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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

クリスタルからキレイを込めて

作者: 猫の集会

 私は、毎日平凡な暮らしを送っている。

 

 仕事して帰って。

 

 それの繰り返し。

 

 他の人と少し違う所があるとすれば、私の

 

 部屋は、汚部屋だということくらいかな。

 

 片付けないといけない事は、わかっている。

 

 だけど、汚過ぎてどこから手をつけていい

 

 のやら。

 

 よし、やろうと思ってもまずゴミ袋がみあ

 

 たらない。

 

 袋を探すだけで疲れる。

 

 だから、掃除しようと思っても進まない。

 

 ゴミ袋買ってくればいいんだと思って買い

 

 に行くんだけと、帰って来たら疲れて掃除

 

 する気力も失せている。

 

 台所は、たいして使ってないのに埃が積も

 

 る。

 

 拭くと油が伸びるし。

 

 どうしたら、やる気がでるんだろう。

 

 今度の休み。やっぱり次の休み…

 

 ズルズル ズルズル

 

 いつものように部屋でダラダラと過ごして

 

 いたら、

 

 シャボン玉?

 

 どうやって部屋にシャボン玉…

 

 ふわふわ浮かんでたシャボン玉が

 

 パンッて割れた。

 

 そしたら中から、クリスタルの猫人間みた

 

 いなやつが出てきた。

 

 なんか、微妙に汚い。

 

 磨いたらすっごく綺麗に輝くだろうに。

 

「何これ、微妙に汚いし。」

 

 私が独り言をいうと、

 

「あんたの部屋が一番汚い。」って。

 

 クリスタル小人猫人間みたいなやつが言っ

 

 た。

 

 あんたしゃべれるのって言ったら、当たり

 

 前だって言われた。

 

 ふーん。

 

 それにしても微妙にそのクリスタル小人汚

 

 いし、

 

 少し所々欠けてる。

 

 なんか、もったいないって思った。

 

 そんな事を考えてたら、

 

 早く私を綺麗にしてと言われた。

 

 ?   ?   ?

 

 じゃあ、洗面所に連れて行って洗おうとし

 

 たら、まずタオル用意してって。

 

 なんなの?

 

 偉そうに。

 

 タオル出したら、

 

「ちょっと待ってよ。まず洗濯機!」って。

 

 え?そこから?

 

 仕方なく洗濯機を除菌した。

 

 薬を入れて一時間回すだけで洗濯槽が綺麗

 

 になった。

 

 タオルの他にそこら辺に落ちている洗濯物

 

 も一緒に洗った。

 

 少しだけ部屋が綺麗になった。

 

 ほんの気持ちだけど。

 

 洗濯が終わりタオルを干した。

 

 そしたら、口うるさいクリスタル、

 

 なんかさっきより綺麗になったような…

 

 気のせい?

 

 まだ洗ってもないよ⁈


「じゃ、今日は、この辺で。」

 

 パンッ。

 

 クリスタルさん?

 

 消えた…

 

 次の休み、またシャボン玉に乗ったクリス

 

 タルさんが現れた。

 

「今日は、タンス。」って。

 

 いらなくなった洋服を雑巾にするといいっ

 

 て教えてくれた。

 

 だから、タンスもスッキリしたし、雑巾も

 

 沢山になった。

 

 ついでに、床と棚を拭いた。

 

 あれ、クリスタルさん耳欠けてなかった?

 

 治ってるような気がする…?

 

 もしかして、部屋が綺麗になるとクリスタ

 

 ルさんも綺麗になっていったりして?

