74、 恐れていたこと
読んでいただきありがとうございます!
本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
本編の更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
「と1/2」シリーズは不定期です。
GWも終わっていつもの生活が戻ってきた。
そんなある日、朝啓太から連絡が来た。
【姉ちゃん!SNSがヤバいことになってる!!】
そのメッセージにとうとう来たか、と思った。
***
俺は朝一で事務所に呼ばれた。
「おはよう、智」
「三倉さん、おはようございます」
会議室に三倉さんとマネくんが入ってきた。
「急遽ごめんなさいね」
「いえ」
「実はね…」
三倉さんが差し出したのは1冊の週刊誌。
付箋が貼ってあるページを開くとそこには【Rune大嶋智 青春時代の恋愛再熱か!?】の見出し。
「これ!!」
蓮華の顔はモザイクで隠れてるけど、知ってる人が見たらわかる。
俺が紙袋を持って蓮華の家の近くを歩いてる写真と蓮華は会社の近くで歩いてる写真。
「これ、2月に会った時の写真…」
「私が目をつけられてるって話す前かしら?」
「はい」
「やっぱりその時にはつけられてたのね」
「お相手の方、会社までバレてるんですか?」
マネくんが聞いてきた。
「連司がTV出た時にSNSで俺の元カノが同じ会社だって流れてらしいからそこからかな」
「うわー…気軽に友達にも話せないですね」
ドン引きしてるマネくんに頷く。
「事務所としては問い合わせきたらプライベートは本人に任せてるってコメントすることになってるから」
「はい。ご迷惑おかけしてすみません」
「別にプライベートだから事務所の管理下でないからいいわよ。でもお相手がね」
三倉さんがため息をつく。
「会社バレてるなら、家特定されるのも時間の問題かしら…」
「そんな!一般人なのに!!」
俺が立ち上がると三倉さんはため息をつく。
「落ち着きなさい。もしそうなったら引っ越ししてもらうしかないわね」
「そんな…」
こんなに蓮華に負担をかけてしまうとは思わなかった。
「…また、俺」
「智、落ち込んでる場合じゃないでしょ」
三倉さんの強い声に顔をあげる。
「自分で蒔いた種なんだから、ちゃんと守ってあげなさい」
「…はい」
対策を少し話をして仕事に向かった。
『絶対に蓮華に伝えたい言葉があるんだ。それを伝えられるようになるまで、蓮華を必ず守る』
こんなに動揺して、何が守るだ。
天狗になっていたんだと自分に腹が立つ。
今日はメンバーとのレギュラーの収録。
楽屋に入るとみんなが駆け寄ってくる。
「智くん!大丈夫?」
「三倉さんと何か話した?」
「気落ちしてません?」
善ちゃん、ハルくん、瑛太が心配そうに声をかけてくれる。
俺はなんとが笑う。
「うん、大丈夫」
「でも元気ないよ」
善ちゃんが顔をのぞいてくる。
「善、とりあえず中に入ろ」
ハルくんが善ちゃんを俺から離す。
俺たちはいつもの定位置に座る。
「三倉さん、何か言ってた?」
「事務所としてはプライベートは本人に任せてるって答えるからって」
「実際そうだし」
ハルくんに答えると瑛太がため息混じりに言う。
「ただ、元々SNSで裕也と同じ会社って言われてたから、家の特定もされるんじゃないかって」
「…それ、ヤバいね」
「SNSって特定班いるぐらいだもんなー」
名前を言わなくても誰のことかわかったらしく、ハルくんと瑛太は眉間に皺を寄せる。
「電話とかしたの?」
善ちゃんが不安そうに聞いてくる。
「向こうが仕事中だし、メッセージは送ったけど、まだ返事ないから」
「そっか…」
シーンと重たい空気が楽屋に流れる。
その時、携帯にメッセージが届いた。
「!」
【心配してくれてありがとう。周りが色々言ってはきてるけど、滝とか由里香がフォローしてくれてる】
どこか疲れた文面に俺は苦しくなる。
「…蓮華」
「返事きた?」
頷いて画面を見せると3人も不安そうな顔になった。
「今は連司くん達を頼るしかないね」
「…うん」
ハルくんの言葉に頷くしかできなかった。
夜、蓮華に電話をすると出てくれた。
「蓮華、お疲れ様」
【智もお疲れ様】
やっぱりどこかやつれた顔をした蓮華に胸が痛くなる。
「蓮華…大丈夫?」
【え?うん。視線は感じるし、何か言われてるなーとは思うけど仕事に支障はないから】
「…」
【会社はしょうがないけど、会社の外でそういうのはないから普段と変わらないし】
「…ごめん、迷惑かけて」
謝ると蓮華は苦笑した。
【智のせいではないでしょ?】
「でもさ」
【前も言ったけど、智のせいじゃないから】
蓮華の言葉に俺は情けなくなった。
「…やっぱり蓮華は強いね」
【そうかな?】
「そうだよ」
俺だけがこんなに焦って、でも何もできないって落ち込んで。
本当に情けない。
【私だって怖いって思ってはいるけど、智がいてくれるから】
「え…?」
顔をあげると柔らかい表情の蓮華。
【智が一緒に乗り越えてくれるって思えるだけで強くなれるの】
「…やっぱり蓮華は強いよ」
俺が呟くと蓮華はそう?と首を傾げていて、それが可愛くて愛おしかった。
いつまでも落ち込んでいられない、キミを守るんだ。
とうとう蓮華さんの存在が大きく出てしまいました。
智くんは落ち込んでましたが、蓮華さんのおかげで立ち直りました。
次からどうなっていくのでしょうか。
====
いいなど思った方は、ぜひブックマーク、評価をよろしくお願いします!
していただいたら作者のモチベーションもめちゃ上がって喜び狂い、発狂します( ´ ▽ ` )
感想もお待ちしております(^ ^)