32、 キミに想いを伝えた日〜夏〜
連司のおかげで蓮華と話すようになった。
廊下で見つけて声をかけたり、遠くから見かけて目があったら手をふったりしていた。
話せば話すほど彼女の魅力に気づいていく。
「なんだか最近嬉しそうだね。学校で何かあった?」
レッスン後の帰りにハルくんに言われる。
「そうかな?」
「そーっすよーー」
瑛太が隣でアイスを食べながら肯定する。
「なーんかあったでしょー!!俺たちに隠せると思ったー??」
後ろから善ちゃんが抱きついてきた。
俺達は所属事務所で知り合った4人組。
俺自体はダンス大会で優勝したら事務所のスカウトマンに声をかけてもらった。
ダンスを仕事したいと思ってたから親にお願いして出世払いで事務所に所属させてもらった。
事務所に所属してもレッスンとかでお金かかるから必ず返す!!って言ったからにはデビューはマストだ。
そんな中、レッスンに通ってて仲良くなったのがハルくん、善ちゃん、瑛太だ。
『あの…俺、今日レッスン初めてなんです』
そう声をかけてくれたのがハルくん。
ハルくんと仲良くなってからは2人でいることが増えた。
『ねね!!ダンスめっちゃうまいね!俺たちにも教えて!!』
『へ?』
『ちょ、善巻き込まないで。あ、ハルくん助けて』
『善、瑛太が困ってる』
そんなある日、善ちゃんと瑛太に話かけられた。
2人は幼馴染でずっと2人でダンスをしていたらしい。
ハルくんと同期の2人とはすぐに仲良くなって4人でいることが増えた。
俺にとっては大事な居場所。
「…気になってた子と仲良くなった」
そう言うと3人はヒュー!っと騒いだ。
「可愛い?!可愛い?!」
善ちゃんが騒ぐ。
「可愛いけど、美人って感じ」
「写真ないの?」
瑛太に言われて確かに、と思った。
「写真は撮ったことがないなー」
「じゃあ、今度撮ってきて!」
善ちゃんに言われて苦笑する。
7月。夏の暑さにバテていた。
そして頭を悩ませていた。
「うーん」
「お、どうした悩める青年」
連司が前の席に座った。その顔はニヤニヤしている。
「…わかってるくせに」
「中倉の誕生日だろ?」
蓮華の誕生日を知ってプレゼント選びに必死だ。
「お前さー、告らないの?」
飲んでいた緑茶を吹き出す。
「きったね!!智、何すんだよ!」
「それはこっちのセリフだよ!何言ってんの!!」
自分でも珍しく声を張る。
連司はため息をつく。
「いや、お前達見ててわかんねー奴いないだろ」
「…そんなにわかりやすい?」
「恋愛初心者でもわかるぐらい」
真顔で言われて何も言えなかった。
「…告白とか、できないよ。俺がOKもらえるとは思わないし」
「お前、自己評価低いって事務所でも言われてるっしょ?」
連司が苦笑する。
「智は自分が思ってるよりもいい男だよ。それに中倉だってお前の事、"友達以上”だと思ってるぞ。きっと」
その言葉に背中を押された気がした。
夏休みが始まった初めての土曜日。
「大嶋くん!お待たせ!」
小走りで来る蓮華に手を振る。
『夏祭り?』
『そう…中倉さん、一緒に行かない?』
なんとかデートをしたくて誘った夏祭り。
昼間のレッスンでは上の空だったから善ちゃんと瑛太にからかわれた。
「大丈夫。俺も今来たから」
「本当?」
「本当だよ!それよりも浴衣似合うね」
紺の布地に蓮の花が描かれている着物を着た蓮華。
肩まで伸びた髪は綺麗に纏められている。
素直に綺麗だと思った。
「…ありがとう」
プイッと横を向く蓮華。耳が赤いのは照れている証拠。
クスッと笑ってしまう。
「…何?」
「ううん。行こっか」
勇気を出して蓮華の手を握る。
バッと顔を見られるけど、その顔が真っ赤だ。
「迷子にならないように」
俺がそう言うとコクンと小さく頷いてくれた。
そこからは楽しい時間だった。
気になる屋台を見て、食べて、ゲームをして。
いつもは小さく笑うだけの蓮華が楽しそうに笑うのが嬉しかった。
「あ、そろそろ花火の時間だ」
「あ、本当だ。どこで見る?」
「俺、いい場所知ってるんだ」
そう言って連れてったのは神社裏。ちらほら人がいる。
「ここ、結構穴場なんだ」
「確かに人少ないね」
そんな話をしていたら花火が打ち上がった。
「わ!すごい!」
目をキラキラさせた蓮華を見て、やっぱり好きだなと思った。
「ね、写真撮ろう!」
グイッと引っ張られて花火をバックに蓮華がインカメで写真を撮る。
「ほら、上手く撮れた!」
ニコニコ笑う蓮華に俺の心臓は破裂しそうだ。
「…それ、送ってもらっていい?」
「もちろん!」
キミとの初めての写真はずっと宝物。
花火が終わって周りに人がいなくなり、帰ろうとなった時。
すぐに帰りたくなくてウジウジしていた。
「大嶋くん?どうしたの?」
「…あ、ううん」
「?」
きょとんとした蓮華。そんな姿さえ可愛くて。
「…あの!!」
「?」
「初めて会った時から好きです!!付き合ってください!!」
初めてキミを見た日からずっと目が離せない。
これは恋だってどんなに鈍い俺でも自覚する。
それぐらい気持ちが溢れてくる。
蓮華を見ると目を見開いて顔を赤くしてた。
「…え?え?」
「驚かせてごめん。本当は告白するつもりはじゃなかったんだけど、中倉さんを知れば知るほど一緒にいたいって思って…」
一緒にいればいるほど、可愛いキミを知って、もっと知りたいと思う。
それだけじゃない。
たまたま告白されているのを見かけて嫌だと思った。
キミの隣を俺のものにしたかったんだ。
「返事はすぐじゃなくていいから!か、帰ろっか!」
歩き出そうとしたら腕を掴まれた。
「!」
「…嘘、じゃない?本当?」
少し俯き目に上目づかいで見られて更にドキドキする。
「嘘、じゃないよ。本気」
「…私のこと、好き?」
「好きだよ」
真剣だと伝わるように言うと蓮華が抱きついてきた。
顔に熱が集まる。
「?!」
「…私も」
顔を上げた彼女は嬉しそうに、少し涙を目に溜めながら笑った。
「私も大嶋くんが好きです」
初恋が実らないなんて嘘だ、この日に人生の幸運を使い切ったと思ったんだ。
思わず告白しちゃう智くん。
嬉しすぎて抱きついちゃう蓮華さん。
作者のくせにきゅんきゅん(//∇//){んぎゃーーー!!!]してます。
青春万歳。
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「と1/2」をたくさん考えてるけど出し時が迷子中です。




