40、 キミの欲しいものが知りたいんです
読んでいただきありがとうございます!
本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
智の誕生日をお祝いしようと約束をした。
それを嬉しそうにしてくれた智。
「…んー、と」
昼休憩、ご飯を食べた後に携帯でプレゼントを探す。
きっと芸能人はいい物に慣れているから何をあげればいいのか正直わからない。
「一人なんて珍しい」
顔を上げると雨宮がいた。
「由里香は滝とランチよ」
「え、あいつら家一緒なのに?」
「最近残業とかですれ違いが多いから、たまにはランチ一緒にって話になったんだって」
由里香も総務でバタついてるし、滝は滝で新規契約取って忙しい。
「あー、なるほどな」
「ま、仲良しなのはいいことよ」
そう言って緑茶を飲む。
雨宮は向かいの空いてる椅子に座った。
「中倉もなんか良いことあったか?」
「え?」
驚いてみると雨宮は苦笑した。
「なんでわかるかって?わかるさー。どう見たって嬉しそうだし」
「…そんなに?」
「わかるって言っても俺たち3人ぐらいだよ」
「そう。それならまぁ、いいか」
確かに私のちょとした変化に気づくのは3人だけだ。
それ以外の人に気づかれるのは面倒だなと思ってしまう。
「あ…」
「?」
「あのさ、聞きたいことがあるんだけど」
雨宮にそう言うと不思議そうな顔をされた。
「中倉が?珍しいな」
「…雨宮は口が固いから」
「信用されて何より。で、なんだ?」
「社会人男性がプレゼントされて嬉しいものって何?」
聞いた瞬間、コーヒを飲んでいた雨宮がむせた。
「ちょ、汚な」
「悪い…て!お前、何?彼氏できた?」
驚きすぎて見たことないような顔してるのが面白い。
「違うわよ。…昔からの知り合いが誕生日だから」
「…ふーん。同い年?」
「そう」
雨宮は深入りせずにいてくれた。
「そうだなー。仕事何してるかとかにもよるけど、俺は仕事用のブルーライトカットメガネもらった」
「…システム部はずっとパソコン作業だものね」
「連司はグラスもらったって自慢してきたな。あいつ酒好きだし」
「それは私もされた」
私は小さくため息をついた。
「そうよね、本人が欲しいものがいいわよね」
「まーな、共通の知人とかいねーの?」
そう聞かれて思いつくのは2人。
「うーん…聞いてみる」
雨宮はおう、と返事をした。
夜、お風呂に入って携帯(防水対策済み)をいじってるたらヒョコッと音が鳴った。
【なるほど、それで俺に連絡なんですね】
メッセージがポップアップされる。
「…はい、そうです」
呟いてメッセージを開く。
【すみません、間宮さんも忙しいのに】
初めて会った時に何かあった時用に、と連絡先を交換していた。
こんなことに使って申し訳ない。
ちなみに滝にも聞いてみたけど、「俺が聞きたいぐらいだ」って言われた。
【大丈夫ですよ!智くんは最近、ワインにハマってるって言ってました】
「ワインかー」
ワインに詳しくないし、私はキーケースをもらったのに飲み物ってどうなんだろう…。
パシャッとお湯を蹴った時にまたヒョコッとメッセージがきた。
【あと、今日言ってたんですけど】
そのメッセージを読んで、それはアリかと思った。
【ありがとうございます。それ、私が渡しても大丈夫ですか?メンバーさんと被らないですかね】
そう送ってしばらくは返信はなかった。
お風呂から上がって髪も乾かして寝ようとした時にメッセージが来ているのに気がついた。
【大丈夫ですよ!それとなくメンバーに違うのプレゼントするように誘導するんで笑】
なんだか楽しそうだな、と思いながらお礼を送った。
「ハールくん!なんか楽しそうだね!」
後ろから抱きついてきたのは善。俺は転けそうになりながらも踏ん張った。
「善、危ないだろ」
「えへへー、ごめんごめん!」
善は定位置である俺の前に座る。
「人の役に立ててるのが嬉しくてね」
「それは嬉しいやつだ」
目の前のおやつを食べながらニコニコしてる善は本当に弟みたいだ。
「夜遅いんだから食べすぎるなよ」
「ほーい」
今は雑誌の撮影中。
俺たちは待機で智くんと瑛太の撮影終わり待ち。
「あ、そうだ。善は智くんの誕生日プレゼント決めたか?」
「ううん。欲しいもの聞こうかなって」
「そっか。あのさ…」
蓮華さんに教えた物は渡さないようにお願いをした。
善はOK!と大きく頷いた。
あとは瑛太にも言わないと。
「じゃあ何にしようかなー。服とか嫌かな」
「いいんじゃないか?キャップとかサングラスとかでも」
「確かに!!キャップにしよ〜!」
キャップをコレクションにしてるから選ぶのも楽しいのだろう、うきうきした顔で携帯を見る善に俺はクスッと笑った。
携帯が震えて見ると【最近の智って何が好きなんだー?】と連司くんからも連絡が来た。
二人に頼ってもらえてるのが嬉しい。
【ワインがブーム再来みたいだよ】
【ワインかー。じゃあ日本酒のスパークリングのいいやつにするかな。3人で飲んでお祝いしよーぜ】
そう返事が来てクスクス笑う。
「ワインって言ったのに日本酒になってるし」
笑っていたら「ハルくん、また頼られたの?」と聞いてきたので頷いておいた。
すっごく大事にされてるのをわかってるかな?
誕生日プレゼントは何でしょうか。
とりあえず、キャップと日本酒ではないでしょう。
お兄さん、お姉さん達に頼られて嬉しい弟っぽいハルくんでした。
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