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過去、私を嫌ったキミは今、私を溺愛する  作者: ひなた


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116、 聞いてほしい

読んでいただきありがとうございます!

本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。


本編の更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。

「と1/2」シリーズは不定期です。

GWになって実家に帰った。

「ただいまー」

「おかえりなさい」

「おかえり」

リビングに入ると母さんと父さんがコーヒーを飲んでまったりしていた。

「ちょうどお茶タイム?ケーキ買って来たんだ」

「あら、ありがとう」

荷物を置いて手を洗う。

ケーキ、お皿、フォークをテーブルに持っていく。

「ここのフルーツタルト、美味しいんだよ」

「美味しそう!ね、お父さん」

「ああ」

頷きながら受け取る父さん。

父さんは寡黙な人だ。

だけど、私たち家族を大事にしてくれているのは行動でわかる。

優しい父親だ。

だからこそ驚いた。

『キミが蓮華を傷つけたことは一生許すことはないだろう』

今もあんなに怒っていたなんて。

「ん!美味しい!」

「うん、美味いな」

母さんと父さんの声にハッとする。

「よかった」

私も一口食べる。

カスタードの甘さとフルーツの甘さがいいバランスだ。

「美味しい」

他愛もない会話をしながらタルトを食べる。

「今回は何日いるの?」

「んー、3日間かな」

「あら、智くんはお仕事?」

母さんが智の名前を出すと父さんがピリッとした。

「うん、仕事で家にいないからその間に」

「そっかー、大変ね」

「ごちそうさま」

父さんがカップとお皿を台所に持って行って洗う。

「…」

「ちょっと無理やり話出しちゃったわね。ごめんね」

母さんが小さい声で謝って来たので苦笑しながら頷いた。


夕飯の後、父さんが晩酌をしている向かい側に座る。

「どうした?」

「一緒に飲もうかなって」

持ってきた缶チューハイをグラスに移す。

「乾杯」

グラスを差し出すと父さんもビールが入ったグラスをカチンと合わせてくれた。

「最近仕事はどうだ?」

「忙しいかな。大型案件の担当事務させてもらったりしてる」

「お、いいじゃないか」

小さくビールを飲む表情は嬉しそう。

「蓮華もちゃんと社会人してるんだな」

「もう社会人になって何年経ったと思ってるの」

「父さんからしたらお前たちはいつでも子供だよ」

フッと小さく笑う父さんを見て、本当に私と啓太(私たち)を大事にしてくれると感じる。

「じゃあ、お風呂に入ってくるわね」

母さんがそう言ってお風呂場に向かった。

啓太も今日はバイトの後に彼女とご飯でまだ帰らない。

「…彼とは仲良くやっているのか?」

智のことをどう切り出そうかと思ってたら父さんから聞かれて驚く。

父さんから聞かれるとは思わなかった。

「あ、うん。変わらず仲良くしてるよ」

「そうか」

「ちょっと前に熱出しちゃったんだけど、家まで来て看病してくれたの。その日、久しぶりのお休みだったのに」

「…そうか」

コトンッとグラスが置かれる音が響く。

「…父さん」

「なんだ?」

「私が…智と一緒にいたいと思ってる理由、聞いて欲しいの」


智は父さんに認められるように頑張っている

私にできることを考えた時、父さんに私の気持ちを伝えるのが最初だと思った

だから聞いてほしい


「…」

「話しても、いい?」

父さんはビールをグラスに注いで一口飲んだ。

「…ああ」

「ありがとう」

私も一口、グラスに口をつけて落ち着かせる。

「私ね、父さんたちが言ってたようにずっと落ち込んでた」

思い出すのは智と別れた時の自分。

ずっと塞ぎ込んで、周りからもヒソヒソされて。

「別れた後に智がデビューして、だからフラれたんだって思ったら更に落ち込んだ」

「…」

グラスを持つ父さんの手に力がこもるのがわかった。

「高校、大学、社会人…時間が過ぎても新しく誰かと付き合う気になれなくて

だからこのまま一人で生きていくんだって思ってたんだ」

どこかぼんやりとした日々を送っていた。

でもそんな日々でも時々クリアになる。

「智をテレビとかポスターで見かけると…苦しい気持ちとホッとする気持ち両方あってね」

カッコいい姿もメンバーさんと楽しそうにしている姿。

「きっと仕事を理由にフラれたのにって気持ちと仕事で頑張ってる姿を見て嬉しいとも思ってた」

「…そうか」

「それとね、やっぱり私は智がずっと忘られなくて…好きなんだなって感じてたんだ」

気にしないようにしてても目に入ってしまう、それは偶然なんかじゃないってわかってる。

「だから、会いに来てくれたがすごく嬉しかったし、ずっと一緒にいたいって…付き合いたいって言ってくれて嬉しかった」

「…」

「それに、私も智以外を好きになることないと思うんだ」


再会して、時間を過ごして感じたのは”やっぱりこの人がいい”だった


「…」

「父さんは智に私を守れるかって聞いたよね?」

「…ああ」

「でもそれって私にも言えることだなって思ってて」

そう言うと父さんは驚いたような顔をした。

「私も智自身のことも、お仕事も全部を守れるようにしなきゃって思ってる」

「でも蓮華は一般人だ。守ると言ってもどうするんだ?」

「できることは限られてるよ?智の家に行く時に気をつけたり、周りに気づかれないようにしたり」

智と違ってできることは本当にわずか。

「だからこそ、メンバーさんや私たちのことを知ってる友達に手伝ってもらって協力してもらってる」

みんなの顔を思い浮かべる。

本当に感謝しかない。

「迷惑をかけてることはわかってる。だから、いつかちゃんとみんなにも感謝を返したい」

「…周りを巻き込んでまで一緒にいたいのか?」

厳しい顔の父さん。

私は小さく頷く。

「本当に申し訳ないと思ってる…けど、それでも一緒にいたいの」

「…」

「もう手を離さないの」

そう言うと父さんは小さく、そうか、と呟いた。


父さん、私は守られるだけじゃ嫌なんだよ

蓮華さんの心のうちを蓮華パパに打ち明けました。

父親として幸せになってほしい、だから守れるのかを問いかける気持ちと

一緒にいたいから自分も守るために動くと決めてる蓮華さん。

きっと蓮華パパは娘の成長を感じたでしょう。


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