126、 覚悟のきっかけは
本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
本編の更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
「と1/2」シリーズは不定期です。
蓮華が眠っているベッドに入る。
そっと髪を撫でると蓮華が擦り寄ってきてくれた。
「んん…」
「ふふっ」
ギュッと抱きしめると蓮華はふにゃっと笑って寝息を立てる。
月曜なのに珍しく酔っ払って帰ってきた。
きっと嬉しいことがあったんだろうな。
携帯のアラームを6時にセットして蓮華を抱きしめて眠る。
アラーム音に意識が戻る。
携帯を止めて腕の中を見るとまだ気持ちよく寝ている蓮華。
このまま寝かせてあげたいけど今日は火曜日。
「蓮華、起きて。6時だよ」
「んー…」
「シャワー浴びるんでしょ?」
「んんー」
意外と蓮華は朝が弱い。
「ほら、今日火曜だよ?」
「起きるぅ」
蓮華が起き上がってフラフラと風呂場に向かう。
寝ぼけてる蓮華は昔から可愛い。
いつもは用意してくれてる朝飯と弁当を俺が用意しようとキッチンに向かった。
朝飯と蓮華の弁当ができたタイミングで蓮華が出てきた。
「はー…さっぱりした」
「よかった。ご飯できてるよ」
「え!?ありがとう!!というか、昨日もごめんね」
蓮華がシュンッとして謝ってくる。
「何が?」
「酔っ払って帰ってきちゃって」
「大丈夫だよ」
そう言うと蓮華は苦笑した。
朝ご飯は豆腐の味噌汁と卵焼きとご飯。
二日酔い気味の蓮華の定番メニュー。
二人で朝ご飯を食べてると蓮華は思い出したように言う。
「あ、今日滝とご飯でしょ?」
「うん、19時予定」
「楽しんできてね」
蓮華が楽しそうに言う。
きっと蓮華が昨日聞いた話を聞くことになるんだろう。
わかりやすい恋人が愛おしいなぁと思いながら味噌汁に口をつけた。
今日は雑誌の撮影とインタビューが続く。
全部が終わって連司に連絡するとちょうど終わったらしい。
【いつもの店でいいか?】
【オッケー。電話しとく】
いつものお店に電話して個室を予約。
タカくんにお店まで送ってもらって中に入ると連司がスーツのジャケットを脱いでた。
「お疲れさん」
「お疲れ。連司も今着いたんだ」
「おー。あの後ちょっと捕まってな」
他愛のない会話をしつつビールと何品か注文する。
ビールが届いて乾杯をする。
ビールの冷たさが喉を通るのがわかる。
「はー、うま」
「ん」
同時に届いた枝豆を摘む。
「昨日、蓮華すっごい楽しかったみたいでベロベロだった」
「あ、ちゃんと帰れたか。俺ら心配してたんだよな」
「タクシーで帰ってきたから。でもメイク落としてすぐ寝てた」
「ちょっと二日酔いっぽかったもんなー」
「朝ご飯食べたから回復は早かった方だと思うよ」
そんな話をしてると連司はグラスを置いた。
「あのな、智に報告があって」
「うん」
真剣な顔の連司を見て予想通りかな、と嬉しくなる。
「俺、由里香にプロポーズして結婚することになった」
「うん、おめでとう!」
俺がグラスと差し出すと連司はまたグラスを持ってカチンッと合わせる。
「ありがとう」
「嬉しいなー、連司が結婚かー」
「なんだよ、思ってたのと反応が違うんだけど」
嬉しい報告なのに俺が思ったより落ち着いてるのにムッとしてるみたいだ。
俺は苦笑しながら答える。
「月曜日なのに同期飲みで嬉しそうにベロベロになってた蓮華見てたら予想つくよ」
「…順番間違えたな」
頭をガシガシとする連司に俺はクスッと笑う。
「反応薄くても嬉しいことには間違いないよ。親友がさらに幸せになるんだから」
「…サンキュ」
「結婚おめでとう」
カチンッとまたグラスを合わせると連司はちょっと泣きそうになってた。
「同棲してどれぐらいだっけ?」
「約4年かな」
もう4年も経ってたのかと驚く。
「でもどうして今だったの?」
そう聞くと連司は真面目な顔をした。
「由里香はさ、優しいから俺のタイミングをずっと待っててくれてたんだ。
付き合う前に子供欲しいから早く結婚したいと思ってるって聞いてたけど…俺が自信が無かったんだ」
「自信?」
芯があって周りを引っ張っていくタイプの連司。
そんな連司が自信がないと聞くのは初めてかもしれない。
「…結婚ってさ、俺だけじゃなくて由里香の人生も両家のことも関わる。それを背負える自信がなかったんだ」
「…」
「どんだけ仕事で頼ってもらってるって感じてても、そこには自信がいつまでもつかなくてさ」
連司の呆れた顔に俺は何も言えない。
「そこは同棲してからずっとモヤモヤしてて」
「うん」
「でも…そんな時に智と中倉が付き合うって報告を聞いてさ」
「うん」
「それ聞いて俺って小さい男だなって思ったんだ」
「え?」
驚いた声を上げると連司は苦笑した。
「だってお前らは自分たちだけじゃない、世間のことも気にしなきゃいけない。
それでもお互いが必要で一緒にいることを選んだんだろ?」
「…うん」
「背負うものの大きさを比べる必要はないけど、近くで覚悟を決めて一緒にいることを選んだお前らを見てたら俺は小さいなって思って」
連司の言葉に首を横に振る。
「比べるものじゃないよ」
「そりゃわかってるよ。でも近くで覚悟を決めた親友と戦友がいたら俺も覚悟決めようって思うんだよ」
連司はビールを飲んで言う。
「俺はさ、お前たちに”覚悟”を教えてもらったんだ。だから俺も覚悟して由里香の人生を幸せにするって腹括れたんだ」
まさかの言葉に驚く。
「そうなの?」
「そうなんだよ」
連司はまた苦笑する。
「お前、自覚ないんだろうけど俺よりもずっと前を進んでるんだよ」
「…え?」
「智は俺よりもずっと前に腹括ってるし、中倉もそれに応えてる。それを見たから俺も由里香とずっと一緒にいて守るって腹括れたんだ」
「…」
「智は気づいてないだろうけど俺、ずっとお前を尊敬してるんだぞ?」
そう言う連司は呆れてるけど優しい顔。
「…そっか」
俺はそれしか返せなかった。
親友の覚悟は俺たちだったことに泣きそうなる。
連司さんの気持ちを初めて知る智さん。
実は智さんを尊敬していた連司さん。
連司さんは智さんと蓮華さんを応援しつつ、自分ごととして考えていたのです。
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