 

 なんだか、ピカピカのクリスタルさんを見

 

 て見たくて俄然やる気が上がった。

 

 次の休みは、まず布団干しって言われた。

 

 ベランダに出るといい天気。

 

 布団と一緒にデローンってなった。

 

 気持ちいい。

 

 うっかりウトウト。

 

 ヤバっ、ヨダレ出てない⁈

 

 慌てて口を拭いた。

 

「やっと起きた。かわいい寝顔ですね。」

 

 えー‼︎

 

 声をかけてきたのは、お隣さん…

 

 ベランダから、

 

 あらためてこんにちはした。

 

 こんなイケメンが隣に住んでいたなんて…

 

 もっと早くから毎日ベランダに出てお洗濯

 

 干してればよかったな。

 

 でも、また一つ掃除の楽しみができちゃっ

 

 た。

 

 布団を干したら次は、台所の流しって言わ

 

 れた。

 

 シンクを磨くとピカピカで気持ちいい。

 

 じゃって、クリスタルさん帰ろうとしたん

 

 だけど、シッポが少し伸びてた。

 

 クリスタルのシッポ綺麗。

 

 と思ったのも束の間、あっという間に消え

 

 てしまった。

 

 台所綺麗になったし、久しぶりにお料理し

 

 ようかな。

 

 スーパーに行きサラダとパスタの材料を買

 

 った。

 

 それからしばらく自炊していたんだけど、

 

 なんだか毎日快便になった気がする。肌も

 

 調子がいい。

 

 職場で後輩に彼氏できたんですかって言わ

 

 れた。

 

 今まで、そんな事を聞かれたことすら無か

 

 ったから、つい嬉しくて

 

「ふふふ、秘密。」

 

 なんて答えてしまった。

 

 次の休みは、お風呂掃除だった。

 

 手袋、マスク、眼鏡。

 

 換気もきちんとして汚れた所にスプレーを。

 

 その上に、ラップをかけて少し待った。

 

 うわー、頑固な汚れが落ちてる。

 

 少し感動。

 

 のこりは、こすり洗いして綺麗さっぱり。

 

 いつもシャワーだったけど、今日は久しぶ

 

 りに湯船に浸かった。

 

 一時間くらい入ったかな。

 

 そのおかげか、肩凝りが楽になった。

 

 足のむくみまでとれてる。

 

 毎日きちんとお風呂洗いしてれば、あんな

 

 に頑固な汚れつかなかったかも。

 

 これからは、湯船に浸かってきちんとお風

 

 呂を洗おう!

 

 今までは、休みの日といえばダラダラ過ご 

 

 して、お腹がすいたら出来合いのものを買

 

 って食べていたのだけれど、今は違う。

 

 早起きして、ダァッとお掃除。

 

 ひと段落して、のんびりする。

 

 前より、カラダの怠さがなくなった。

 

 クリスタルさんは、まだ休みの日にうちに

 

 くる。

 

 そして、お掃除アドバイスをくれる。

 

 何かお礼をと考えたけど、部屋を綺麗にす

 

 る事が何よりもの恩返しだと思い、休みの

 

 日は特に念入りに掃除をしている。

 

 まだ完璧じゃないんだ。

 

 だって、クリスタルさんまだ欠けてる所あ

 

 るし、少しクリスタルも濁ってる。

 

 今日は、ベランダ掃除だそうです。

 

 ふぅ。意外と土が飛んでくるんだな。

 

 雑巾が茶色だ。

 

 ベランダが綺麗になり、なんだか家庭菜園

 

 をしたくなった。

 

 ミニトマトの苗を植えて育ててみた。

 

 水をやりに外に出ると、お隣さんも洗濯を

 

 こみに出てきた。

 

 キャーイケメン。

 

 オシャレしてでればよかった。

 

 でも、最近ノーメイクでも肌がつやつやな

 

 の! 

 

「こんにちは。ミニトマトですか?」

 

「はい。うまくいくかわからないですけ

 

 ど。」 

 

「もし、うまく育ったら食べたいなぁ。」

 

 食べたいなぁだって!

 

 可愛すぎる!

