50、 待つと決めたんだ
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本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
デートの後、駅まで送ってもらって電車に乗る。
ボーッとしながら窓の外を眺めていると反射で映るオパールのネックレス。
『蓮華の誕生石と俺の誕生石をお互い付けてたらいいかなって』
意外とロマンチックなんだよな、と思いながら小さく笑った。
『絶対に蓮華に伝えたい言葉があるんだ。それを伝えられるようになるまで、蓮華を必ず守る』
真っ直ぐ、強い目で伝えてくれた言葉
それを聞いた時に思った
もう、あなたを想って泣かなくてもいいの?
『俺は絶対に蓮華だけだから。何を言われても俺を信じてほしい』
「…待ってていいんだよね」
いつかはわからない、けれど未来を約束してくれた。
それが単純に嬉しかった。
休み明けの月曜日。
休んだ分も仕事を進めて、バタバタしてるとあっという間にお昼。
「れーんか!お昼行けそう?」
由里香が迎えにきてくれて私は頷く。
持ってきたお弁当を持って休憩スペースに行く。
そこには滝と雨宮がいた。
「おー、お疲れ」
「おつー」
「お疲れ!一緒にしてもいい?」
由里香が聞くと2人は頷いた。
「あ、お土産あるから取ってくる」
私はお土産を思い出して一度取りに行き、3人のとろこに戻ったらみんな待っててくれた。
「ありがとう。先に食べててよかったのに」
「いいの!みんなで食べよ!」
由里香の言葉に小さく笑う。
「4人で飲みに行くことはあるけど、ランチは初めてね」
「確かにそうかも」
他愛もないことを話ながらお弁当を食べていると由里香がニヨニヨしながらこっちを見てる。
「…何?変な顔して」
「失礼だなー!」
由里香はちょっとムッとしていたけど、また同じ顔になった。
「いやー、いつもは仕事用のネックレスしてるのに、今日は違うのしてるから」
目ざとい。
由里香はそういう変化にすぐに気づく。
「よく気付いたわね」
「蓮華のあのネックレス好きだったからね」
仕事用のネックレスはゴールドのシンプルなデザインに小さなルビーが埋め込まれていた。
「これ、何の宝石?」
「…オパール」
乳白色だけど、角度によって色が変わって見える不思議な石。
まるで智のようだ。
「オパール?初めて見た。綺麗!」
由里香の言葉に私も頷いた。
「それ、あいつからもらったんだろ」
午後の時間が始まって、一通り片付いたからお茶を自販機で買っていたら滝に声をかけられた。
「…なんで」
「俺にわからないことはなーい」
そんなことを言いながらコーヒーを買ってるから思わず横っ腹を殴る。
「怒んなよ」
「怒ってない」
滝が苦笑した。
「昨日、たまたま電話したんだよ。その時に聞いてな」
「…滝にはなんでも話すのね」
「昔からそうだろ」
デスクに戻るために歩きだす。
「なんて言ってた?」
思い出した滝はクックックッと笑う。
「めちゃくちゃ喜んでたよ。あと、早く伝えたことを現実にする為に頑張るって」
「…そう」
その言葉に嬉しさと恥ずかしさで耳が熱くなるのを感じた。
「で、お前はどう思ったんだ?」
滝の言葉に足を止める。滝も数歩進んでから止まって振り返った。
「一瞬、信じていいのかなって思ったけど…でもそれよりも嬉しかった」
「うん」
「また一緒にいていいんだって、伝えてくれてた気持ちは本当だったんだって」
ネックレスを触る。
「だから…信じて待つって決めたの」
そう言うと滝は少し泣きそうな顔をしてそっか、と笑った。
約束通りに言葉を伝えてくれた時、私の気持ちも伝えるから。
自分に素直になった蓮華さん。
蓮華さんが待つと決めたことに泣きそうな連司くんはきっと自分のことのように嬉しいのでしょう。
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