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南部勢力の統一と、知らんうちに決められた結婚話

 まずは攻めやすく、街として大きいアレン様のところを攻めようとしていたら、使者が相次いで来た。


 まずはアレン様のところから。

 ここは残兵の殆どが降ってきた。

「我々は家族や同士の仇を討ちたい。宮殿作りの為に付き添っているのではない」

 そうです。

 アレン様、人望ボロボロでした。


 そしてコウル様からは順賊の残党の一部が投降。

「もうコウルはだめですわー」とあっけらかんと言うザンリという将軍。


 これに対してどうするか?

 なのだが、リジンジョウさんは

「我等三柱に序列はありませんが、奴らと並列ではマズい。奴らはコウルの時と同じ様に好き勝手に暴れるでしょう。私か、ウェインの下に付けるべきです」

「私もそれが安心します。でもそれで納得いくでしょうか?」



「納得いかなければ殺せばいいだけです」



 そんな物騒な話で終わり。

 ザンリさんも特に騒がなかった。


 大西軍は15000。

 ザンリは5000。

 アレン様の勢力も5000。


 これにショウサとケイリンとムリョウの守備隊併せて5000。


 兵は三万に膨れ上がった。


 ショウサの守備隊1000しかいなかったのが今や三万。それでも相手は100万の兵士を擁するミィンジャオ国を滅ぼした満賊である。

 まだまだ兵は足りない。


 でもアレン様とコウル様にとっては圧倒的な差になった。


 そして大西軍が二王に迫った頃に


「話し合いを持ちたいとのことでして……」

 レン様にご報告。


 味方は逃げるわ、敵は一気に迫るわでパニックになったようです。


「……いいだろう。ヤンお主が判断するのだ……。俺も無論行く。だが判断はお前がくだせ」

「……はい。お兄様……」

 ヤン様、今日も半泣き。


 いや、あのですね。レン様が厳しいんです。

 王宮にいたときにこんな表情見たことない。

 でも


「……お前はミィンジャオ国を背負うのだ。恨むなら恨んでいい。それでお主が王になるのならば、俺は喜んで恨まれよう」


 愛情と期待の裏返しなのです。

 だからあまり止められない。


 そして「シャオ。お主も来るのだ」

「はい。分かりました」



 話し合いは国境。いや、国境は無いんですが。なんとなくの範囲。


 そこにテントを張り机と椅子を用意する。


 レン様は椅子に真っ直ぐに座っている。歩けないが座れるのだ。姿勢が良くて威厳を感じる。


 そしてヤン様も同じように座っている。

 座る際も「座り方も王に相応しい座り方がある!」とレン様に怒られながらやっていた。


 三勢力の兵士に囲まれる中、三人の王が揃った。




 まあ、あのですね。今までのことで王族に期待なんてしてませんでしたよ?

 ろくでもねーな。と思ってはいました。

 ですが


「その脚で政務が取れるのか!?」

「ヤンはまだ幼い!王位継承権もない!」

 言いがかり&脅迫で話し合いにならない。


「……」レン様は黙っている。

 ヤン様も。


「とにかく兵と財宝、食糧を寄越すのだ! そうすれば満賊など蹴散らしてくれる!」

「そうだ! お主らはどちらにつくのだ!!!」


 いつの間にか二王のどっちかに付くのか議論に。


 しっかしなぁ。こんな醜い争いごといつまで聞かされるんだか。


 もう飽きた。


「いや、面倒くさいんでお聞きしますけど、このまま捕虜としてそれなりの待遇で余生を過ごすか、交渉決裂で動物軍団になぶり殺しになるか、どっちがいいです?」


 突然口を開いた私にギョッとした目で見る二王。


「アレン様は兵士が逃げて戦いにならない。コウル様もザンリ抜きでどこまで戦えると思っているのですか? 元順に所属した面子で一番話が出来たのがザンリとお聞きしてますよ?」


