39、 会えないことが寂しいと思うようになった
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本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
夏が過ぎ、秋になった。
誕生日から智とは会ってない。
間宮さんが言っていた会えなくなると思うの意味を実感する。
まぁ、ドーム前まで月に1〜2回会ってたのがおかしいのかもしれない。
「…元気かな」
「あいつは元気だぞー。心配すんな」
急に隣から声がして振り返ると隣には何故か滝がいた。
「…滝、いつの間に?」
「今だけど?ここ空いてたから座った」
ちょうど隣の席の後輩は会議だ。
「…」
「睨むなよ。次の打ち合わせの資料持ってきたんだし」
差し出された資料を受け取る。
確かにこれは必要なやつ。
「お前、今日残業か?」
「違うわよ」
また睨むとよし、と滝は呟いた。
「じゃ、飲みな」
ヒラヒラと手を振って自分の部署に戻る滝。
その後、後輩に眉間の皺を指摘されるまでPCの画面を睨んでいたらしい。
今日は智と飲むと言っていた前も連れて来てもらったお店。
「由里香はいいの?」
「ゆりは総務での飲み会だと」
確かに総務は年末に向けての決起会?を秋にすると聞いてる。
飲み物といくつか料理を頼む。
飲み物はすぐにきた。
「お疲れー」
「お疲れ」
カチンッとジョッキを合わせる。
相変わらず美味しそうにビールを飲むな。
「最近連絡取ってるか?」
お通しを食べる滝に聞かれて頷く。
「連絡は来るし、返してる」
「ほう」
「誕生日からは会ってないけど…」
そう言うと滝は笑った。
「中倉もわかりやすくなったな」
「何が?」
「顔に寂しいって書いてあんぞ」
どこか安心した顔をする滝。
心配させていたんだな、と感じる。
「…まぁ、寂しくないといえば嘘になるけど」
「いいことだ。お前も智も言葉にしないからなー」
「…で、今日は何よ。いつもと違うお店で」
滝はああ、と思い出したように携帯を見る。
「今日はなー」
その時、個室の扉が開いた。
驚いて見ると帽子を被った2人組。
「お疲れ」
「お疲れ様です」
「こいつらと時間が合ったから一緒に飲もうってなってな」
智と間宮さんが入ってきて驚きが隠せない。
「え?ちょ、滝!」
「…連司くん、また言わないできたの?」
滝の隣に座る間宮さんが苦笑する。
「会社だったから言えないっつーの」
「それはそうかもだけど!」
滝に言うと隣からビールが入ったグラスを渡された。
「はい、蓮華のおかわり分」
「あ、ありがとう…」
受け取って顔を見るとフニャッとした笑顔の智。
久しぶりでなんだか恥ずかしくなって目を逸らす。
「おー、珍しいもん見た」
「ダメだよ、からかったら」
間宮さんが自分たちの飲み物を受け取りつつ宥める。
「ほら、乾杯しよ」
そう言われてみんなで乾杯をする。
「でもびっくりしたよ。中倉さんも一緒って聞いて」
「智も来れるって聞いたからせっかくだしな。きっと会えてないんだろなって思ったし」
「さすが連司。わかってる」
3人で盛り上がってるのを眺める。
仲良いんだなーと思ってると智が顔をのぞいてきた。
「!」
「久しぶり」
驚いて体を後ろに引く。
「ひ、久しぶり」
「元気そうでよかった」
「智も…。ドームも楽しそうだったし」
智はうん、と頷いた。
「楽しかったよー。ペンライトの海ってすごいね」
「下から上までだったもんね」
間宮さんも頷く。
「へー。確かに、観客側からもペンライトの海って感じるもんな」
「連司、なんで知ってるの?」
「ゆりが好きなアイドルのライブ一緒に行った」
また3人で話しているのを眺める。
チラッと智を見ると、少し疲れているのかやつれてる気がする。
「…仕事大変なのかな」
ポツリと呟くと智には聞こえていたようだった。
「んー、大変は大変かな。ドラマとかも話くるようになったし」
「あ、え、聞こえた?」
「うん。心配してくれてありがとう」
智が嬉しそうに話をしてくれる。
連絡を毎日していても、会えるとやっぱり嬉しい。
そう思ってハッとする。
「…うわぁ」
恥ずかしくなって顔が熱くなる。
「蓮華?」
「な、なんでもない!」
首を横に振ってビールを飲んだ。
智は不思議そうな顔、滝は笑いを堪えていて、間宮さんはクスッと笑っていた。
ほどほどに飲んで解散になった。
私と滝は電車で、智と間宮さんはタクシーで帰る。
お店を出る前に私は智の服を掴んだ。
「?どうしたの?飲みすぎた?」
「それはないんだけど…」
「?」
ずっと考えていたことを聞いてみるだけなのに緊張する。
「来月…智の誕生日、お祝いできたらなって」
そう言うと抱きしめられた。
「ちょ!」
「いいの?嬉しい!」
嬉しそうな声にホッとする。
「当日じゃなくても予定が合う日でって」
「うん!楽しみにしてる!」
ニコニコした智に私も苦笑する。
会えないのが寂しい、会える約束が嬉しいと思えるようになったのは秘密。
自分の気持ちに素直になり始めた蓮華さん。
ツンデレのデレが可愛いに決まってる。
2人の様子を連司の席に座って見てたい。
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