 

「ぜひ、食べてください!頑張ります‼︎」

 

 イケメンがフフって笑った。

 

 カッコイイ。

 

 ただのお隣さんだけど、こうして会話して

 

 くださっている。

 

 私は、幸せものだ。

 

 たまに、そうやって些細な事をお隣さんと

 

 会話したりしている。

 

 今日は、押し入れの掃除。

 

 片付けると、意外と収納場所が増えた。

 

 懐かしのCDがでてきたから、紅茶を飲み

 

 ながら、聴いた。

 

 癒し。

 

 クリスタルさんの濁りも少し綺麗になって

 

 きた。

 

 押し入れなんて、久々に掃除機かけたな。

 

 今度は、トイレ。

 

 やっぱり、みずまわりを掃除するとなんか

 

 いいな。

 

 トイレって意外とほこりがたまる。

 

 私は、自炊するようになって少しお金に余  

 

 裕がでてきた。

 

 クマも顔にあまりできなくなったので、厚

 

 化粧する必要もなくなった。

 

 だから、化粧品代もそんなにかからなくな

 

 った。

 

 そのお金を少し貯金に回した。

 

 後の残りを何に使おうかなぁ。

 

 ふふふ

 

 なんだか、毎日が楽しい。

 

 掃除をするだけで、こんなにもかわるなん

 

 て思いもしなかったな。

 

 でも、部屋の掃除ほとんど終わったよね?

 

 まだクリスタルさん完璧にキラキラじゃな

 

 い。

 

 まだ掃除するところあるかなー?

 

 そしたら、クリスタルさんがまだまだある

 

 よ!って。

 

 カーテン、窓、玄関、壁のほこりとり、他  


 にもまだまだいっぱいあるよって。

 

 そうか。

 

 でも、掃除すればするほどいい事がある気

 

 がする。

 

 ミニトマトだいぶ大きくなったな。

 

 ミニトマトに水をベランダであげていた。

 

 ガラッ   

 

 お隣さん!

 

「おはようございます。」

 

「あ、おはよう。」

 

 もう九時なのに髪の毛ボサボサ。

 

 イケメンは、寝癖がついてても可愛すぎる。

 

「今起きたんですか?」

 

「あー、昨日遅くまで残業してて。」

 

 キュルキュル

 

 お隣さんのお腹がなった。

 

 クスッ

 

「お腹空いたんですね?このトマト大きくな

 

 ったので、今サラダにしてお持ちしましょ

 

 うか?」

 

 って言ったらすごく喜んでくれた。

 

 だから、サラダと卵焼きとご飯と味噌汁を

 

 お盆に乗せて持って行った。

 

「えー、サラダだけじゃないんですね。あり

 

 がどうございます。」

 

 と爽やか笑顔をいただいた。

 

 きゃーん 幸せ。

 

 家でクリスタルさんと掃除をしてひと段落

 

 していたら、ピンポンがなった。

 

 出るとお隣さん。

 

 わざわざ綺麗にお茶碗洗って返してくれた。

 

「朝ごはんのお礼に、一緒に映画いきません

 

 か?」

 

 なんてお誘いを受けた。

 

 ちょうどみたい映画あったけどまさか、こ

 

 のようなイケメンさんとご一緒できるなん

 

 て、夢のよう。

 

 二人共今日これから暇だったので今から映

 

 画に行く事になった。

 

 デートみたいじゃない?

 

 しかも、イケメンよ!

 

 ドキドキする。

 

 支度をして、いざ映画館。

 

 映画館に向かう途中、今更だけど自己紹介

 

 した。

 

「名前聞いてもいいかな?」

 

 って。

 

 私に少しでも興味を持ってくれるなんて。

 

「はい。雲石美月です。」

 

「くもいしみつきちゃんか。いい名前だ

 

 ね。」

 

「私は、あんまり自分の名前好きじゃないん

 

 です。雲とか石、月って…って子供の頃

 

 馬鹿にされて。それまでは、いい名前って

 

 思ってたんですけどね」

 

「あ、オレもおんなじ。名前で馬鹿にされた

 

 事ある。」

 

「え?名前聞いてもいいですか?」

 

「星野大地」

 

 うわー、なんか名前に共通点を感じる。

 

「いい名前ですね。」

 

「うん。ありがとう。」

 

 なんだろう。この会話。最高です‼︎

 

 イケメンなのに、なんか着飾ってないとい

 

 うか、なんだか落ち着くのはなぜ⁈

 

 熟年夫婦的な…

 

 映画館に着くと大地さんは、コーラを飲ん

 

 だ。

 

 飲んでるお姿も癒し〜。

 

「ん?飲みたい?」

 

「えっ、ウーロン茶ありますから大丈夫で

 

 す。」

 

「そう?なんかじっとこっちみてたから、欲

 

 しいのかと思った。」って。

 

 子供じゃないんだから。

 

「あんまりイケメンだからつい見惚れて…」

 

「え?オレイケメンじゃないよ!美月さんっ

 

 ておもしろいね。」

 

 またイケメンスマイルでました!

