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28、 今のキミは何が欲しい?

「うーん」

「智くんが唸ってます」

「きっとあれはお花ちゃんのことでしょう」

瑛太と善ちゃんにコソコソ話をされた。

「智くん、どうしたの?」

ハルくんが苦笑しながら聞いてきた。

俺は携帯から顔を上げる。

「誕生日プレゼント何がいいかなって…」

「誕生日?」

「俺の!?」

善ちゃんが嬉しそうに顔をのぞいてきた。

そんな善ちゃんの誕生日は8月。

「善ちゃんのプレゼントはもう決めてるよ」

「え、マジ!楽しみ〜♪」

ウキウキして目の前のお菓子を食べる様子にクスッと笑った。

「善くんじゃないなら…本当にお花さん?」

瑛太の言葉に頷く。

7月20日は蓮華の誕生日。あと2週間だ。

隣に座るハルくんはクスクス笑う。

「目星はついてるの?」

「全然…。あ、でもひまわりの花束は決めてて」

「ひまわり?あ、そういえばペンにひまわりのシールつけてたね。ひまわり好きなの?」

前に間違えて俺が持っていた蓮華のペンにはひまわりのシールが付いていた。

「なんかね、誕生花なんだって。だからずっとマークにひまわり付けるようになったって」

「へー。誕生花」

ハルくんが携帯で誕生花について調べ始めた。

「あ、本当だ。お花さん、こういうの好きなんだね」

「うん」

俺が嬉しそうにしていたからか、ハルくんはまたクスクス笑った。


【で、俺に連絡してきたってわけ?】

夜、電話の向こうで笑ってる連司。

「だって…最近の蓮華のことは俺よりも連司の方が知ってるじゃん」

【まー、毎日同じ職場にいるからな】

外にいるからかガヤガヤしている。

「今帰り?」

【残業してたからなー。今帰り】

「そうなんだ。お疲れ」

蓮華から聞いているけど、連司は上位の営業マンらしい。

だから残業もしていると言っていた。

「蓮華の欲しい物とかあるのかな…」

【どーだろ。俺よりもゆりの方が知ってるけど…聞いてみるか?】

「んー…」

蓮華の話にも出てくる由里香さんは一番蓮華の欲しいものを知ってるとは思う。

けど…。

【ゆりに聞くのは違うか?】

「…うん」

連司は俺のちょっとした反応で理解してくれる。

【そっかー。ちなみに当日に会う約束してんのか?】

「…してない」

【お前なー。誕生日ぐらいは事前確認しとけ】

「…はい」

確かに、と思って反省する。

【で、プレゼントなんだけどさ…】

連司の言葉に俺はあることを思い出した。


***

午後が休みの日。

俺はプレゼントを買いに出かけた。

夏日和だから汗が出てくる。

「えーっと…」

目的のお店を探していると、少し離れたところに看板を見つけた。

『で、プレゼントなんだけどさ』

『うん』

『キーケースとかどうだ?ちょうど使ってるの壊れたって言ってたわ、今日』

『キーケース…』

『ゆりのプレゼントは違うやつだから被らないし、俺たちいつメンからのプレゼントは菓子だから被らんぞ』

『…いいかも。ありがとう!連司』

連司からのアドバイスでキーケースにした。

その時思い浮かんだのがこの店。

中に入るとクーラーの涼しい風が触れる。

「いらっしゃいませ」

こじんまりした個人店。

店主が俺を見て笑う。

「大嶋さん、いらっしゃい。久しぶりですね」

「こんちわ」

年に数回通っているこの店は俺のお気に入り。

「今日はどうされました?」

「あの、プレゼントでキーケースが欲しくて」

「ああ、じゃあこの辺りですかね」

店主がキーケースのコーナーに案内してくれる。

「あとお願いがあって…」


店を出て歩いていると携帯が震えた。

【誕生日は昼間に予定あるから夜ご飯食べるぐらいならできるけど】

蓮華のメッセージに嬉しくなる。

昼間は由里香さんと出かけると連司が教えてくれた。

【じゃあ、ご飯しよう!俺がご飯作る!】

そう送ると何を作ろうかな、とルンルンになりながら帰路に付いた。


あの頃と違うキミは喜んでくれるかな?

蓮華さんのお誕生日前の智くん。

プレゼント選びって色々見てるのが楽しいですよね。

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