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過去、私を嫌ったキミは今、私を溺愛する  作者: ひなた


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25/119

23、 俺の世界はやっぱりキミなんだ

珍しく蓮華から連絡が来たと思ったら、昔の恥ずかしい思い出の確認だった。

「啓太くんに話したことあったっけ」

お姉ちゃんが大好き!と見てわかる男の子だった蓮華の弟。

きっと今はイケメンなんだろうな。

「大嶋さーん、出番でーす」

「はーい」

スタッフさんに呼ばれて携帯をしまう。

ドラマの撮影は何回しても慣れない。

自分1人の仕事だし、初対面の人がほとんど。

常に緊張だ。

「大嶋さん、なんか嬉しそうですね」

今回の相手役の女優さんに言われてしまった。

「そうですか?」

「うん、嬉しいことあったの?」

「あー…昔話をちょっとしてました」

この女優さんとは2回目だからまだ話やすい。

「へー。大嶋さん、学生の時もモテてるでしょ?」

「いや、全然。親友の方がモテてました」

「え、意外」

そう言われて学生時代を思い出す。

連司とバカみたいなことで笑い合って、蓮華を好きになって告白して、OKをもらってデートして。

「…ま、俺が周りの女子に興味なかっただけですけど」

「へー、一途なんですね」

ふふっと笑われた。

同じ芸能人だから言いたいことはわかってくれたらしい。

「そうですよ?俺、結構一途ですから」

「そっかー」

2人でクスクス笑う。

監督から撮影開始する声がかかったから俺は役にスイッチを入れた。


蓮華からの連絡から2週間が経った。

あれから何となくだけど連絡は続いている。

それが今は癒しだ。

「さーとしくーーん!!出番だよー!!」

善ちゃんに呼ばれた。今は次のシングルのMV撮影中。

メンバーと一緒だし、見慣れたスタッフだから気がラクだ。

「ほーい」

『無理しないでね。昔から無理しがち』

同時に蓮華から通知が来た。

思わず口元が緩む。

「あー、もしかしてお花ちゃん?」

頷くと善ちゃんがニカッと笑う。

「智くん、お花ちゃんの時だけちょっと違うよね!すぐわかる!」

「そうなの?」

「そうだね。空気感とかすぐに変わるから」

ハルくんが苦笑しながら頷いた。

「そうなんだ」

「ほら、瑛太が待ってるから早く行きな」

ハルくんに言われて急いでスタジオに向かった。

今回のシングルはラブソング。

次の善ちゃんのドラマの主題歌だ。

「遅いんですけどー」

「ごめんごめん」

瑛太との撮影の後はピンでの撮影。

[キミの笑顔で僕は知らなかったあたたかさを知ったんだ]

[一緒にいたいと思ったのも初めてなんだよ]

今回の歌詞が全部高校の時の俺に当てはまる。 

だから自然と蓮華の顔を思い浮かべる。


『智!』

今もどれだけキミに心奪われているか知らないだろう?


「カット!OKでーす」

カットの声にハッとする。

瑛太がペシッと頭を叩いてきた。

「ちょっと意識飛んでたでしょ」

「あー…ちょっと昔を思い出してた」

「仕事の時はしっかりしてよ」

きっと瑛太は蓮華のことを思い描いてたことを察してる。

「大嶋さん、すごくいい顔してましたよ」

カメラマンに言われてあはは、と笑う。

その後も1発OKが続いて今日は早く帰れそうだと思った。


案の定、早めに帰れた。

まだ22時だ。いつもは日付超えるちょっと前なのに。

明日もドラマ撮影もあるけど、蓮華の声がどうしても聴きたくなった。

『蓮華って土日祝の休みだっけ?』

『そう。だから土曜日は割と日付超えるまで起きて映画とか見てる』

「…土曜の夜だし、いいかな?」

前に話したことを思い出して電話をかける。

なんだかんだ再会してから電話は初めてだ。

何回かコール音がしてから繋がった。

【…智?】

ちょっと眠そうな声。クスッと笑ってしまった。

「うん。ごめん、寝てた?」

【ううん。寝ようかなって思ってただけ。どうしたの?】

遠くにTVの音。それは俺が今出てるドラマの台詞が聞こえた。

ちょうどドラマの放映時間だと気づく。

「蓮華の声がどうしても聞きたくなって」

【……そう】

「勘違いだったらごめんなんだけど、もしかしてドラマ見てくれてる?」

そう聞くと蓮華はちょっと黙った。

【…見てる。元々好きな作家さんが原作だし】

俺が今出ているドラマは蓮華が好きな作家さんのミステリー。

それもあって出ているのは秘密。

「そっか。ありがとう。俺、ちゃんと蓮華のイメージ通りの主人公できてる?」

【聞かなくてもわかるくせに】

それは肯定の言葉。

だって、蓮華がこのシリーズが大好きで新作が出るたびに語ってた。

だから俺も蓮華がイメージする主人公像ができていた。

「よかった」

【あと…智が主役だったから見てる】

「え?」

驚いて聞き返す。

「…俺だから見てくれてる?」

少し間があって蓮華は小さく「うん」と返事してくれた。

キミの言葉がどれだけ俺の中で大きいか知ってる?


何をしてもやっぱりキミが俺の中心なんだ。

どんなに忙しくても蓮華が見てくれていると思うと頑張れる智くん。

一途って応援したくなります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最後のくだりでキュン死するところでしたw
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