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過去、私を嫌ったキミは今、私を溺愛する  作者: ひなた


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37、 見守る側は幸せを願ってるんだ

読んでいただきありがとうございます!

本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。


更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。


中倉の誕生日があった翌週の金曜日。

中倉からの飲みのお誘い。

「んで、何があったって?」

いつもの居酒屋に来て生を2つ頼む。

「…智が誕生日お祝いしてくれました」

「よかったじゃねーか」

おしぼりで手を拭く。金曜日だけどお客さんは少なめだ。

そのおかげでいつもは埋まってる半個室を案内された。

「そうなんだけど…」

「愛してるとか言われたか?」

そう聞くと中倉の顔が真っ赤になった。

お、ビンゴ?

そう思ってたらビールが来たのでとりあえず乾杯をした。

「うめー」

「うめー、じゃ無いのよ」

中倉も一口飲んでジョッキを置く。

「智から何か聞いてる?」

「いんや。誕生日プレゼントどうしようって相談ぐらいだ」

俺はそのまま飲み続ける。喉も乾いてたからすぐに2杯目を頼む。

実際は中倉の誕生日の次の日には連絡が来ていたけど、今は言わない。

「…キーケースを貰ったの」

「ほう」

「そしたら我慢できなかった」

そう言う中倉は泣きそうな顔。

「我慢できなかった?」

「…離れたくなかった、忘れられなかったって言ったの」

「うん」

「智も…ずっと忘れられなかったって」


『蓮華を傷付けた』

『智と…別れた』

高校の時、2人から聞いた言葉。

どっちの気持ちもわかるから俺は何もできなかった。

『俺は…もうそばにいられないから、蓮華を助けてほしい』

電話で言われた智の言葉に当時の俺は戸惑った。

でもその理由はすぐにわかった。

Runeがデビューして智だけの問題じゃなくなったからだ。

智はデビューと同時に他の3人の人生にも大きく関わる要因になったのだと。

当時の智には中倉と3人を守ることができないと判断したんだと。


「愛してるって言われた?」

もう一度そう聞くと中倉が驚いた顔で見てきた。

「なんで…」

「なんで知ってるって?そりゃ会う度に聞いてたから」

『蓮華の事、本当に愛してるんだなって思う。もう蓮華以外見れないんだよね』

智がほろ酔いになる度に聞いていた言葉。

それを聞く度に羨ましいと思った。

そんな純愛を知れるなんていいな、と。

「あいつはずっとお前を愛してるんだよ。こっちが聞いててムカつくし、羨ましく思うぐらいにな」

「…」

中倉は何も言わない。

フラれた側からしたら信じられないだろうとは思う。

でも、今は智の親友として言わせてもらう。

「お前のことをそんなに後悔するぐらい愛してるくせに別れて、でもずっとお前の幸せを気にしてる」

矛盾してる親友にイラついて聞いてみたことがあった。

『お前、中倉とどうなりたいんだよ』

そう聞いた時の智が本当に泣きそうだった。

いや、泣いていた。

『一緒にいたい。結婚して家族になってずっといたい』

じゃあ、一緒にいろよって言いたかった。

『でも俺はまだ蓮華を守れる力が無い。だから俺が守れるぐらいになって、もう一度会いに行った時に蓮華が幸せを見つけてたら…その時は俺は諦めるよ』

そう言った時の智の顔は後悔してるのがわかった。

本当にずっとずっと一緒にいたいのにって顔に書いてあった。

だから何も言えなかった。

「…不器用すぎるんだよ」

目頭が熱い。頬に涙が伝うのを感じた。

「お前ら、お互い想いあってるくせに不器用なんだよ」

目元を押さえても涙が止まらない。


でも一番悔ムカついてるのは2人の気持ちを知ってて何もできない自分。


「頼むから幸せになってくれよ…!」


高校の時の幸せそうな2人を思い出す。

ちょっとした事でも幸せそうに笑い合う。

それが羨ましかった。

2人(こいつら)には幸せになって欲しい。

ただ、それだけなんだ。


涙を流す俺に驚く中倉。

「悪い…」

「…ううん。ありがとう」

中倉は困ったように笑った。

涙を拭ってビールを一口飲む。

「俺は智の親友だし、智の気持ちに寄り添う感じになるけど…」

「うん」

「でも、中倉にも幸せになって欲しいと本当に思ってるんだ。誰を選んだとしても俺はお前の選択を応援する」

そう言うと中倉は小さく笑った。

「それ、矛盾してない?」

「いいんだよ。親友の幸せも、仕事の相棒の幸せも願っていいだろ」

「…私は幸せ者ね」


そうさ

お前は自分が思っているよりも幸せになって欲しいと思われるんだ

そんなことは言わないけどな


「…お前はもっと素直に受け止めていいと思うぞ」

そう言うと中倉は小さくありがとう、と返事をした。


『蓮華に忘れられなかったって言ってもらえたんだ』

中倉の誕生日の次の日の日曜の夜。

智の仕事後に電話があった。

『そっか』

『俺も忘れられなかったし…愛してるって言った』

その言葉に驚きはしなかった。

だってずっと智はそう言っていたから。

『俺…自惚れていいかな』

そう言った智の声がいつもよりも嬉しそうだった。

中倉をフってからずっと悲しそうな声だったから泣きそうになる。

『…いいんじゃないか』

涙を堪えてそう答えた。

電話を切ってリビングに戻るとゆりが驚いた顔で近寄ってきた。

『どうしたの?』

ゆりを抱きしめて堪えていた涙を流す。

『…しばらく、こうさせて』

そう言うとゆりは腕を背中に回してくれた。

俺は幸せを願うことしかできない。

頼むから幸せになってくれ。


2人に幸せになって欲しいとずっと思ってるんだ。

2人の幸せを誰よりも願ってる連司くん。

両方の気持ちを知ってるからこそ、何もできないから後悔しているのです。


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