114、 守るって決めてるから
読んでいただきありがとうございます!
本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
本編の更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
「と1/2」シリーズは不定期です。
「今後の人生、ずっと一緒にいたいから一緒に乗り越えたいの」
蓮華が泣きそうな、でも強い目をして伝えてくれた言葉。
俺も泣きそうになる。
「…俺の情けない部分も受け止めてくれる?」
「もちろん」
蓮華が手を取って頷いてくれた。
「おじさんに言われたことが全部当たっててさ」
「全部?」
「うん、全部」
許されるとは思ってはいない、でも守れる力はついたと思って挨拶に行った。
でも、それは自意識過剰だった。
「実際に守れてるのか?って聞かれて…答えられなかった」
そう言われて何も言えなかった。
俺だけじゃない、連司や由里香さん、裕也の力を借りてるし、実際に蓮華が週刊誌の記者に声をかけられたこともある。
「蓮華を守るって言いながら結局周りに力を借りてる」
「でも、それは智との信頼関係があるから…」
瑛太と同じことを言ってくれる。
「うん、それはありがたいなって思う」
「じゃあ!!」
「でも、それだけじゃダメなんだ」
俺がそう言うと蓮華が息を飲むのがわかった。
「俺だけで守れる、そうならないと」
「でも…」
蓮華が納得いかないと言う顔をした。
「俺ね、ご挨拶した日の夜に考えたんだ。俺がおじさんの立場だったらって」
「父さんの立場?」
「うん」
俺は俯いた。
「自分の娘が…彼氏から急に別れるって言われる。それは、思春期の…高校生にはあり得る普通な事なのかもしれない」
「…うん」
「でも、その後にその別れを言い出した側が芸能界デビューしたら?」
自分の娘が蓮華の立場だったら。
そう考えたら怒りが湧いてくる。
「蓮華ならどう思う?」
「…デビューするから彼女が邪魔に感じるのかなって」
蓮華の素直な意見を聞けてホッとする。
「うん、俺も同じこと思った。俺たちがそう思うってことは絶対に蓮華のおじさんとおばさんは思ったんだよ」
「…」
「そう思ったら…俺って最悪な奴なんだよ」
自分でも思うんだから親なら殺意が沸くぐらいだ。
「俺は浅はかな考えだなって思ったんだ」
「でも!智は智で動いてくれたよ!!」
蓮華はガタッと椅子から立ち上がる。
「私のことを考えたからメンバーさんと由里香や雨宮とも会ってくれたんでしょ?」
「うん、それはもちろん。今後、絶対に会う人たちだと思ったし、何かあったら協力して欲しいってお願いしたいから」
「だったら」
俺は首を横に振る。
「それでも、俺といることで普通の会社員と付き合うのと違う、危ない目に遭う可能性が高いんだ」
「…そ、れは」
「だから…俺といることが危険だって思ってるんだと思う」
俺といることであらぬ噂がされたり、個人情報が流出したりする。
普通なら、世間に注目されない一般人なのに。
「大事な娘がそんな風にされるのは嫌でしょ」
「…それでも、私は智といたい」
蓮華がポロポロ涙を流す。
俺は蓮華の隣に移動して涙を拭う。
「ありがとう。俺ももう蓮華を離すことはできないし、離さないよ」
「…うん」
ギュッと抱きつかれて抱きしめ返す。
「離さないで…智の隣に居させてほしい」
蓮華の素直な言葉に嬉しさと切なさが込み上げて泣きそうになる。
ああ、俺は何て幸せなんだろう
愛してやまない人に隣にいたいと思ってもらえるなんて
「うん、蓮華が嫌だって言ったって離さないよ」
背中をさすって蓮華を落ち着かせる。
しばらくして落ち着いた蓮華は俺から体を離した。
「ねぇ、蓮華」
「なぁに?」
「ずっと一緒にいたいから絶対蓮華を守るよ」
「…うん」
「でも、俺だけじゃ乗り越えられないこともあると思う。だから、一緒に乗り越えてくれる?」
俺は絶対に蓮華を守る
でも蓮華は守られるだけじゃなくて一緒に乗り越えたいって思ってるんだろうな
これは俺だけの問題もある
けど、俺も二人で一緒に乗り越えたい
これは俺のわがまま
「うん、当たり前だよ」
「…ありがとう」
「私の人生は智が背負うつもりなんだろうけど、私は智の人生背負うんだから」
思わぬ言葉に驚く。
「…プロポーズ?」
「…意思表示だもん」
ギュッと抱きついてきた蓮華。
「…いつか、言ってくれるでしょ?」
「もちろん。絶対に言うから」
抱きしめると蓮華はふふっと笑った。
俺は絶対にこの幸せを守るんだ
智くんの葛藤。
蓮華さんを守りたい、でも蓮華さんは二人で守りたいと思ってるのもわかってる。
二人の気持ちを皆様に伝えられたら嬉しいなぁ。
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