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過去、私を嫌ったキミは今、私を溺愛する  作者: ひなた


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29、 嬉しさが溢れる日

土曜日の朝。

カーテンを開けて窓を開ける。

朝の涼しい風が入ってきて背伸びをする。

7月20日。

今日は誕生日だ。

そして夜は智とご飯。ご飯なんていつものこと。

なんならいつも急に来る。

それなのに、早く夜が来ないかなと思うぐらいには楽しみにしている。


「れーんか!誕生日おめでとー!!」

由里香との待ち合わせ場所で待っていたら後ろから抱きつかれた。

「由里香。ありがとう」

「えへへー」

ニコニコ笑う由里香は本当に可愛い。同い年なのか疑ってしまうぐらい。

「今日のランチは蓮華が気になってた和食屋さんです!その後はいつものテイクアウトコーヒーを公園で飲みます!」

「いつもの買い物と同じね」

由里香と休みの日に買い物をする時はどちらかの気になるお店に言ってランチしてコーヒーを大きい公園で飲む

か私の家で紅茶を飲むのが定番だ。

「私達らしくていいの!そうやって蓮華とのんびりするのが好きなんです!」

ギューっと抱きしめて、えへへーとまた笑う由里香。

この天然で嬉しいことを言ってくれるのは才能だと思う。

あの滝がベタ惚れなのもわかる気がする。

「さ!行こう!」

由里香に手を引っ張られて駆け出した。


夕方。

都内の大きなタワマンの前に来ていた。

「本当にこういうとこで住む人いるんだ」

思わす呟く。

智に言われた住所がタワマンということに驚きながらも、そりゃそうかと納得する。

インターフォンを鳴らすとオートロックが開いた。

エントランスを通ってまたオートロック。

「オートロック多い…」

思わず声に出してしまう。

もう一度インターフォンを鳴らして開いたドアを潜り、エレベーターに乗る。

指定された部屋のインターフォンを鳴らしたらドアがすぐに開いた。

「いらっしゃい」

智がフニャッと笑って迎えてくれた。

「…お邪魔します」

「どうぞ」

部屋に入ると思っていたよりもシンプルだった。

「物少ないんだ…」

「うん。趣味っていう趣味も無いし、家にいることが少ないから」

お茶を持ってきた智の言葉に胸がチクリとする。

「…忙しいもんね」

「ありがたいことにね」

苦笑する智に私も小さく笑う。

「あ、これ冷蔵庫にお願いできる?」

持ってきた小さい箱を智に渡す。

由里香との買い物で見つけたデザート。

思わず買ってしまった。

「うん、入れとくね。蓮華、お腹空いてる?料理、あと少しでできるんだけど…」

「お腹は空いてるから大丈夫」

お昼に由里香とランチをした後、由里香と滝の新居の買い出しに付き合ったので正直ヘロヘロだ。

割とボリュームがあったランチもすっかり消費された。

「良かった!ちょっと待っててね」

智がキッチンに入っていく。

私は案内されたソファーに座ってTVを眺めていた。


「…か、蓮華」

揺さぶられる感覚と名前を呼ばれて目を覚ます。

いつの間にか寝てしまっていたようだ。

「ん…ごめん」

「ううん。疲れてたんだね。ご飯できたけど、食べれる?」

「うん。ありがとう」

体を起こして目の前のローテーブルを見るとご馳走が並べられていた。

サラダ、煮込みハンバーグ、鯛のカルパッチョ。

「凄い…これ全部智が作ったの?」

「うん。今日14時までだったから」

ニコニコ笑う智に私は驚きを隠せない。

「料理できたんだ」

「ここまで凝ったのはやらないよ?レシピ見て作ってるし。それに蓮華の料理の方が美味しい」

顔が熱くなるのを感じた。

「というか、智、洋食よりも和食が好きじゃ…」

「今日は蓮華の誕生日だよ?蓮華の好きな物作るに決まってるじゃん」

苦笑した智に私は更に顔が熱くなる。

「さ、食べよう。最初はビールでいいかな?」

「あ、うん。ありがとう」

グラスにビールを注がれ、受け取る。

「じゃ、蓮華、誕生日おめでとう」

「ありがとう」

カチンッと小さくグラスを合わせる。

一口飲むとレモンの風味がする初めてな味。

「美味しい!レモン?」

「そう。番組の撮影先でクラフトビールで見つけたんだ。柑橘系好きでしょ?」

「うん。お料理もいただきます」

「どうぞ」

私の好きなトマト煮込みハンバーグ。

箸で割ると肉汁が出てくる。

一口食べると、どこか懐かしい味。

「美味しい」

「よかった。久しぶりに作ったから大丈夫だったかなって」

智も嬉しそうに食べる。

「なんか…懐かしい味」

「母さんに作り方聞いたんだ。蓮華、俺の弁当に入ってたハンバーグ好きだったから」


『智のハンバーグ美味しそう』

『ちょっと食べる?』

『食べる!…美味しい!!』

『じゃあ、ハンバーグ入ってたら半分蓮華にあげるね』

『そしたら智の好きなおかず半分あげる!』

『蓮華の作るおかず全部好きだから毎日半分もらっちゃうよ』

懐かしい、愛おしい記憶


「…わざわざ聞いて作ってくれたの?…ありがとう」

「全然!蓮華、毎回俺の好きなおかず作ってくれるから!これぐらい!」

智は嬉しそうにハンバーグを食べる。


こんなに嬉しくて、幸せで良いのだろうかと思ってしまう。

蓮華さんお誕生日話。

智ママに聞いてハンバーグを作る智くん、微笑ましいです。


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― 新着の感想 ―
[良い点] イイね100回くらい押したいです(*´ω`*)
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