 

 しかも、私の名前をもう覚えてくださった。

 

 なんて幸せなんだろう。

 

 きっと、今日の運勢最強にいいんじゃない

 

 の⁉︎

 

 それから、二時間ほどイケメンさんの隣で

 

 映画を満喫させていただいた。

 

 最高でした。

 

 映画もイケメン大地さんも!

 

 帰り道、こんな所に紅茶専門店!

 

 知らなかった。後で仕事帰りよろっと。

 

 私、紅茶大好きなんだよね!

 

「あの、もしまだ時間あればこのお店入って

 

 もいいかな?」って大地さん。

 

「紅茶好きなんですか?」

 

「うん。大好き。」

 

 ズキューン!

 

 大好きが頭の中をぐるぐると…

 

 あ、いかんいかん。

 

「私も、大好きです。」

 

 紅茶も大地さんも!なんて…

 

 お店の中に入ると、

 

 アップルティーを発見。

 

 ナッツクッキーもある。

 

 パラダイスだ!

 

 思わず目をキラキラと輝かせてしまった。

 

「なんか、無邪気な子供みたいでかわいいで

 

 すね。」って言われた。

 

 か、かわいい⁈

 

 きっと、動物的な感じで言ってくれたんだ

 

 ろうけど嬉しい。

 

 それを励みに生きて行こう‼︎

 

 ありがとう。紅茶店。

 

 紅茶をテラスで飲みながら映画の話で盛り  

 

 上がった。

 

 なんて素敵な休日。

 

 それからも、たわいもない会話で盛り上が

 

 った。

 

「あ、私スーパー寄って行くのでここで。」

 

「え、ならオレも夕飯買ってっちゃおうか

 

 な。一緒に着いてってもいい?」

 

「あ、はい。」

 

 こんなにイケメンとずっと一緒で夢みたい

 

 だけど後で酷いばちあたるんじゃない?

 

 なんだか、怖くなってきた。

 

「アハハ、ならオレの方こそこんなかわいい

 

 子とずっと一緒にいるからばちあたるんじ

 

 ゃん。」

 

 と、大地さん…

 

「もしかして、 独り言 聞こえて…ました

 

 ?」

 

「うん。ばっちり。」

 

 ハァ〜 恥ずかしい。

 

 かわいいって言っても、動物的なかわいさ

 

 に違いない。

 

 私、何の動物に見えるんだろう?

 

 アルパカとか?昔、友達に似てるって言わ

 

 れた事あるし。

 

「あのっ、好きな動物なんですか?」

 

 え?急にって顔を大地さんしたけど、その

 

 後質問に答えてくてた。

 

 どうかアルパカでお願いします!

 

「んー、猫かな。」

 

 ハァ、そうですか…

 

「猫、かわいいですもんね。」

 

「うん。実家でも飼ってるんだ。」

 

「何猫ですか?」

 

「普通の雑種なんだけど、真っ黒なんだ。」

 

「あ、うちは真っ白ばっかりでした。でも、

 

 ある時一匹だけクロブチが産まれたんです。

 

 きっと、うちの近所のあのクロブチがお父

 

 さんだって…」

 

「あはは、おもしろい。」

 

 大地さん、笑顔が素敵すぎる!

 

 それからスーパーに二人で行ったんだけど、

 

 レトルトのカレーが大地さんのカゴに入っ

 

 ていた。

 

 私のカゴには、カレーの材料。

 

 どうせ私、カレー余らせちゃうからお裾分

 

 けしますってなった。

 

 なら、お手伝いしますから一緒につくりま

 

 しょうって。

 

 なんですか、コレは!

