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過去、私を嫌ったキミは今、私を溺愛する  作者: ひなた


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17/118

16と1/2、 春の予感がするかもしれない

【只今、絶賛凍えております】

お兄に嫌味の如く連絡してやった。

大嶋桜、20歳。今は兄でアイドルの大嶋智からのお使いで人気洋菓子店の長蛇の列に並んでます。

「さっぶいいー」

「ほら、ホッカイロ」

彼氏がホッカイロを渡してくれる。

ありがたく受け取るとじんわりと温かが染み渡る。

「でも珍しいな。桜が並ぶって」

「お兄に頼まれて」

「さと兄に?洋菓子食べないのに?」

彼氏は私達の幼馴染だからお兄があの大嶋智ってことを知ってる。

「ねー。なんか急にお願いって連絡が来たんだよね」

「まー、さと兄はこれないよな」

「うん。まあ、いいんだけどさ…」

私がシュンッとすると彼は不思議そうな顔をした。

「だけど?」

「…誰にあげるんだろって」

お兄は過去に一人だけ付き合っていた人がいた。

その人は私も大好きでよく一緒に遊んでもらっていた。

『桜ちゃん、これいる?』

『!可愛い!欲しい!』

その人の手にあるのは中学生にしては大人びた髪飾り。

『付けてあげる』

付けてもらったけど、その人みたいにしっくりはこなくて。

『蓮華ちゃんと違う…』

『デザイン的に大人だったかな?そしたら桜ちゃんが似合う年になったらこれ付けてみよっか』

『うん!』

その時は当たり前のようにその人も一緒にいてくれると思っていた。

「…蓮華ちゃん、元気かな」

「連絡取ってないのか?」

「お兄達が付き合ってた時は私が携帯持ってなかったからね」

彼は納得して頷いた。

そんな話をしていると携帯が震えた。

【ごめん。桜の分と家の分も買っていいからね。家帰ったらすぐに風呂入ってあったまって】

お兄のメッセージにクスッと笑う。

結局この優しい兄に怒る事なんてできないんだ。

「どうした?」

「これ」

画面を見せると彼もクスッと笑った。

そんなことをしていたら私達の番になっていた。


中に入ると温かさと甘い香り。

ショーケースにはケーキ。でも今回頼まれたのは焼き菓子。

「お決まりですか?」

「あ、マドレーヌ3個入りとマカロンを…」

マカロンを見たら味がいくつかあった。

おっとこれはどうしよう。

そう思ってたら頭に浮かんだのはラズベリーのマカロンを美味しそうに食べていたあの人。

「マカロンのラズベリーを3つ。マカロンとマドレーヌは一緒にしてもらえますか?」

「大丈夫ですよ。他には?」

「あと別でショートケーキと…」

自分達の分も買ってお店を後にした。


翌日。お兄の家に行った。

「相変わらず広いなー」

「俺はもっと狭くていいんだけどね。セキュリティーを考えたらしょうがないんだよね」

お兄がお茶を淹れてくれた。

ありがたく受け取る。

「あったかー」

「ごめんね、寒い中頼んじゃって」

お兄は困ったような顔で謝ってきた。

「しょうがないよ。大人気アイドルが並んでたら大騒ぎだって。それに私達の分も奢ってくれたし」

「はは…」

アイドルと言われるのが苦手なお兄。

ダンスが上手かったからスカウトされたけど、アイドルになりたいってよりは趣味を楽しんでただけだから余計なんだろうけど。

「あ、これ。マカロンだから涼しいところに置いておいてね」

「ありがとう。明日持ってくし、玄関に置いとく」

そう言ってお兄は玄関に置きに行った。

そもそもだけど…。

「誰にあげるのー?お兄、食べないじゃん」

戻ってきたお兄に聞く。

お兄はフニャッと笑った。

久しぶりに見た、本当に嬉しい時の顔。

「蓮華だよ」

その名前にフリーズする。

蓮華…ってあの蓮華ちゃん?!

「え!!蓮華ちゃんとヨリ戻したの?」

思わず大声。それなら嬉しい!!

でもお兄は首を横に振った。

「ううん。でもまた付き合えるように頑張ってる」

蓮華ちゃんと別れてからどこか元気がなかったお兄。

でももしかしたらまた二人が並んで笑ってるのを見れるのかもしれない。

そのことが嬉しくて仕方ない。

「頑張って!私応援してる!」

そう言うとお兄はありがとう、と笑った。


ずっと冬だったお兄にまた春が来るんだと、なぜか確信を持ったんだ。

桜ちゃんのお使いの様子。

蓮華が大好きで憧れな女の子。


本編にちょっとは関わるけど、ちょっとした小話を「と1/2」で挟んでいこうかなと思います。

1/2は作者の気分で出現します。

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