77、 あの時と違うんだ
読んでいただきありがとうございます!
本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
本編の更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
「と1/2」シリーズは不定期です。
記事が出てから2ヶ月が経った。
蓮華の方も落ち着いてきたらしく、ジロジロ見られたりすることは無くなったみたいだ。
「智くん、最近どう?」
隣に座るハルくんが聞いてきた。
「うん、だいぶ落ち着いたかな」
「よかった」
ハルくんは安心した顔。
「どっちも?」
「どっちも」
瑛太の質問に頷くとふーんという顔をしてたけど、どこかホッとしてる。
ツンデレだな。
「智くん、顔色良くなったもんね!」
ニコニコな善ちゃんの言葉に苦笑した。
「そんなに俺、顔色悪かった?」
「すっごい!土色みたいだった!」
大袈裟だなーと思ってたら2人も頷いたからちょっと反省。
「お待たせしました。打ち合わせ始めましょう」
三倉さんと他のスタッフさんたちが入ってきて打ち合わせが始まる。
今までアリーナだけだったけど、今年からはドームツアーに。
その打ち合わせだ。
「この打ち合わせで大体の内容を決められたらって思ってるのでよろしくね」
全員ではい、と返事をして打ち合わせは夜中までかかった。
家に帰ってソファーに座る。
今は深夜12時。明日は映画撮影で6時入りだから5時には起きる。
「シャワー、朝でいいかー」
ずっと打ち合わせだったから汗もかいてないし、何より眠い。
そうと決まったら顔だけ洗って歯を磨いて寝よう、と思って立ちあがる。
ふとカレンダーが目に入る。
「…蓮華の誕生日、会えないよなー」
単純に仕事が詰まってるのもあるけど、まだまだ警戒が必要だ。
会いに行ったらそれこそ週刊誌のいい獲物だ。
「バレンタインの時からだから…5ヶ月か」
警戒しよう、となって会わなくなってから約5ヶ月。
その分電話してるけどやっぱり足りない。
「はー…さすがにしんどいって」
ありがたいことに仕事詰目なので仕事中は何も感じない。
けど、電話してる時やその後、何もしてない時はどうしようもなく会いたくなる。
会って抱きしめたい。
「蓮華に会いたい」
『智』
大人になって更に綺麗になったけど、どこか可愛さはそのまま。
離れてた分、高校生の時以上に彼女に惚れてる自覚はある。
『智と中倉はまだ付き合っては無いんだろ?』
連司と飲んだ時に言われた言葉。
『うん…俺がまだ守りきれる力がないから』
『…それ、言い訳にしてないか?智』
その言葉に痛いところを突かれた気がした。
「え、智くんまだ付き合ってないんだっけ?」
「マジで言ってます?」
「嘘でしょ?」
ハルくん、瑛太、善ちゃんから詰められて俺は頷く。
特番のロケで地方で泊まりだったので俺の部屋で部屋飲み。
「あんなにラブラブな話をしておいて?」
瑛太が怪訝そうに言ってくる。
「俺、付き合ってるかと思ってた」
善ちゃんが目をぱちくりさせてる。
「そんなにラブラブな話なんてしてない」
「いや、してるからね。ラブラブしてなくても智くんの空気が甘いから」
ハルくんの言葉に何も言えない。
「もしかして俺たちのこと考えて付き合ってない?」
珍しく怒りの感情が入った善ちゃん。
俺は苦笑する。
「それも無くはないけど、俺の覚悟がまだ無いだけだよ」
「覚悟?」
怪訝そうな瑛太。
「そう。蓮華もみんなも守れる覚悟」
そういうと目の前でパンッ!!と音がした。
誰かが両手を合わせたらしい。
「智くん、それは違うよ」
下ろされた手の先には善ちゃん。
いつものニコニコじゃなくて真剣な顔。
「え?」
「Runeは全員で全員を守るんだよ。だから誰かに何かあれば他の3人が守るんだ」
「そりゃ犯罪を犯したとかならブチギレるけど、誰かが恋人作ったとかで怒るなんて無いから」
善ちゃんと瑛太の言葉に涙が出そうだ。
「…でも」
「アイドルだから恋人できたり、恋愛報道出たら怒るファンがいるのも当たり前だと思うよ。
でも、俺たちは応援したいと思うし、事務所と話し合いが必要なら一緒に話し合うよ」
ハルくんが優しい声で言う。
「智くん、俺たちは4人で頑張ろうって決めただろ?だったら頼ってよ」
「そうだよ!もう子供じゃ無いんだから力になれるよ!」
「それとも俺たち、信用されてない感じ?」
ハルくん、善ちゃん、瑛太の言葉に涙が溢れる。
「ううん。大事だし、信用してるから守りたい」
そう言うとハルくんが肩を抱いてポンポンッと慰めてくれる。
「だったらみんなで乗り越えよう」
「そうだよ!みんなでお花ちゃんを守ろう!」
「お花さんも味方いるならみんなで会議しないとですね」
3人の優しさに俺はしばらく涙が止まらなかった。
あの頃とは違う、信用できる仲間がいるんだ。
Runeがメインのお話でした。
デビュー時とは違って心から信用できる仲間がいる智くん。
Runeと連司たちと力を合わせて乗り越えると決めました。
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