 

 イケメン独り占め。

 

 パラダイスすぎる。

 

 うちでカレーを作る事になった。

 

 部屋が綺麗でよかった。

 

 ありがとう。クリスタルサマサマ。

 

 二人で作るカレー。

 

 美味しいし、楽しかった。

 

 大地さんは、部屋に戻ったけど隣の部屋に

 

 いる。

 

 なんだか、今までより近くに感じる。

 

 今夜は、月がとってもきれい。

 

 数日後、仕事帰りにこの前の紅茶店に寄っ

 

 て帰った。

 

 今までは、レンタルビデオやかコンビニに

 

 寄るかだったけど、寄り道する所までもが

 

 オシャレじゃない?

 

 私は、どこに向かってるのかしら。

 

 明るい未来しか見えない。

 

 前は、ただただ生きてます状態だったな。

 

 来週クリスタルさんどこ掃除するんだろう。

 

 あのシッポ細くて綺麗だったなぁ。

 

 今度写真撮らせてもらおっと。

 

 そして、次のお休み。

 

 今日は、鏡を磨くよって。

 

 鏡の前で歯ブラシするととにかくすぐ汚れる

 

 んだよね。

 

 でも、すぐに汚れが落ちた。

 

 ピッカピカ。

 

 今日のお掃除が無事終了したのでクリスタ

 

 ルさんに写真撮らせてもらいたいっておね

 

 がいをした。

 

 そしたら、部屋がぜーんぶピッカピカにな

 

 ったら、いいよーっ。て…

 

 うーん。そっか。

 

 クリスタルさんが現れて以来、私は自分で

 

 も率先していろんなところを綺麗にするよ

 

 うになった。

 

 しかも、少し痩せた。

 

 これは、嬉しい。

 

 今までは、体重計ゴミに埋もれてて計るこ

 

 とさえ、出来なかったし…

 

 そういえば、お気に入りのアクセサリーも

 

 見つかった。

 

 ちょうど来月お友達の結婚式があるから、

 

 つけて行ける。

 

 結婚式当日

 

 オシャレをして家を出た。

 

 ちょうどお隣さんも家を出る所だったみた

 

 い。

 

「こんにちは。」

 

 私がにっこり挨拶をするとお隣さんが、

 

「えっ!今日は一段と美しい。まさか、デー

 

 トですか?」なんて言われてしまった。

 

 お友達の結婚式だとお伝えしたら、心配だ

 

 から送りますって。

 

 何の心配?

 

 転んで綺麗な洋服ダメになりそうな気がし

 

 たのでしょうか…

 

 でも、せっかくなのでご好意に甘えさせて

 

 いただいた。

 

 お礼を言って降りようとしたとき、手をガ

 

 シッと握られた。

 

「え?」

 

「心配だから、帰りも迎えに行きます。」っ

 

 て。

 

 何をそんなに…

 

 大丈夫ですとお断りしたけど、そしたら今

 

 夜一睡もできなくなりそうなんですなんて

 

 意味不明なことを言われた。

 

 今日の、大地さんは少し様子がへんな気が

 

 した。

 

 不眠症になってしまったら大変なのでお迎

 

 えもお願いする事になった。

 

 時間がずれる恐れがあったので、連絡先を

 

 交換した。

 

 ラッキーなんて思った!

 

 運転する姿も最高でした‼︎

 

 また、帰りも運転姿がみれるのでワクワク

 

 してしまった。

 

 お友達は、とても綺麗でキラキラしていた。

 

 少し前までの私は、結婚願望なんてなかっ

 

 た。でも、今は結婚もアリなんじゃないか

 

 って思っている。

 

 相手いないんですけどね…

 

 いつも式では、飲み食いをひたすらしてい

 

 たんだけど、やたらと新郎のお友達や会社

 

 の方に話かけられた。

 

 モテ期が到来したのでしょうか⁈

 

 なんだかとてもしつこい男の人がいた。

 

 お酒が入って歯止めが効かなくなってしま

 

 ったのでしょう。

 

 ずっと式がおわってもついてくる…

 

 なんか、怖いんですけど。

 

 どうすれば…

 

 困っていると、

 

「美月さん、お待たせしました。」

 

 車から、大地さんが現れた。

 

 すると、すごい勢いで酔っ払いが逃げてい

 

