第51話 勇者
第51話 勇者
緑龍によって封印された銀龍…創造神。
そして蒼龍。
蒼龍によって何とか緑龍から逃れられた、リアとインダス、Sランク冒険者ルークとレイカ、そして筆頭騎士のリバイスの5名。
ルーク 「ここは?」
? 「おや、ここに来たかい」
リア 「貴方は、クアンさん!」
レイカ 「知り合いなの?」
クアン 「私の名前はクアン、この星の管理者と言えばいいかしら」
リバイス 「管理者…?とてつもなく強い事は分かるが」
クアン 「筆頭騎士の貴方に言われると何だか皮肉みたいわね」
リバイス 「俺の事を知っているのか」
クアン 「この星の住人は、ほぼ把握しているつもりよ」
ルーク (何者なんだこの人は)
インダス 「久しぶりだね!クアン」
クアン 「あら随分と可愛い姿になったわね、インダス」
インダス 「長い世間話は良いんだ、今はこの状況を何とかしないと」
クアン 「そうね、大変な事になったわ」
リア 「ギン様は?」
クアン 「完全に亜空間に閉じ込められたわ」
ルーク 「ギンさんほどの力があれば出られるのでは?」
クアン 「確かに本来の銀龍の力であれば余裕で脱出出来るわ」
ルーク 「だったら」
クアン 「出来ない理由は恐らく3つ」
レイカ 「3つ?」
クアン 「1つ目は、本来の力を取り戻せていないのよ。封印されている力もあるし身体がまだ本来の神力と魔力に追いついていない」
クアン 「2つ目は、傍に創造神がいる事。例え脱出出来る力があってもその辺の空間、創造神でさえも、もろとも吹き飛ばしてしまう為よ」
クアン 「3つ目は…」
インダス 「3つ目は…?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~数十年前~
銀龍 「クアン、お前に言っておく事がある」
クアン 「何だい?急に」
銀龍 「俺は近いうちに何者かに封印される可能性が高い」
クアン 「まさか、貴方が?」
銀龍 「転生後の弱い俺を狙って来るだろう」
銀龍 「いや、転生後の転生後か」
クアン 「まさか?地球に行くの?」
銀龍 「記憶を無くしてな、これで30年は追跡出来なくなるだろう」
クアン 「地球…まさか星自体が龍封石に限りなく近い素材で出来てるとは。」
銀龍 「おそらく、緑龍が裏切り者だ」
クアン 「緑龍が?」
銀龍 「緑龍は、真の聖女の力を恐れている」
クアン 「聖女…あぁ、十の龍を操れる能力を持つ者の事か」
銀龍 「龍がもし暴れてもそれを阻止する人間を俺が代々と受け継げさせているんだ」
銀龍 「緑龍の目的は、おそらく聖女を殺すこと…いやこの世界の人々を滅ぼすつもりだ」
クアン 「なんでそんなことを?」
銀龍 「昔、緑龍は1人の人間の少女と仲が良かった。それは本当に」
銀龍 「しかしその少女は顔にアザがあり忌み子として扱われ、人間として扱われぬ死を遂げた。」
銀龍 「その恨みをまだ持っているんだろう」
クアン 「…」
銀龍 「その復讐を果たすために邪魔な俺を封印し、聖女を倒し、世界を壊すだろう」
銀龍 「しかもさらに怪しい動きもしている」
クアン 「深く探ると勘づかれるな」
銀龍 「本気になった緑龍と、魔王を同時に戦うのは流石に俺でもキツいんだ。だからクアン、お前にやって欲しい事がある」
クアン 「何だい?言っとくけど私はここから離れられない存在なんだよ?」
銀龍 「あぁ、だからこのネックレスを付けている女の子に渡してくれ」
クアン 「普通のガラス細工の宝石だな」
銀龍 「神之守の術式を組んでるよ、その時は」
銀龍 「で、渡して欲しいものがこれ、勇者に渡してくれれば良い」
クアン 「これって、聖剣?」
銀龍 「ただの聖剣じゃないよ、さっき創造神に作って貰ったホヤホヤの剣だ」
クアン 「何かその言い方は嫌だな」
銀龍 「はい、あとマジックバック」
※マジックバック…何でも入る収納袋。今回のは容量無制限。
銀龍 「地球に行くとき、真の勇者になれそうな人探してくる」
クアン 「大変だな」
銀龍 「お前ほどじゃないさ、クアン」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
クアン 「3つ目は、真の勇者の誕生のためさ」
リア 「というと?」
クアン 「亜空間にいる銀龍、創造神がいる今、緑龍やその他の勢力に対抗する者が現れる。」
リバイス 「それが勇者ってことだな?」
クアン 「鋭いな」
クアン 「実はこうなる事を銀龍は既に予測していた」
リア 「え?」
インダス 「流石、私のご主人様です!」
クアン 「そして、リア。聖女であるお前がこれから召喚されるであろう勇者にこの剣を渡すんだ」
リア 「え?」
リア 「これカバンですけど?」
クアン 「…違う、中に手を入れろ」
リア 「重たい、」
リアが取り出した剣がクアンの家を一瞬照らす。
リバイス 「これは、聖剣?」
ルーク 「こんな剣見たことがないです」
リバイス 「ちょっと触っていいか?」
クアン 「多分持てないぞ」
筆頭騎士であるリバイスがその聖剣を持つ。
リバイス 「重、」
リバイス 「しかも魔力を吸い取られる、」
リバイス 「とても俺じゃ扱いきれんな」
クアン 「筆頭騎士でも無理とは、完全に真の勇者専用の剣だな」
クアン 「リアも恐らく渡す目的を達成したら剣は持てないと思うぞ」
リア 「え?そうなんですか」
クアン 「この剣の銘は、破魔の剣」
クアン 「緑龍は、蒼龍との戦いで相当の魔力を削られただろう。恐らく2年は動かないだろう。その間に真の勇者を誕生させてくれ」
インダス 「緑龍&魔王VS銀龍&真の勇者、だね!」
クアン 「まぁ、恐らくそんな単純な戦いでは無くなるんだろうな」
リバイス 「一先ず俺は国に帰りこの事を国王に伝えてみる。」
ルーク 「僕もギルドに報告します。信じてもらえるか分かりませんが」
レイカ 「私も1度、ギース教国に帰ります」
リア 「私は、インダス様と共に勇者様の元へ」
インダス 「そうだね!」
クアン (インダスがすっかり懐いてやがる)
クアン 「いいかい、1週間後に召喚される転生者を2年の間に真の勇者に目覚めさせるんだよ」
リア 「はい!」
次回へ続く…




