51、 師走の合間の休息
読んでいただきありがとうございます!
本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
蓮華とのデートから半月。
12月にもなって忙しさは更に増した。
「おはよーぉー」
善ちゃんが眠そうにしながら入ってくる。
一緒に来た瑛太は寝不足で不機嫌だ。
「おはよ」
「おはよう。善も瑛太も眠そうだな」
そう言うハルくんも疲れてるのが目に見えてわかる。
この時期はレギュラー番組の収録、映画やドラマもあれば年末年始の特番の収録もあるから目が回る忙しさだ。
スケジュールパツパツの時は夜中の2時に帰って朝5時に家出るとかもある。
そんな日はマネくんは寝てないらしから収録や撮影中に車で爆睡してるって言ってた。
「眠いよー。この時期は仕方ないけど、やっぱり眠い」
あごを机に乗せて目を瞑る善ちゃんとすでに突っ伏して寝てる瑛太。
ハルくんは苦笑してる。
「まぁまぁ。今月乗り切れば三が日は休みだろ?」
「うん。元旦は寝正月するんだぁ」
そう言いながら寝息を立てる善ちゃんに笑う。
「善ちゃんも瑛太もかわいいなぁ」
「智くん、何言ってんの」
「え?そうじゃない?」
「まぁ、わかるけど」
「ハルくんもかわいいよ?」
「は?」
飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになったハルくんに俺はんふふーっと笑った。
「智くん、今年はなんか元気だね」
気を取り直したのかハルくんはコーヒーをまた飲む。
「そっかな」
「うん。先月の休みの時ぐらいから。何かいいことあった?」
その言葉に蓮華とのデートを思い出す。
「そうだね。頑張る理由がもう一個できたし」
『絶対に蓮華に伝えたい言葉があるんだ。それを伝えられるようになるまで、蓮華を必ず守る』
『も、う、不安に、ならなくて、いいの…?』
ネックレスに触れる。
早く事務所に許可をもらえるように頑張る。
でもそれをメンバーに伝えるとメンバーも気負ってしまう気がするから、まだ内緒。
智くんが大切そうにネックレスに触れる。
休み明けから毎日つけているネックレスは今まで見たことないもの。
きっと蓮華さん関連だろうと思ってる。
でもまだ何も聞いてない。
きっと俺たちの事を思ってるからだろうけど、ちょっと寂しい。
「お花さんとは相変わらず?」
そう聞くと嬉しそうと頷いてる。
「俺が日付変わる前に家に帰れたら電話してる」
「それ、向こうに負担にならない?」
「電話する前に確認してるから大丈夫」
一般企業とは全然異なるスケジュールだから相手に連絡するのも気にかける必要がある。
でも、そこは大丈夫そうだ。
「それに、その時間があるから頑張ろうってなるし」
この忙しない時期の癒しらしい。
顔を見ればわかる。
この人は普段はほんわかした顔をしているし、そんなに大きく感情が変わることもない。
蓮華さんの事を除けば。
「そっか。ならいいや」
そう言って台本を開いて収録の流れを確認してると頭を智くんの肩に乗せられた。
「あの…?」
「ハルくんも疲れてるでしょ。充電充電」
智くんの肩は俺たちの充電スポット。
左側は善と瑛太の取り合いだ。
「大丈夫だよ」
「あなたはこうでもしないと甘えてこないでしょ。いいから甘えなさい」
たまに出してくるお兄ちゃん感。
実はそれが好きだったりする。
たまには甘えてもいいんだと思わせてくれる。
「本当、よく見てるね」
「そりゃ大事なメンバーですからね」
智くんがふふっと笑うと肩から振動を感じる。
俺はそのまま台本を読んでたけど、わずかな振動と体温が心地よくて俺は気づいたら寝ていた。
次に起きたら善と瑛太に「ずるい!!」と言われたのは言うまでもない。
今日も仕事が終わって時計は24時ちょっと過ぎ。
蓮華に電話したいけどさすがに…と思ってたらメッセージが来た。
【今日もお疲れ様。寝れる時は寝てね】
その言葉だけでも体が少し軽くなるのを感じる。
ごめん、と思いつつ電話をすると眠そうな声。
【もしもし?】
「ごめんね、こんな時間に。メッセージくれたから起きてるかなって」
【ううん。今寝ようとしてたし、明日土曜だから大丈夫】
明日(というか今日)は土曜日か、とちょっと驚く。
曜日感覚がもう無いぐらい忙しいんだな、と自分でも思う。
【智、寝れてる?】
「うん、2〜3時間の時もあるけど、合間に寝てたりするから」
【…無理しないでね】
心配してくれる声に嬉しくなる。
「うん」
【ちゃんと食べてね?】
「うん。仕事が落ち着いたらまた蓮華のご飯食べに行っていい?」
【うん】
これで年明けまで頑張れるなー、と思ってると蓮華が控えめに声をかけてきた。
【あの…】
「うん?」
【いつ、になるかわかったら教えて?準備する、から】
ちょっと言いにくそうにしているのは、急かせてしまってると思ってるのかな?と思う。
「うん。すぐに連絡するね。楽しみにしてる」
【…私も、楽しみにしてる】
楽しみにしてくれる、そのことに俺は嬉しくなった。
どんなに忙しくても頑張れるのはキミがいるから。
デート後の智くんのお話です。
年末年始って特番だらけでスケジュールすごそうですよね。
シンプルに尊敬です。
次に会う時のご飯は何を作ってくれるんでしょうね。
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