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21、 頼っているのは俺たちの方

「初めまして。間宮晴人です」

「初めまして、滝連司です」

智くんが俺の隣でニコニコしてる。

『ハルくん、今度連司と飲まない?』

『連司くんって…智くんの親友の?』

『うん!』

フニャッと笑った智くん。俺は小さく笑って頷いた。

それから1ヶ月後の今日、連司くんと3人で飲むことになった。

目の前の連司くんは想像していた通りの好青年。

身なりも整えているし、体もちゃんと鍛えてる。

智くんができる営業マンって言っていた意味がわかった。

「今日はありがとうございます」

俺がそう言うと連司くんは手を横に振った。

「いえいえ!むしろこちらこそお時間いただいて!こんな光栄なことは無いです!」

ニコッと笑ってる彼を見て、ちゃんとしてるなーと思う。

「なんか、連司もハルくんも面白いね」

ニコニコしてる智くんが言うと連司くんはため息をついた。

「そんなん思うのお前だけだよ。てか今日間宮さんいるなんて聞いてないけど!」

「えー?だって前3人で飲もうよって言ったじゃん」

「言ってたけど!!事前予告してくれ!!」

連司くんが前のめりに智くんに言う。

俺は苦笑する。

「もしかして迷惑でした?」

そう聞くと両手と顔を横にブンブンと振っていた。

「全然!!むしろありがたいです!ただ、心の準備欲しかっただけで」

連司くんも苦笑する。

「あー、確かに。それは智くんが悪い」

「えー?ハルくんまでそう言うのー?」

智くんが少しムッとした顔をした。

お、珍しい。

「俺は事前に連司くんって聞いてたからいいけど、聞いてないで俺がいるのは驚くでしょ」

「…サプライズ」

「サプライズすぎるだろ。俺間違えたと思ったわ」

ここはいつも2人が飲むお店らしい。

だから間違えていることは無いけど、そう思うほどだったんだろう。

「智くんからは高校の時から話は聞いてました。お会いできて嬉しいです」

「そんな!俺なんて大したことないんで、そんな畏まらないでください!」

「じゃあ、お互い敬語やめません?俺の方が年下ですし、勝手に連司くんって呼んでるし」

俺がそう言うと連司くんは驚いていた。

「え、でも…」

「俺も智くんと同じように芸能人とか関係無く仲良くなりたいんです」

連司くんは少し悩んで頷いてくれた。

「じゃあ…智と同じ感じで話すわ」

「ありがとう。勝手に連司くんって呼んでたけどいい?」

「それは全然。むしろ呼び捨てでいいし」

「じゃあ俺のことも呼び捨てで」

そう言うと少しウッとした顔。

俺は苦笑した。

「ハル…でいいか?」

「もちろん!!」

友人が増えたことに純粋に嬉しい。

チラッと隣を見ると智くんがフニャフニャと笑ってた。


お互いの話をしてほどほどにお酒も進んだ頃。

「智、お前寝るなよ」

「んー…?」

「大丈夫?智くん?」

俺が肩に手を置くと俺に寄りかかってきた。

それと同時に寝息。

「あー、寝たか」

「そうだね。最近ドラマ始まったから朝早いし、夜遅かったんだろうね」

「それ、俺が知って大丈夫な情報?」

連司くんが意地悪に笑う。

「大丈夫。昨日解禁だったし」

「あー、確かに見たかも」

飲みながら連司くんが言う。

「…連司くんは高校の時からの親友なんだよね」

「そうだけど?」

「智くんって友達といる時ってどんな感じ?」

俺がそう聞くと連司くんはんーと考える。

「人によるかなー。俺といる時はこんな感じでフニャフニャしてるけど、そんなに仲良くないやつとは程々な距離感」

「そっか。連司くんには常にフニャフニャか」

連司くんは俺の言いたいことがわかったようで手を止めた。

「ハル?」

「あ…ごめん」

グラスを揺らすとカランッと氷が音を立てた。

「智くんってさ、今では俺たちにもフニャフニャしてるけど、数年前までは全然無くて」

「…」

「出会ったの自体は連司くん達よりちょっと早いだけだったけど…なんか悔しいって思ってさ」

俺たちが出会ったのは智くんが中3の時。蓮華さんや連司くんが出会ったのは高校から。

出会ったタイミングなんて関係ないとは思うけど…。

「俺たち、頼りなかったのかな…」

「そんなこと全然ないぞ」

連司くんがグビっとハイボールを飲む。

俺はポカーンとする。

「へ?」

「頼りなかったんじゃなくって、守りたいからそうしてたって言ってたぞ

『俺が一番上じゃん?だからフニャッてしてたら頼りなくなるから』って」

驚きが目を見開く。

いつもそんな事は言わないから知らなかった。

「ハルがまとめてくれるからありがたいってことも言ってたし、メンバーが支えだってずっと言ってるぞ?」

連司くんがフッと笑う。

それがたまに見せる智くんの笑いと似ていて、一歳差なのにすごく大人に見える。

「ま、思春期だったからな。フニャフニャしてなかったのはちょっとでも頼れるお兄ちゃんになりたかったんだろ」

「…そんなことしなくても俺たちは智くんに支えられてるのに」

「そりゃ良かった」

優しい笑顔で笑う連司くんにちょっと心がくすぐったくなった。


俺たちが頑張れるのはあなたという心の拠り所があるのを気づいてる?

連司とハルの初対面

支えと支えが友達になった智くんはきっと無敵


そして実はハルちゃんも智くんに甘えて欲しかったのです

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