何?」

「この後…時間、いただけませんか?」

「…会議室取るわね」

俺の言葉に何かを感じたのか、三倉さんはそうと返事をしてくれた。


***

【金曜の夜って空いてる?】

水曜日の昼、智からメッセージが届いた。

急な仕事が入らなければ残業の予定はない。

【空いてる。電話?】

そう送るとすぐに返信がきた。

【ここに来てくれる?】

送られてきた住所を見るがいまいちピンとこない。

マップで検索して表示された場所を見てようやくどこかわかった。

「…ここって」

チクッと胸が痛む気がした。


金曜日の終業後、定時で会社を出て電車に。

いつもとは違う路線。

会社からは1時間ぐらいかかるだろう。

【今から向かうから1時間後ぐらいに着くかな】

そう送ると智からはOKのスタンプ。

きっと智はもう近くにいるんだろうな、と思いながら流れる景色を眺めていた。

1時間、電車に揺られて最寄り駅に着いた時には暗くなっていた。

夏でも19時すぎたらもう夜だ。

「…懐かしいな」

あの時以来、来ていない場所。

携帯が震えて見ると智からの電話。

「もしもし?」

【お疲れ。着いたかな?】

「うん。今ちょうど駅出たところ」

【そしたら…】

電話を切って指定された場所に向かう。

住宅も少なく、駅からも少し歩くのでこの時間は人が全然見当たらない。

『なんで…なんで』

昔、泣きながら歩いた場所。

思い出すと今でも涙が出そうになる。

しばらくするとベンチに座ってる人影。

「…お待たせ」

今日、何かが変わるのかもしれないと思いながら声をかけた。


顔を上げると蓮華が立っていた。

「ううん。ごめんね、こんなとこまで」

「大丈夫」

俺が立ち上がると蓮華は懐かしそうに見渡した。

「…懐かしいわね、ここ」

「…そうだね」

蓮華の言葉に俺は小さく呟く。

『さようなら』

ここは、俺が蓮華に別れを伝えた公園。

「ぐちょぐちょに泣いて帰った記憶しかないけど」

「…ごめんって」

珍しい蓮華の皮肉に謝ることしかできない。

俺が歩き出すと蓮華が隣を歩く。

「でもどうしてここなの?」

「…どうしてもここがよかったんだ」

ゆっくり歩きながら言葉を選ぶ。

「俺さ、わがままなんだ」

「わがまま?」

「そう。あれもこれも手放したくないって常に思ってる」

家族、友人、メンバー、仕事、そして蓮華。

全部この手で掴んでいたい。

「その為に力をつけなきゃって思ってがむしゃらに仕事してきた」

「…うん」

「でも、それが結局言い訳になってたんだ」

守れる力が無い、だからまだそばにいるだけでいいと思ってた。

『…それ、言い訳にしてないか?智』

『Runeは全員で全員を守るんだよ。だから誰かに何かあれば他の3人が守るんだ』

『智くん、俺たちは4人で頑張ろうって決めただろ?だったら頼ってよ』

『それとも俺たち、信用されてない感じ?』

みんなからの言葉に自分が甘えていたことに気づいた。

サァッと風が吹くと、蓮華の髪揺れる。

落ちてきた葉っぱが蓮華の髪についた。

その葉っぱを取ると小さく微笑んでお礼を言う彼女はやっぱり綺麗で可愛い。

「でもみんなに背中叩いてもらってもう逃げるのやめたんだ」

「え?」

足を止めると目の前には噴水。

「…ここ」

「うん、俺が蓮華を…傷つけた場所」


『お前、嫌い』

あの時、キミを傷つけた

守りたいから離れることを選んだ場所


「蓮華」

向かい合って手を取る。

「俺は、蓮華を傷つけた。謝っても許されないぐらい一方的に」

「それは…智なりに守ってくれたんでしょ?」

「それでも、大好きな彼女を傷つけるなんて最低だよ」

ギュッと握る手は細く、小さい。

「本当にごめん」

「ううん、もういいの」

泣きそうな顔で首を横にふる蓮華。

「今は智がいてくれるから…いいの」

「ありがとう」

ツーッと流れてきた蓮華の涙を拭う。

顔を上げた蓮華。

「前に展望台でも言ったけど、俺、本当に蓮華から離れられないんだ。

どんな蓮華を見ても好きだなって思うし、ずっと隣にいたいって」

「…うん」

「みんなにも背中押してもらえないと自信もつかないし、怒られてばっかりの俺なんだけどさ」

「…そ、んなこと」

「あるんだよ。メンバーからも連司からも言われる」

クスッと苦笑する。

「そんな俺でも、あんな報道があっても蓮華はそばにいてくれた。だから今度は俺がちゃんとするんだ」

再び蓮華の手を取ってまっすぐと見つめる。

もう、逃げない。


「中倉蓮華さん、ずっとずっと大好きで愛してます。結婚を前提に俺と付き合ってください」

世界中でただ1人、生まれ変わってもまた恋をすると思えるぐらいキミが好きなんだ

もうこの手は離さない

何があっても絶対に


「…!!は、い!!」

ボロボロ涙を流しながら頷く蓮華。

俺はその体を抱きしめる。

「傷つけちゃってごめん。待たせちゃってごめん。でも本当にもう離れないから」

「ほ、んと?」

「本当。離れたら俺が死んじゃう」

ギュッと抱きしめると蓮華も腕を背中に回してくれた。

こんな告白、ずるいと思う。

前々から予告して待っててもらって。

でもそうしてでも絶対に一緒にいられる手段が欲しかったんだ。

体を離して涙を拭う。

「これからずっと、よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

ふふっと笑い合う。

そしてそのままそっと唇を重ねた。

久しぶりのその感覚に俺は幸せで死んでしまいそうだった。


あの日のこの場所からまたキミと一緒にスタートしたかったんだ。

とうとう!!

智くんが告白しました!!(告白は前々からしてると言われればそれはそう)

これで2人は晴れて恋人に。

三倉さんとの会話の様子は次回。


====

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していただいたら作者のモチベーションもめちゃ上がって喜び狂い、発狂します( ´ ▽ ` )

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― 新着の感想 ―
泣いた(泣) 後はめんどくさい(失礼)ファンへの対応ですかね
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