 った。

 

 なんて事でしょう。

 

 そんな一瞬で退治してしまうなんて、大地

 

 さん。

 

 本当にありがたい。

 

 大地さんがお迎えに来てくれなかったら、

 

 さっきの人、家までついて来たんじゃない

 

 かって感じだった。

 

「大地さん、お迎えまでわざわざありがとう

 

 ございます。」

 

 深々お礼をした。

 

「こちらこそ、なんか無理矢理なことをして

 

 ごめんなさい。」

 

 と謝られてしまった。

 

 お迎えに来てもらってるのに、謝られるな

 

 んて思いもしなかった。

 

「昼間暖かかったから、薄着でしたけどこの

 

 まま、歩いて帰っていたら凍える所でした

 

 よ。本当助かります。荷物もたくさんなの

 

 で。」

 

 にっこりすると、大地さんがホッとした顔

 

 になった。

 

 家に着き、荷物をドアの前まで運んでいた

 

 だいた。

 

 おやすみなさいの挨拶をしてさよならをし

 

 た。

 

 壁一枚のすぐ隣にいるけど。

 

 お休みの日、冷蔵庫の掃除をクリスタルさ

 

 んとした。

 

 夏に大掃除するより、冬に冷蔵庫は掃除す

 

 るといいんだって。

 

 電力的に。

 

 掃除も終わり部屋もスッキリしたけど、何

 

 か、部屋が物足りない。

 

 なのでツリーを買う事にしました!

 

 ちょうどツリーを玄関に入れようようとし

 

 た時、お隣さんも帰ってきた。

 

 素晴らしい偶然。

 

 イケメンをみるだけで癒される。

 

「ツリー買ったんですか?」

 

「はい!せめて雰囲気だけでもなんて思いま

 

 して。」

 

「クリスマス予定ないんですか?」

 

「もちろんです‼︎」

 

 毎年ぼっちだから、今年もいつも通り過ご

 

 す予定だ。

 

 全然寂しくない。慣れっこになっていた。

 

 すると大地さんが


「もし、よろしければ一緒にクリスマス過ご

 

 しませんか?」と。

 

 え⁈クリスマスを?この私と⁉︎

 

 びっくりして、目がキョトンとなってしま

 

 った。

 

「あ、ごめんなさい。また、あつかましいこ

 

 とを。」

 

 我に返った。

 

「あの、私なんかとクリスマス過ごしていて

 

 いいんですか?」

 

「もちろんです。むしろ美月さんと過ごした

 

 いです。」

 

 大地さんは、うっかり言ってしまい恥ずか

 

 しい…みたいな顔になった。

 

 こんな私と。

 

 ありがたすぎます‼︎

 

「なら、私ケーキ焼きますね。」

 

「じゃあ、ご馳走持って行きます。」

 

「はい!ありがとうございます。」

 

 そんなこんなでクリスマスをお隣のイケメ

 

 んさんと過ごせる事になった。

 

 クリスマス当日

 

 クリスタルさんが言った。

 

 もう大丈夫だねって。

 

 家中ピッカピカ。

 

 クリスタルさんもピッカピカ。

 

 どこも欠けていない。

 

「さ、写真いいよ。」

 

 クリスタルさんがポーズを取った。

 

 カシャ。

 

 すっごく綺麗。

 

 その写真を待ち受けにした。

 

「クリスタルさん。本当にありがとう。」

 

「こちらこそ、こんなに綺麗にしてくれてあ

 

 りがとう。じゃまたねっ」て。

 

 ニシシってあやしく笑った。

 

 そう言ってピンッて消えた。

 

 ピンポン

 

 大地さん。

 

「はーい。」

 

 私は、ピッカピカのお家で大地さんとクリ

 

 スマスを過ごした。

 

 ピカピカになったクリスタルさんは、今私

 

 達の新居にいる。

 

 大地さんとの新婚旅行先でクリスタルさん

 

 を見つけた。

 

 クリスタルさんは、もう喋らないけど

 

 見つけた時、待ってたよって言われた気が

 

 した。

 

 毎日、居間でピッカピカに輝いている。

 

 

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