60、 親友が愛されてることがよくわかった日
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本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
本編の更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
「と1/2」シリーズは不定期です。
1月4日。
掃除もして、ご飯も作って、連司が用意したお酒も冷やしてる。
着替えてメイクもして髪も整える。
「ゆりー…って、そんなに緊張するなよ」
連司が寝室の鏡前にいる私に苦笑しながら近づく。
自分でもわかるぐらい緊張してる。
「緊張するよーー!!」
「まぁまぁ。俺の友達に紹介するってだけだぞ?」
「その友達が特殊すぎるんだって…」
そう言うと連司はまた苦笑する。
「まーなー。今を耀くアイドルだもんな」
「私、変じゃないかな…」
鏡を何度も見て確認してしまう。
アイドルと会うから、はそうだけど何よりも連司の親友と会うのだ。
連司と合わないと言われないか不安だ。
「だーいじょうぶだから!ゆりはいつでも可愛いから」
ギューッと抱きしめられる。
その対応にホッとする。
「…大丈夫かな?」
「大丈夫だって。俺の自慢の彼女だぞ?」
頭をポンポンされ、連司には敵わないなぁと思った。
17時、オートロックのチャイムが鳴った。
「はいはーい」
連司がロックを解除して玄関に向かう。
心臓がバクバクしてる。
またチャイムが鳴るのと同時に連司がドアを開ける音がした。
「いらっしゃーい」
「うお!びっくりした。早くね?」
「待ち構えてた」
そんなやりとりが聞こえる。
しばらくするとリビングのドアが開いて連司と大嶋さんが入ってきた。
うわー!!本物だ!!
「ゆり、紹介するな。俺の親友の智。智、彼女の由里香」
「は、初めまして!!西山由里香です!」
「初めまして。大嶋智です」
お互いにペコッと頭を下げる。
顔を上げて大嶋さんをジッと見ると、TVで見るよりも大きく、シュッとしてる。
「…」
「可愛い人だね、連司の彼女さん」
「…え!?」
「そうだろー?可愛いんだよー」
連司に後ろから抱きしめられながらも大嶋さんの言葉に驚きを隠せない。
「あ、これお土産というか、一緒に食べようと思って買ってきた」
「サンキュー。お、美味そうなローストビーフだぞ!」
ほら、と連司が見せてくれるローストビーフは有名なお店のもの。
「これ!並ばないと買えないっていう!」
「たまたま買えたんです」
フニャッと笑う大嶋さんに私はすごい人だ、と感じた。
いただいたローストビーフを切って用意していた料理と一緒に並べる。
「美味そー」
「ゆりの料理は絶品だぞ」
「お口に合うといいんですけど…」
3人ともグラスを持って乾杯をする。
「由里香さん、よろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします」
カチンッとグラスを合わせる。
ビールを飲んで一息つく。
「いただきますね」
「あ、はい!」
大嶋さんは近くにあった煮物を箸で掴んで食べた。
「ん!うまい!」
「よかった」
「だろー?」
ホッとして私も食べる。
大嶋さんは和食が好きと連司から聞いていたので、和食にしてみた。
「ようやく由里香さんに会わせてくれたねー」
「お前が忙しすぎなんだろ」
「ちょいちょい飲んでたのに?」
そんな2人のやり取りを見ながらふと思い出す。
『付き合ってないけど…そうなれたらいいな、とは思ってる』
この人が、蓮華の好きな人か
「?由里香さん、どうかしました?」
「え?あっ!い、いえ!」
「ゆりー、見惚れてた?」
「もう!違うよ」
連司を睨むと笑われた。
「そういえば、蓮華と仲良いんですよね?」
大嶋さんから蓮華の話題が出て驚く。
「は、はい!というか、蓮華から聞いてるんですか?」
「聞いてますよ。大事な親友だって言ってます」
そう言われると顔が熱くなる。
「なんか、親友って言われるとテレる…」
「あいつ、そういうの言わないからな」
「そうだね」
クスクス笑う2人。
「あ、あの…!大嶋さんは、蓮華と…その、付き合ってたんですよね?」
そう聞くと大嶋さんはちょっと驚いた顔をしたけど、またフニャッと笑う。
「はい、高校の時に。俺のせいで傷つけてしまったけど、また会いたくて去年、会いに」
「…大嶋さんは、今でも蓮華のこと、好きですか?」
大嶋さんはピタッと止まった。
会ったばかりの私がそんなことを聞くのは失礼なのもわかってる。
でも、どうしても知りたい。
蓮華のあの嬉しそうな顔をずっと見守りたい。
「はい。高校の時からずっと、ずーっと。今後も蓮華だけです」
諦めが悪いでしょ、と苦笑する大嶋さん。
「なので、俺が蓮華を悲しませたら由里香さん、俺に制裁をしてください」
「え!?」
「蓮華の親友だからその権利はあります。そうならないように頑張りますけどね」
その目は本気のように感じたから私は頷いた。
「その時は全力でビンタしますね」
「ゆりの全力、痛そうだな…」
隣で眉間に皺を寄せながらビールを飲む連司。
連司にはビンタしたことないもんね。
その後も3人で楽しく食べて飲んでいると、大嶋さんのネックレスが見えた。
「大嶋さん、それルビーですか?」
自分の胸元を指さして聞くと大嶋さんはネックレスを触りながら優しい顔をした。
「はい」
「蓮華の誕生石ですよね。じゃあ、蓮華がつけてるのは」
「俺の誕生石です。一緒にいれることができないからお互いの誕生石をつけたいって俺のわがままです」
「…大嶋さん、本当に蓮華が大好きなんですね」
そう言うと大嶋さんはテレビで見たことないような優しい、優しい笑みをした。
「はい、俺の最初で最後の恋ですから」
蓮華、きっと思っている以上にあなたは愛されてるよ。
智くん、由里香さんの初めてまして。
これで同期組はみんな智くんと会いました。
由里香さん、蓮華さんがめちゃめちゃ愛されてるのを知って嬉しくなり、
この後とってもお酒を飲んじゃいます。(でもつぶれない)
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