68、 一緒に乗り越えよう?
読んでいただきありがとうございます!
本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
本編の更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
「と1/2」シリーズは不定期です。
【今日、電話できる?できればテレビ電話】
朝、智から来たメッセージに不思議に思った。
いつもは普通の電話だ。テレビ電話はしたことない。
【大丈夫。何時ごろかわかったら教えて】
そう返信をして会社に向かった。
夜、ご飯食べて片付けをしてからハーブティーを淹れる。
21時ごろってメッセージ来たからそろそろだ。
TVを見ながら待ってると携帯が鳴った。
「もしもし?」
【蓮華、お待たせ】
「ううん。お疲れ様」
携帯をティッシュ箱に立てかける。
智の疲れた顔が映った。
「智、疲れてるね。忙しい?」
【うん、ドラマ撮ってるからね】
今やってる智のドラマは今期の人気ドラマだ。
私も観てる。
「無理しないでね」
【うん…ありがとう】
疲れてるから元気が無い、という感じとは違う智。
「…何か、あった?元気無いみたいだけど」
そう聞くと智は少し黙った後にゆっくり話始めた。
【蓮華に…謝らないといけないことがあるんだ】
「え?」
智はゆっくり説明してくれた。
週刊誌に目をつけられてる事、SNSで名前は出てないけど私のことが触れられてる事。
「そんなこと起こってたんだ」
【うん。蓮華は周りから何か言われたり、見られてる感じある?】
普段の生活を思い返す。
会社では何も変わらないし、プライベートでも何も感じない。
会社に関しては普段から謎に注目されることもある(主に滝とペアにされるせい)から気にしたこともない。
「特には…嫌がらせとかも無いし、いつも通りに生活してる」
【そっか、よかった】
智は安心したような顔をしたのを見て、すごく心配してくれたんだとわかる。
「私が気づいてないだけかな?由里香にも聞いてみようかな」
【そうだね、一応確認してもらった方がいいかも】
「智も大丈夫?」
【俺は大丈夫。こういうの慣れてきたし、むしろ何もなかったのに追われてた時もあったぐらいだし】
そう言われて思い出すのは雨宮が言っていた共演した女優さんとのこと。
智に聞いたらスタッフさんも含めて飲み会した時に上手に撮られたって言ってた。
「そっか」
【でも蓮華に迷惑かけちゃって…俺のせいでごめん】
謝られてキョトンとする。
「なんで謝るの?」
【だって…】
「智のせいじゃないでしょ?番組で滝が出て、そこからSNSで勝手に流れてきたんだもの」
私はカフェや服、コスメ関係しかSNSを見ないから知らなかったけど、そんなことになってたんだって感じだ。
「というか、勝手に智や滝、私の情報を流した人が悪し」
【それは…そうだけど】
「それに実際に週刊誌に撮られてる訳じゃないんでしょ?」
【う、うん】
「じゃあ、これからは気をつけていけばいいと思う」
ハーブティーを一口飲んでると、智はポカーンとしてる。
「智?」
【…蓮華ってすごいね。普通どうしようってなったりするよ?】
「…うーん、と」
苦笑すると不思議そうな智。
「もう時効だから言うけど、高校の時、智と付き合ってた時も別れた後も色々言われたりしたから慣れたというか…」
【え!?】
「特に智が転校してデビューしてからは周りは言いたい放題。滝がブチギレてくれてたけど」
智は申し訳なさそうな顔が更に落ち込む。
【俺、昔も今も迷惑かけてたんだね】
「智のせいじゃないでしょ。周りが勝手に騒いでただけだし」
確かに別れて智がデビューした後が一番ひどかった。
フラれた側でなんでこんなに言われないといけないんだって。
「それに…今は智が守ってくれるんでしょ?」
『蓮華を必ず守る』
高台で言ってくれた言葉。
それがあるから今、こうして落ち着いていられる。
【もちろん、絶対守るから!!】
「うん、頼りにしてる」
ふふっと笑うと智の肩の力が抜けるのがわかった。
「じゃあ、しばらくは会えないね」
【うん…】
わかりやすく落ち込む智。
「…智、落ち込みすぎじゃない?」
【だって寂しいし。蓮華は寂しくないの?】
「そりゃ…寂しいけど」
カップの淵をなぞる。
「ずっと会えない訳じゃないし、電話はできるでしょ?」
【そりゃそうだけど】
ちょっと不貞腐れる智に思わずクスッとする。
「だから、たまにでいいからこうやってテレビ電話、しよ?」
そう言うと智はちょっと驚いた顔をしてすぐに笑顔になった。
【うん!しよう!毎日でもしたい!】
「毎日は難しいでしょ。智の仕事的にも」
【う…】
「テレビ電話できる時、連絡して?」
【うん。蓮華も連絡してね】
その言葉に私はうん、と返事をした。
あの時と違う、一緒に乗り越えよう
蓮華さんに現状を伝える智くん。
でも蓮華さんの方がどっしり構えてました。
自分に素直になった蓮華さんのデレが甘々です(そういうの好き)
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