26、 1人じゃないと思える
午前の仕事を終えてハルくんと合流する。
「手土産何がいいかなー」
「連司の家に手土産とか持って行ったことないかも…」
「智くんはいいかもだけど、俺は初めてだからさ」
近くのスーパーで連司の好きなつまみを見つけた。
ハルくんに教えてあげるとそれを全種類買おうとしてた。
「ハルくん、連司引越しで処理してほしい言ってたでしょ?」
「あ、そうだった。じゃあ2つにする」
「うん」
ちょっとウキウキしているハルくんにフフッと笑う。
みんなのまとめ役のハルくん。
でも、たまに弟感を出してくるから可愛いなって思う。
善ちゃんや瑛太に話したらそれは俺限定らしい。
それが嬉しかったりする。
「お待たせー」
「ううん。じゃあ、行こっか」
今日は連司の家で飲み会だ。
連司の家に着いて入ると前よりも物が少なくなっていた。
「物減ったね」
「だいぶ捨てたからなー」
相変わらずおしゃれな部屋だけど物が減った。
「来月からだっけ?」
「そー。ゆりの家具使うし、俺は割りとすぐ終わりそう」
蓮華の話にも出てくる由里香さん。連司に写真を見せてもらったけど、ほんわか癒し系。
「連司くんの家、おしゃれだね」
「お前らの家の方がおしゃれだろ。ハルはイメージだけど」
「そんなこと無いよ。今度うちで飲む?」
「いいのか?」
ハルくんと連司の会話に俺は嬉しくなる。
メンバーと親友が仲良いのは嬉しい。
「いやー、助かるわー。飲みたい酒めっちゃあるからさ。智とハルは明日何時から?」
「俺たちは午後からだよ」
「お、じゃあ結構飲めるな。何なら泊まっててもいいぞ」
連司の言葉にハルくんが驚く。
「え!?」
「智は翌日午後の日は毎回だぞ?」
「連司が家出る時に合わせて出て家帰ってシャワー浴びてる」
「俺は構わんぞー。ハルの好きなようにしてくれ」
連司がグラスやお酒などを出してきた。
ハルくんは困ったように俺を見る。
「ハルくんの好きなようにしたらいいよ」
「…智くんが泊まるなら俺も泊まる」
ちょっと拗ねてるハルくんが可愛いと思うのはブラコンと同じことなんだろうと思う。
「じゃ、飲むか」
みんなで乾杯をして飲む。
連司が用意してるお酒は全部美味しい。
「で、相談って?」
ハルくんがちょっと緊張した感じがした。
「あの…まだ公表されてないんだけど、ドーム公演が決まったんだよね」
「…ドーム!?すげーじゃん!おめでとう!!」
連司が俺達にグラスを当ててくれる。
「ありがとう」
「で、智が中倉と会うのが難しくなるって話か?」
「なんでわかったの?」
ハルくんが驚いていると連司は笑った。
「わかるよ。何年親友してると思ってんだ」
ニヤッと笑う連司に何も隠せないなーと思う。
「…智くんからしたら大きなお世話かもだけど、俺はデビューの時みたいになって欲しくないんだよね」
ハルくんの言葉に俺は落ち込んでいた自分を思い出す。
「あの時はめっちゃ落ち込んでたもんなー」
連司がため息をつく。
あの頃は連司にめっちゃ心配をかけた。
「ドームの発表をしたら蓮華さんとも会えなくなると思うんだよね」
「ま、今までも押しかけてたが正解だろ」
「…あはは」
俺が笑うとハルくんがため息をついた。
「何してんの…」
「だって…その日にならないとわからないから…でも会いたいし」
「ハル大丈夫。中倉に連絡する前に俺に確認くるから」
連司がクスクス笑う。
「連司くんにどんだけお世話になってんのさ」
「いーんだよ。高校からこういう感じだから」
「お世話になってます」
俺が頭を下げると連司はおう、と返事をした。
「で、話がずれちまったな。中倉と会えなくなるから智が落ち込むんじゃねーかって?」
「あ、うん。連絡取れるようになったから前よりは大丈夫だと思うけど」
「まーなー、でも会いたいって思ったら行動しちまうし、それ撮られたらって感じだろ」
「連司って芸能界の人だっけ?」
あまりにも俺達の考えを理解している連司に驚く。
「そりゃー、何かしらのスキャンダルが報道されてるのを見てると嫌でもわかるさ」
「話が早くてありがたいよ」
ハルくんが苦笑する。
そこからどうするか話を始めた2人を見て俺は嬉しくなった。
今回はキミをあきらめなくていいと、みんなが言ってくれてる。
大事にされている智。
ハルは智の前では弟感が強くなるのです。




