71、 忘れた頃に波はやってくる
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本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
本編の更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
「と1/2」シリーズは不定期です。
3月も過ぎて4月に入り、新入社員が入ってきた。
うちにも何人か配属予定だ。
そして、お正月の影響は時差で出てきた。
「滝、注目がすごいわね」
「本当だなー。マジやりずれー」
2人で打ち合わせをしているのだが、たまに通りかかる新入社員たち見てくる。
なんでそんなに注目されているのか由里香に聞いてみたら
お正月のTVに出てた人、と言うことで見られてるらしい。
智の親友って言われたから余計だろう。
「雨宮も同じ感じなのかしら」
「裕也もそうっちゃそうだけど、俺ほどじゃなさそうだった」
「…ドンマイとしか言いようがないわね」
そういうと滝は大きなため息をついた。
「ドンマイだけど、ちゃんとしないと。チームリーダーなんだから」
うちの営業はチーム制になっているので、各チームリーダーがいる。
いわゆる主任候補に滝は今年からなった。
「新入社員の身近な憧れる存在にならないとね」
「わーってるよ」
座り直してコーヒーを飲む滝に私は苦笑した。
「それにお前とも話すの控えないとな」
「え?」
「仕事の話はちゃんとするけど、それ以外でってこと。
俺たちが同じ学校出身なんてバレるの時間の問題だろうけど」
その言葉に納得する。
智の話だとこの会社で働いてるのはバレてる。
滝と同級生とバレたらもう私だと特定されるのは時間の問題だ。
「それの対策とかした方がいいのかしら」
「したところで事実は変わらん」
「それはそう」
2人でため息をついて、仕事に戻ることにした。
滝と話していたことは数日後には現実になった。
私に対してヒソヒソされることが増えた。
今なら滝の気持ちがわかるな、と思いながら仕事をする。
「蓮華、ランチ行こ」
顔を上げるとお弁当を持った由里香。
その顔はちょっと不機嫌。
「…どうしたの?」
「いいから!行くよ!」
腕を引っ張られたのでPCをロックしてお弁当を持って由里香について行った。
場所はいつもの場所ではなく、人が少ない近くの公園。
日当たりのいいベンチに座ってお弁当を開ける。
「由里香、どうしたの?怒ってる?」
そう聞くと由里香の手が止まってこっちを見た。
「怒ってる!」
「え、何かしちゃった?それならごめ「違う!」
由里香の怒った声にさらに驚く。
「え?違う?」
「違う!蓮華に怒ってるのじゃないの!!」
ここまで怒りの感情的になる由里香は珍しい。
「どうしたの由里香。説明して?」
そう聞くと由里香はグイッと顔を寄せてきた。
他の人に聞かれない為だろうけど。
「今日、総務に提出物を持ってきた新入社員の子たちがいたんだけど」
「うん」
「その時、「営業事務の中倉さんって滝さんと同じ高校出身って本当ですか?」って聞かれた」
「あー…とうとうきたか」
ため息をつくと由里香は頷いた。
「で、私からは答えられないって言ったら不機嫌そうにされたのもムカつく」
「…なんか、ごめんね」
それは完全に由里香が理不尽なやつだ。
「それに!それを聞いてた先輩とか後輩がまた聞いてきて色々勝手に話が盛り上がるのもムカつく!!」
限界だったのか声が大きくなってくるから由里香の口にお弁当のミートボールを入れる。
もぐもぐと食べる由里香はちょっと落ち着いてくれた。
「ごめんね、由里香に嫌な思いさせて」
ゴクンッと飲み込むと由里香は首を横に振った。
「全然いいの。でも、今まで普通にしてた人たちが憶測であーだこーだ言ってるのがムカつくの」
「人ってそんなものよ」
高校の時もそんなものだった。
それに振り回されるのは疲れるだけと経験上知ってる。
「蓮華も嫌なことあったらいつでも言って!」
「うん、ありがとう」
お弁当を食べた後、コンビニでスイーツを買って2人で食べて仕事に戻った。
由里香の話してた内容が昼休みの間に他の部署にも広まってたらしく、
雨宮からチャットで【お前らのこと聞かれるんだけど、知らんって言ってる】と連絡がきた。
これがさらに大きくなるのはこの時は想像もしなかった。
新入社員が入ってきたことによって広がる噂。
学生はSNS情報のキャッチ力が凄そうなイメージです。
そしてその様子を間近で見た由里香さんはブチ切れモードです。
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