97、 心配するのは当たり前
読んでいただきありがとうございます!
本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
本編の更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
「と1/2」シリーズは不定期です。
【ごめん、今週は家来ないで欲しい】
金曜、ひと段落ついたのでコーヒーを飲みながら携帯をコソッとチェックすると
智からそんなメッセージが来ていた。
「…?」
来ないで欲しいって何でだ?
昨日、智と電話した時のことを思い出す。
ずっと咳をしていた気がする。
【もしかして風邪引いた?】
そう送るとすぐに既読がついた。
お家で休んでるのかな?
【そう…蓮華にうつしたくないから】
やっぱり、と思いながら返信をする。
【大丈夫?ゆっくり休んでね。でも絶対行くからね】
携帯をカバンに戻して背伸びをする。
今日は絶対に定時退勤だ。
必要そうな物を買って智の家に入ると靴とバックが置いてある。
「ただいま…」
そのまま静かに入るとリビングには服が脱ぎ散らかしてある。
荷物を置いて寝室に入ると智が寝ていた。
ゼイゼイ言ってるから熱が高そうだ。
「…疲れが出ちゃったのかな」
年末年始、ツアー、映画と仕事が立て続けてあったから疲れが出たのだろう。
買ってきたスポドリをベットの隣のサイドテーブルに置いて寝室を出る。
散らかった服を集めて洗濯かごに入れる。
「…私と毎週末会ってたのも疲れの原因なのかなぁ」
『蓮華と会えない方が無理!!』
毎週末に来ることを決めた時に毎週は来すぎでは?と聞いたら言われた言葉。
その言葉に甘えてたけど、無意識に休めてなかったのかもと思う。
キッチンで雑炊を作っていると寝室のドアが開いた。
「智、おはよ」
「…蓮華」
「大丈夫?熱どれぐらい?」
火を止めて智に駆け寄る。
「ごめん。片付けてくれたよね」
「いいの!智は治すことだけを考えて!!」
「…ありがとう」
テーブルに座る智。
「雑炊作ったけど食べれそう?」
「ちょっとなら」
お椀にお粥を盛って小皿に切った沢庵を乗せて智の前に置く。
「たまご雑炊だ」
「あ、ごめん。うちがいつもたまご雑炊だったから…普通のお粥がいい?」
「ううん。うちもそうだったから」
いただきます、と小さく呟く智。
一口食べるとちょっと顔が明るくなった。
「美味しい」
「よかった」
普通ならお粥なんだろうけど、我が家はたまご雑炊だった。
作りながらお粥が普通か、と思ったけどそのまま作った。
「食べれるだけでいいからね」
「ありがとう」
いつもよりゆっくり食べる智に辛いんだろうな、と思う。
「…ごめんね、私が毎週来るから休めてないのかな」
「それはない!!!」
思わずそう聞くと智はすごい勢いで否定してきた。
「むしろ蓮華に会えない方が元気でない!!」
「でも、こうやって風邪引いてるし」
「これは番組のせい!!」
詳しい内容は言われなかったけど、ざっくり言うと真冬に水をかけられたらしい。
「…それは風邪引くわね」
「でしょ?」
プンプンしながら雑炊を食べる智。
「なんか、ちょっと元気になってきた?」
「蓮華に会えたし、蓮華の雑炊食べたからポカポカしてる」
「生姜も入れたから」
「あ、これ生姜か」
ちゃんと食べる智にホッとする。
「明日はお仕事?」
「うん、午後から。今日は午前の取材だけだったから終わってすぐ病院に行った」
「そっか。じゃあ薬はあるのね」
「うん」
ご飯を食べて薬を飲んだ智は軽くシャワーを浴びて寝室に。
「水とスポドリ置いとくね。薬は飲んだ?」
「ありがとう。飲んだよ」
「じゃあ今日は私はリビングで寝るね」
そう言うと智が起き上がる。
「え?なんで?」
「一人で寝た方が休めるかと思って…」
「蓮華が大丈夫なら一緒がいい!!」
智が勢いよく腕を掴んでくる。
「智が大丈夫なら寝室で寝るけど」
「…いいの?」
「マスク買って来たし、風邪引くことないから大丈夫だと思う」
どれだけ風邪が流行っても皆勤賞ですから、と心の中でドヤる。
「ありがとう」
「うん、先に寝ててね」
智のおでこにヒエピタを貼って言うと嬉しそうに笑ってくれた。
来るなって言われても押しかけて看病します。
珍しく熱を出した智くん。
蓮華さんのおかげで元気になりそうです。
作者の実家はお粥が苦手な人が多かったのでたまご雑炊でした。
今はお粥も美味しく食べれます。
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