45、 デート、しませんか?
読んでいただきありがとうございます!
本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
レギュラー番組の控え室でダラダラしていたらマネくんに声をかけられた。
「あ、大嶋さんスケジュール更新したんで確認お願いします」
「おっけー」
携帯を出してスケジュールアプリを開く。
11月から12月まで、予定がぎっしりだ。
「…うへぇ」
「そうなるよね」
隣でハルくんが苦笑する。
「ハルくんもお疲れだね」
「ま、ドラマ撮ってるからね。それ言ったら善も瑛太も干からびてる」
指された方を見るとソファーでグッタリしてる二人。
善ちゃんは映画、瑛太は舞台中だと言ってた。
「みんな忙しいな…」
「ありがたいことだけどね。智くんだって1月からのドラマ撮影始まるんでしょ?」
「うん」
今は俺は落ち着いてる方。
レギュラー番組と雑誌とラジオぐらい。
11月からは特番の撮影と12月から1月からのドラマ撮影。
「半日休みあっても1日休み全然無いわー」
「じゃあ、遊ぶなら今のうちだね」
ハルくんの言葉に頷く。
しばらく遊びに行けないなーと思ってアプリを閉じた。
1本目の収録が終わって待機時間。
ちょうど昼時だったのでお弁当を食べる。
今日は鯖の塩焼き弁当か。
「うまー」
「うまそー!俺もたーべよ」
善ちゃんが収録のテンションでお弁当を取る。
「俺、カツ弁当ー!」
「俺も鯖食べよう」
瑛太も復活したのか弁当を食べる。
ハルくんは役作りでプロテインだけ。
「さっきのコーナー面白かったな。日帰り穴場スポット」
次の収録の台本を読みながらハルくんが言うと善ちゃんが頷いた。
「あの川、夏は最高だろうね!」
「そうだね。牧場も面白そうだったし」
「智くんが好きそうなご飯あったもんね」
善ちゃんがクスクス笑う。
みんなで弁当を食べて少し休憩。
二人はまた寝てる。
「智くんさ、さっき遊びに行くなら今のうちって話したじゃん?」
「うん」
ハルくんとコーヒーを飲んでまったり。
「せっかくだから、さっきの日帰り旅行みたいなのしてきたら?11月だとまだ過ごしやすいと思うし」
「あー…確かに」
「さっき紹介された場所はファンの人たちも来るようになると思うからそれ以外の場所がいいとは思うけど」
「そうしよっかなー。11月の半ばに1日休みあるし」
またスケジュールアプリを開く。
1日空いてる日は金曜日。
「…あ」
「?どうかした?」
ハルくんが聞いてきたけど、俺はなんでもない、と答えた。
その日の夜。
収録が全部終わって帰ったのは22時。
冷蔵庫からビールを取って飲みながらソファーに座った。
「ふー、疲れたー」
疲れるけど、メンバーとの仕事はやっぱり楽しい。
今日の面白かったことを思い出して笑う。
ビールをもう一口飲んで携帯を取り出す。
表示されるのは蓮華。
「…まだ寝てない時間だから大丈夫かな」
通話を押して耳に当てる。
数回のコール音の後に少し眠そうな声。
【もしもし?智?】
いつもとは違う柔らかい声。
電話はもう何回もしてるけど、この時間特有のこの声はいつ聞いてもドキドキする。
「お疲れ。今大丈夫?」
【うん。智もお疲れ様。今帰り?】
電話の向こうでカチャカチャ音がするからハーブティー飲んでるのかな?
「そう。今家着いた。今日はね、メンバーと収録だったんだ」
今日の楽しかった事を話す。
蓮華も楽しそうに笑ってくれるのが嬉しい。
【相変わらず仲良しね】
「うん。仕事だけど楽しいのはありがたいよ」
そう言って俺は電話の主旨を思い出す。
「あ、のさ、蓮華」
【うん?】
「よかったら…今度一緒にどっか行かない?」
少しの沈黙が流れる。
電話の向こうで蓮華が驚いてるのがわかる。
【…出かける?一緒に?】
「そう。年末の特番撮影とか始まると全然休み無くなるから、その前に一緒にって」
【でも、それなら休んでた方がいいんじゃ…】
心配してそう言ってくれてるのだろう。
「大丈夫だよ。それは慣れてるし」
【…】
「日帰りでさ、行けるところで散歩して美味しいもの食べれたらなって。
あ、でも平日だから蓮華には会社休んでもらうことになるんだけど」
こればっかりは変えられない。
だから蓮華が休めないなら諦めて家で過ごそうと思ってた。
【休みは有給が貯まってるから大丈夫だけど…それって…】
「…うん。デートのお誘いなんだけど…嫌、かな?」
きっと蓮華は困って慌ててるけど、顔は赤くなってるんだろうな。
こういう不意打ちの反応、昔から変わってなかった。
【嫌じゃない!けど…私でいいの?】
「蓮華がいいんだ。一緒に行ってくれる?」
小さく「…うん」と聞こえた。
キミとのデートはあの日以来だ。
智くん、デートのお誘いです。
蓮華さんとのデートはあの日以来。
あの日の思い出を上書きするような楽しいデートになるといいですね。
蓮華さんはきっとデート用の洋服を買いに行くに違いない。
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