63、 今年はどうしようか?
読んでいただきありがとうございます!
本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
本編の更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
「と1/2」シリーズは不定期です。
ゲームをしていると隣にいる善が呟いた。
「智くん、なんか悩んでるのかなー?」
「はい?」
「だってなんか元気ないじゃん」
ポリポリお菓子を食べる善の視線の先は智くんとハルくん。
他の人にはわからないかもしれないけど、確かに元気がない。
『俺は…大事な人も守れない最低な人間だからさ』
あの時と同じような目をしてる。
隣にいるハルくんは何かを察してるみたいだ。
「何かあったら言ってくるでしょ。ハルくんがフォローしてるみたいだし」
「でもさー」
「何」
珍しく駄々をこねる善。
「ハルくんだけじゃなくて俺たちにも頼って欲しいなーって」
「…へぇ?」
思わずゲームをする手を止めて善を見るとちょっと寂しそうな顔。
「いつも俺は元気にする役!って言ってたのに?」
「うるさいなー。たまには俺だって頼られたいんだよ」
プクッと頬を膨らます善。
23歳成人男性がすることじゃないだろ。
ファンはきっと可愛いーって言うんだろうけど。
『善ちゃんって一緒にいるだけで元気になるよねー』
『わかる!善のおかげで乗り切れてるところあるし』
前に智くんとハルくんが言っていたことを思い出す。
「…善はそのままでいいんじゃん?」
「瑛太、俺の話聞いてたー!?」
またキャンキャン隣で騒ぎ始めた。
『瑛太くんってステップ上手いよな!』
友達が少ない俺にニコニコと話しかけてくれた善。
それが嬉しかったからずっと一緒にいるし元気がもらえるんだ、なんて絶対言ってやんない。
***
【蓮華が気づいてくれて嬉しいよ】
帰り、携帯を見ると智からメッセージが来ていた。
会社の自動販売機に智たちの広告がついてるに気づいて写真を送ったら一週間前からと言われた。
全然気がつかなかった。
電車に乗って家の最寄りに着く。
ふと駅前のケーキ屋を見ると「バレンタイン」の文字。
「あ…バレンタイン、もう少しか」
今は1月の月末。バレンタインまで約2週間だ。
『俺、蓮華のこのチョコだけは食べられるんだよね』
去年のバレンタイン、唯一作れる生チョコをあげた。
「…今年も、うちに来るかな」
年明けに智の家でご飯したけど、それ以降はお互いバタバタして会えていない。
Runeはまた人気が上がってきたみたいで毎日誰かしらをテレビで見かける。
「聞いてみる…?でもなー」
そんなことを考えながら歩いていると携帯が震えた。
【蓮華、もう家かな?俺、今日あと1時間で終わりだから一緒にご飯どうかな?】
思ってたことがメッセージで来て思わず笑う。
【今からスーパー行こうかなって思ってたところ。うちでご飯する?】
送信してスーパーに入ってカゴを持つとすぐに携帯が震えてみるとYES!と楽しみ!のスタンプ。
【リクエスト間に合うなら肉じゃが希望です…】
ちょっと申し訳なさそうな雰囲気が伝わる。
私はOKのスタンプを押して肉じゃがの食材を探しに歩いた。
1時間後、智から【終わったから今から向かうね!】ときて私も部屋を簡単に片付ける。
去年から智がたまにうちでご飯を食べるようになったから大体の食器も2人分に。
「…なんだかんだ私の生活に入り込んでるんだよね」
苦笑して食器を取り出す。
その時、チャイムが鳴った。
「はーい」
インターフォンの画面を見ると智が映った。
オートロックを解除してしばらく待つとまたインターフォンが鳴る。
ドアを開けると全身真っ黒な智がいて、一瞬驚く。
「お疲れ様、入って」
「うん、ありがとう」
中に入って智が鍵をかけてくれる。
すると急に抱きしめられた。
「あー、久しぶりの蓮華だー」
「ちょっ!」
ギューッと抱きしめられると智のダウンから外の匂いがする。
「もう!早く手洗ってきて!」
グッと押し返すとちょっとしょんぼりする智。
そんな顔されても!
「…ご飯、できてるから食べよ?」
そう言うと智はフニャッと笑う。
「うん」
靴を脱ぐ智。私はポツリと呟く。
「おかえりなさい」
バッと顔を上げる智は驚いた顔だったけど、すぐにフニャッとなる。
「ただいま」
「…うん」
ちょっと照れくさくなって夕飯の準備を始めた。
きっと耳が真っ赤だ。
結局嬉しいのは私も同じなんです。
前半、瑛太と善のお話。
なんだかんだで善ちゃん大好き瑛太くん。
久しぶりの蓮華さんにテンション上がる智くん。
なんだかんだ蓮華さんはデレ多めなツンデレさん。
きゅんきゅん&ニヤニヤしちゃう。
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