52、 そんな話は聞いてない!
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本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
年末の忙しなさは休みの2週間前の今がピークかもしれない。
先方との年末年始の調整で営業部もサポートの営業事務もバタバタだ。
裕也のところに行こうと営業部を出るとちょうど中倉と会った。
「お、お疲れ」
「お疲れ」
本当に疲れた顔をしてる中倉に苦笑する。
俺たちの業界は年に2回、大きな業界展示会がある。
今回、年末にある展示会に向けて営業部の一部と営業事務が準備をしてくれてる。
展示会自体は営業がメインで営業をかけまくって、難しいコアな質問にシステム部が対応をしていくのだが、それまでの準備が大変だ。
「マジで疲れてんな」
そう言うと中倉はため息をつきながら頷いた。
中倉は今年の展示会のサブリーダーになってしまったと春にボヤいていて、夏の展示会では疲れすぎて殺意もろだしになっていた。今回はまだマシだ。
「明日搬入、設営だからね。当日は滝と雨宮もいるでしょ?」
「おう」
ありがたいこと営業部のエースと呼ばれている俺とシステム部のコミュ担当の裕也は必須と部長に言われた。
俺たちが入り始めてから契約数が段違いらしい。
「あ、だから明日、一日会社にいないから。事務処理急ぎあったら別の人に頼んで」
「オッケー」
俺と裕也は急ぎの案件があるから当日だけ入る。
申し訳ないと思いつつ、ポケットに入っていたチョコを渡す。
「ほい、こいつでも食べてエネルギーチャージしろ」
「…なんでチョコ持ってんのよ」
「さっき、ゆりからもらってな。何個かあるからやるよ」
「…どーも」
ゆりの名前を聞いて何も言えない中倉。
俺たちはゆりに弱いな、と思ってまた苦笑した。
次の日。
中倉たち準備組は朝から展示会場に行っている。
俺は裕也と打ち合わせ。
「だーかーら、それにするとこっちがバグる可能性あるって。昨日テスト見てわかったろ」
「わかってるけど、先方が納得してくんねーんだよ」
「連司の説明で説得できないってどんだけだ」
連日、同じことを言われて裕也はイラついてるのがわかる。
「だから今度同席してくれよ。専門家から話ならさすがに納得するだろ」
「だー、わかったよ。ここの細かいとこ、先輩に確認しとく」
頭をかきながら納得してくれた裕也。
裕也は俺の説明で納得できない顧客はいないと言ってくれる。
そもそも俺が理解するまで裕也が説明してくれてるのが大きいけど。
だから納得できないとなると専門家が必要なのもわかってくれる。
「助かる。ここクリアできれば契約更新なんだよ」
「へーへー。今度なんか奢れよ」
「コーヒーでいいか」
「それと展示会3日分の昼飯代な」
裕也がPCを閉じてミーティングブースを出る。
俺も続いて出る。
「あ、あと連司に確認したいことあったんだ。俺のデスクまでいいか?」
「おう」
システム部に入るといつもと違う空気。
ピリピリというか…ソワソワ?
裕也のデスクまで空椅子を持ってきて確認作業をしていると騒がしくなった。
「?なんか騒がしくね?」
「朝礼で言われなかったか?今日、テレビ取材来てるって」
「へー、知らん。で、ここなんだけど…」
10分ぐらい確認作業をして立ち上がる。
「じゃ、それで」
「りょーかい。サンキュー」
裕也と話してると名前を呼ばれた。
「連司!!」
会社で絶対に聞くことがない声に驚いて顔を上げる。
「はぁ!?」
「どーした?」
裕也も顔を上げて俺の目線の先を見る。
その先には…。
「やっぱり連司だ」
「本当だ。連司くんだ」
嬉しそうに手を振ってくる2人に思わず叫ぶ。
「なんで智とハルがいるんだよ!」
「お前、本当に朝礼聞いてなかったんだな。テレビ取材、Runeの特番だぞ」
裕也が呆れように言う。
「マジかよ…」
「滝と雨宮、ちょうどいい。こっち来てくれないか」
きっと案内をしていたのであろう営業部長に手招きをされる。
裕也に連れてかれて2人の元に行く。
今日、中倉いなくてよかったと心の底から思った。
「やっほー、連司」
「お前な、そんなのん気な…」
俺のため息にハルは苦笑した。
忙しない日々にはたまに大事件が起こるもんだ。
連司くんメイン回。
年末って年始の調整もあるから普段の業務のついでが増えて本当大変(心の声)
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