43、 俺は…
読んでいただきありがとうございます!
本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
蓮華にお祝いをしてもらった翌週の土曜日。
今度は俺の家で連司とハルくんがお祝いをしてくれた。
「んじゃ、誕生日おめっとー!」
「おめでとう」
「ありがとう」
カチンッとグラスを合わせる。
連司はスパークリングの日本酒とちょっと変わった焼酎。
「美味しそう」
「これ、めちゃ美味いんだけど、ちょっと甘いかもしれん。俺は好きなんだけど」
「へー。あとで飲んでみよ。ありがとう!」
お礼を言うと連司はニッと笑った。
「ハルくんがくれたバックも使いやすくってずっと使ってる」
「みたいだね。気に入ってもらえてよかった」
ハルくんはクスクス笑ってたけど、耳が赤い。
照れてるのがかわいいな、と思う。
しばらくは近況を話しながら食べて飲んでをして、ちょっといい気分になってきた。
「あ、そういえば中倉が祝ってくれたんだろ?どうだった?」
そう聞かれて俺は固まる。
「俺も聞いてないな。一緒の仕事今週なかったし」
「そうなんか?俺も出張一週間あって中倉と話せてないんだよね」
ウキウキしてるのがわかる。
俺は苦笑する。
「楽しかったよ。俺の好きな料理たくさん作ってくれて」
「へー。和食パーティーだったんだ」
「パーティーっていうか、普通の夕飯って感じだったけど、俺はそれで十分だから」
そう言うとハルくんは納得した。
「ケーキは?お前、甘いの苦手だろ?」
「あんみつにチョコプレートつけてくれた。形だけでもって」
「あんみつにチョコ…?あいつ、たまにどうした?ってなるようなことするよな」
連司が理解ができないって顔をしてたけど、俺は首を横に振る。
「気持ちが嬉しかったから。あんみつも美味しかったし」
「で、何もらったの?」
ハルくんがウキウキしてる。
わかってるくせに。
「コインケース貰ったんだ」
「へー。コインケース」
「智くん、欲しいって言ってたもんね」
ニヤニヤしてるハルくんを見て連司は何かを察した。
「ハル、中倉に教えたな?」
「聞かれたからねー」
「俺には教えてくれなかったじゃん」
「被るといけないからさ」
楽しそうなハルくんに連司はちょっと不満そう。
「本当、智の周りは智に甘いな」
「それ、連司くんもだよ?」
二人で楽しそうにしてるのが嬉しい。
「ね、智くん、見せて見せて」
ハルくんがワクワクと文字を背負っている。
俺はバックからコインケースを出す。
「これ」
「へー、使いやすそうだな」
「いい色だね」
ハルくんに渡すと嬉しそうに見てる。
俺は思わず笑う。
「なんでハルくんが嬉しそうなの」
「え?そう?」
「うん」
頷くとハルくんはヤベッという顔をしていた。
「お、内側おしゃれだな。これなんの花?」
連司が開いて中を見る。
描かれている金木犀に気づく。
「金木犀。俺の誕生花なんだ」
「へー、そうなんだ」
「俺も蓮華に教えてもらった」
「中倉そういうの好きだもんな」
「うん」
ハルちゃんが何かに気づいた。
「あ、だからメンバーカラー、オレンジがいいって言ってたの?」
俺のメンバーカラーはオレンジ。
『メンバーカラー決めようと思うんだけど、希望とかあるかしら』
『…俺、オレンジがいいです』
言われて思い浮かべたのは金木犀を見ながら笑顔だった蓮華。
「…うん」
「お前ら、また何かあったか?」
連司が俺の様子を見て聞いてきた。
俺は首を横に振った。
「ううん。蓮華がお祝いしてくれて楽しかったし、嬉しかったよ」
「…」
「ただ…俺が勝手に嫉妬して困らせただけ」
「嫉妬?」
ハルくんが驚く。
連司は小さくため息。
「あれか?ハルにプレゼント何がいいか連絡したからか?」
「え?それ?」
慌てるハルくん。俺は苦笑する。
「なんでそんなにわかるのさ」
「お前は昔からわかりやすいんだよ」
ハイボールを飲みながら連司は言う。
「智くん!俺…なんかごめん」
ハルくんが落ち込んで謝ったので俺が焦る。
「ハルくんは悪くないよ!俺が勝手に嫉妬しただけだから」
「そうだぞー。智は俺にも嫉妬するぐらいなんだから、ハルは気にしなくていい」
「え?そうなの?」
俺は頷く。それを見てハルくんはちょっと安心した顔。
「ハルくんにも嫉妬するなんて俺ってちっさい男だなーって思ったのとの、
嫉妬する資格もないのにって思って」
俺の言っている意味がわかったのか、二人は黙ってしまった。
「付き合ってるわけでもないのに、でも会いたいからって会いに行って」
「智くん…」
「…もう、守れるぐらいになったと思ったけど、
まだ臆病な俺がいて情けないなって思っただけだよ」
うまく笑えてなかったのか、ハルくんが悲しそうな顔。
連司はため息をつく。
「お前、そんなに自分に自信ないやつだったけ?高校の時の勢いはどうした」
「そんなに勢いあったっけ?」
「あっただろ。中倉に関しては絶対に離さないし、守るっていつも言ってだろ」
あの頃は確かに、何があっても蓮華を守って一緒にいるって思ってた。
それは今も変わらない。
「今はメンバーもファンもいるから守るものが増えたかもしれないけど、
お前は生半可な気持ちでいる男じゃないだろ」
「…」
連司は真面目な顔で俺を見る。
「全部守るし、何があっても中倉を守るってまた決めたから、
あいつに会いに行ったんだろ。決めたなら守り通せよ。
お前はそれができる男だろ」
その言葉に泣きそうになる。
「…連司って俺のこと過信してるよね」
「当たり前だろ。俺の親友だぞ」
ハイボールを飲む連司に俺は「ありがとう」と呟いた。
俺はもう迷わない。
連司くんの励ましの回です。
途中、ハルくんは控えめでしたが、次回以降にちゃんとどう思ってたか出てきます。
智くんと連司くんといると弟感が強いハルくん。
そして今更ですが、智くんのメンバーカラーはオレンジです。
====
いいなど思った方は、ぜひブックマーク、評価をよろしくお願いします!
していただいたら作者のモチベーションもめちゃ上がって喜び狂い、発狂します( ´ ▽ ` )
感想もお待ちしております(^ ^)




