73、 我が家でも人気者だ
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本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
本編の更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
「と1/2」シリーズは不定期です。
なんだかんだ4月が過ぎ、5月になった。
GWは実家に帰ってのんびりすることにした。
今回のお土産はフルーツタルト。
「ただいまー」
「おかえりなさい」
リビングに入ると母さんがキッチンで料理をしていた。
「あー、いい匂い」
「お昼はオムライスね」
「うん!嬉しいなー」
タルトを冷蔵庫に入れて荷物を置きに行く。
部屋に入って荷物を置いて窓を開けるとふわっと風が入ってきた。
お昼を食べ終えて、母さんと出かけることに。
母さんが新しい服が欲しいらしい。
「これ、どうかしら?」
「んー、こっちの色の方がいいよ?」
「あらそう?」
仲良く買い物をして、テイクアウトのフロートを近くのベンチに座って飲む。
「あら、これ美味しいわね」
「ね、チョコ味、初めて飲んだ」
ハマりそうだなぁ、なんて思いながら飲んでると母さんがふふっと笑った。
「?」
「元気そうでよかった」
「え?」
「去年はどこか塞ぎ込んでた感じだったから」
美味しそうにフロートを飲む母さん。
「そう…だね」
「今も会えてる?」
外だから名前は出さないけど智のことだろう。
「あとで話すけど、今は会えてないんだ。電話はしてるけど」
「あら…」
「でも前よりも楽しいよ、毎日」
そう言うと母さんはそっか、と嬉しそうに微笑んでくれた。
夕飯も食べ終えてデザートに私が買ってきたタルトを食べようと切り分けてた時。
「ただいまー」
啓太が帰ってきた。
「おかえり」
「姉ちゃんもおかえり」
「バイト?」
「そう。その後彼女とご飯してきた」
「いいわねー」
母さんがうふふっと笑う。
啓太も手を洗ってリビングに戻ってくる。
「啓太も食べる?うちの近所のケーキ屋さんのだけど」
「食べる」
今日は父さんが飲みに行っていない。
だから啓太は遠慮なく聞いてくる。
「姉ちゃん、彼氏できてないの?」
「…あれ?啓太知らないっけ?」
とっくに話した気でいたけど、違ったらしい。
「母さんからは話してないの?」
「話さないわよ。蓮華から話しなさい」
「は?なにそれ?できたの?」
私たちのやりとりに啓太は怪訝そうな顔。
苦笑すると啓太は睨んでくる。
「睨まないの。彼氏はできてない」
「じゃあ、なんだよ」
「智とまた会ってるの」
そう言うと啓太が固まった。
「啓太?」
「…智くんって…あの?」
「啓太も知ってるあの智」
その時、ちょうどTVから智がイメージキャラクターをしているCMが流れた。
「この智くん?」
「その智」
「ええええーーーー!?」
大声で叫ぶから私も母さんも耳がキーンとなる。
「啓太、夜なんだから叫ばないの」
「あ、ごめん。じゃなくて!」
私の方を向いて詰め寄ってくる。
「なんでまた!?いつから!?付き合ってないの!?」
そうなるよね、と苦笑する。
「去年の年始に智が会いにきてくれてそこから連絡とったり会ったりしてる」
「…そんな前から?」
「うん。黙っててごめんね」
啓太は驚きすぎて思考が追いついてないって顔してる。
私は思わず笑う。
「啓太、大丈夫?」
「全然大丈夫じゃない。はい?なんでそうなるの?」
ハテナがずっと見えるような気がした。
「私も最初はなんでってなったけど、智なりに色々考えてまた会いにきてくれたの」
「へー?で、なんで付き合ってないの?」
「まだ…そのタイミングじゃないのよ」
そう言うと啓太の眉間のしわができた。
「まさかだけど…」
「なに考えてるのよ!!智とは会ってもご飯するだけ!!」
「ならまぁ…」
「もう」
タルトを一口食べる。フルーツが口いっぱいに広がる。
「父さんは知ってるの?」
「ううん。ちゃんとしてから言おうかなって」
「…それはその方がいいかも」
啓太はちょっと考えて呟いた。
「啓太が会いたそうだったって智に言っておくね」
「ちょっ!!」
顔を赤くする啓太。会いたいってバレバレなんだよな。
「あら、母さんも会いたいわよ」
「言っておくね」
ちょっと不貞腐れた啓太に私と母さんはクスクス笑った。
夜、寝る前に【啓太と母さんが智と会いたいって】と送ったら
智は【マジ?俺も久しぶりに会いたいなー】と返事をくれた。
昔も今も我が家の人気者。
GWの中倉家の様子でした。
高校の時も遊びに行くと人気者だった智くん。
それは逆も然りだったりします。
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