35、 俺はみんなを守れてるのかな
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本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
カーテンの隙間からの朝日に目を覚ます。
目をこすると手の甲が濡れた。
泣いていたらしい。
俺はベットから出てカーテンを開ける。
夏色をした青空と太陽の光を浴びる。
「…懐かしい夢みたな」
高校時代の夢。
別れた後は毎日のように見ていた。
久しぶりに見て切なくなった。
きっと、昨日蓮華との事があったからだろう。
昨日は蓮華が泣き止むまで抱きしめ、その後蓮華は帰った。
家まで送ろうとしたら断られた。
『今日はありがとう。嬉しかった』
少し目を腫らした笑顔でそう言って帰る蓮華に胸が熱くなった。
マネくんが迎えにきてくれた車に乗るとハルくんがいた。
「おはよ」
「はよ」
車に乗って窓の外の流れる景色を眺める。
「昨日はどうだった?」
ハルくんに聞かれて苦笑する。
「楽しかったよ。でも…」
「でも?」
「…俺が悲しませてたって実感して苦しくもなったかな」
そう言うとハルくんは悲しそうな顔をした。
それを見てごめん、と呟いた。
今日はRuneのレギュラー番組の収録。
楽屋に行くと2人も揃っていた。
「おはよ」
「はよーー!!」
「はよ」
2人の反応に俺たちは笑う。
「何笑ってんの?」
「んー、善ちゃんが元気だなーって」
「うん!みんなに会えるの嬉しいからね!」
善ちゃんのこう言う無邪気なところにいつも救われる。
俺が定位置に座ると瑛太が左隣に座って肩に頭を乗せてきた。
「ん?お疲れ?」
「んーん。智くんが元気ないから充電させてあげる」
映画の台本を読みながら言う瑛太の耳は赤い。
ツンデレなところが可愛いな、と思う。
「ありがとう」
そう言って頭を撫でると嬉しそうに小さく笑ったのがわかった。
「じゃ、俺も充電させてあげようかな」
珍しくそう言ってハルくんが肩に頭を乗せてきた。
それを見た善ちゃんが怒っていたのは言うまでもない。
善ちゃんと瑛太の2人の収録待ちの時、ハルくんが俺の好きなお菓子をくれた。
「これ、昨日のロケで見つけたんだ。智くん、好きでしょ?」
「ありがとう。さすがハルくん。俺の事なんでもわかってる」
ありがたく受け取って小腹が空いていたからそのままいただいた。
「うまー」
「よかった」
クスッと笑うハルくん。
「ハルくんも善ちゃんも瑛太もすごいなぁ」
「?」
「俺のちょっとした変化に気づいて慰めてくれる。それに俺はいつも救われてるんだ」
お茶を飲むとハルくんはデコピンをしてきた。
「い?!」
「智くんはバカだねぇ」
苦笑するハルくん。
「この後、2人との待ち時間あるでしょ?同じこと言ってみて。俺が言いたかったこと言ってくれるから」
ハルくんがニヤッと笑った。
次に瑛太と一緒に待ち時間。
瑛太は俺の左側に座って肩に頭を置いて携帯をいじってる。
「また充電させてくれてる?」
「そー。智くん、ちょっと元気ないからね」
携帯から目線を逸らさず言う瑛太の頭をクシュと撫でる。
「ちょ!怒られるじゃん!」
「俺のせいにしていいよ。ありがとう、俺のことわかってくれてて」
そう言うと瑛太はため息をついた。
「何言ってんの。俺達の変化に一番に気づくのは智くんじゃん。だから俺と善は智くんの左側戦争してんの」
「ハルくんはいつも右側なのにいいんだ?」
「ハルくんは俺たちの父だからいいの」
「俺は母親?」
「そー」
また携帯ゲームを始める瑛太の耳は赤くなってた。
俺の撮影があって、今度は善ちゃんとの待ち時間。
「智くん!俺も充電させてあげる!」
嬉しそうに左側に座る善ちゃん。ニコニコしてて俺も思わず笑顔。
「ありがとう」
「いつも瑛太ばっかりズルいからね!」
俺の肩に頭をのせてニヒヒッと笑う。
「智くんってすごいよね〜」
「何が?」
「居ていくれるだけで安心する!ちょっとしたことも気づいてくれるし、小さいことも褒めてくれるから嬉しいし!」
善ちゃんの顔は見えないけど、きっと俺の好きな全開な笑顔。
「俺たち3人は智くんに救われてるって思う!」
俺は目が熱くなるのを感じた。
「Runeに智くんが絶対不可欠だよねってハルくんと瑛太と話してるぐらい!」
顔を覗いてきた善ちゃんは思った通りの全開な笑顔。
「…俺、みんなを守れてるかな?」
「もちろん!!俺達、智くん居ないと困っちゃうよ!」
特別にギューっ!!と言いながら抱き締めてくる善ちゃん。
『俺が言いたかったこと言ってくれるから』
ハルくんの言葉を思い出してまた涙が出そうになった。
善ちゃんと瑛太の言葉はいつもハルくんが言ってくれる言葉と同じだった。
昔を思い出してメンバーも悲しませていると思った智くん。
でも3人は智くんが大好きなのです。
Runeは智くんが源なのです。
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