 今回投降したザンリさんは、リジンジョウさんも知っている人だった。

 西軍と順軍は元々一緒だったそうで。


 リジンジョウさんは「ザンリは狡猾です。狡猾ということは、まだ人の話が聞けるということです。我らもそうですが、敵と味方の区別も付かないアホウが多いのです。ザンリは警戒すべきですが、まだ話が通じるだけマシだと思ってください」

 とのことです。


 現にこの話し合いに順の残兵はいないそうで。


「女風情が口をだすな!!!」

「何様のつもりだ! 下人が!!!」

 激昂する二人に


「……シャオは下人じゃない!!!」

 ヤン様が叫ぶ。


 そしてレン様が

「……シャオの言葉の通りだ。降るか、戦うか。同族は殺したくない。だが死にたいのならば仕方ない。どっちだ?」

 レン様の言葉に絶句する二人。


 そしてテントの外から

『我等は南西軍につくぞ!!!』

『もう身内の殺し合いはうんざりだ!!!』

『そうだ!!! 継承権も正当で! 勢力もある南西軍でまとまるべきだ!!!』


 兵士達の騒ぎ。

 青ざめた二王に


「我等、王族は兄弟と同義。兄弟に相応しい待遇をする。以上だ」


 そして二王は兵に連れられていく。

 残ったのは私とレン様とヤン様。

 すると


『パシンッ!!!』

「い、いたいっ!?」

「レン様!?」

 座ったままヤン様の頬を叩くレン様。


「……何故シャオと同じことが言えぬのだ。あれはお主が言うべきことだ。王となる覚悟が足らなすぎる……」

「す、すみません、お兄様……」


「ヤン、何度も言う。これは国難だ。もはやお主以外に背負える人間はいない。だから早く覚悟を決めろ……いいな」

「……は、はい……」

 レン様も辛そうな顔をする。


「本来ならば、時間をかけて、ゆっくり諭したい。だが時間は無いのだ。こうしてる間にも満賊がまた南下してくるかもしれん。早く王として全てを身につけろ。そのために必要なのは覚悟だ」




 二王の勢力も取り込む事になった。

 街はかなり歓迎ムード。

 理由は、無茶な宮殿作りと、味方のはずなのに勝手に略奪してまわる順賊軍団を止めたからである。


 順賊軍団は大西軍が迫ると武器捨てて降参。

 大西軍の指揮下に入った。


 一方で私達はまだショウサにいる。

 レン様の脚を癒やすのに薬草が必要なのだが、それはショウサでいっぱい取れる。


 そして捕らえた二王を閉じ込めるのにもショウサは最適だった。


「快適ですか?」

「そんなわけあるか!? なんだこの虎達は!?」

 二王はバラバラの家にいてもらっているのだが、この街は動物ランド。平然と動物が歩いてる。


 二王が言ってる虎というのはデッカい猫のこと。虎とは違うのだが


「まあお元気そうでなによりです」

 お世話はショウサの人達にお願いしている。

 女性とかつけると酷いことしそうだったので、虫を食べながらお世話をしてくれ。と頼んだら青ざめた顔でなにもしないそうです。


 ヤン様もどん引きしてたからなぁ。虫食。


 もちろん二王には虫以外の食事を出してます。



 一方でヤン様。

「しゃおーーーーっっ!!!」

 顔を見るなり抱きついてくる。

「ヤン様、お疲れ様です。終わりましたか?」

 毎日レン様からの猛講義。


 終わるたびにこうやって泣きついてくるのである。


「うううぅぅぅ……きついよぉぉぉ……」

 半泣きのヤン様。

 不敬にも可愛いなぁと思ってしまう。

 まあレン様はキツい。でも分かるからなぁ。

 早く弟を育ててあげたい。

 そして弟を育て上げることが両親の仇になると。


「ヤン様、温かいお茶を飲みましょう。まずは身体を温めることですよ」

 そう言ってヤン様とティータイム。


 それでもヤン様はまだ幼い。愚痴も聞いてあげないと潰れてしまう。


 私はお茶を入れながらヤン様とお話をしていた。



 レン様はピヨ達がお世話してくれていた。

 最初は遠慮していたが、今ではこれこそが私達の使命だ、とばかりに混ぜてくれない。


「ぴよぴよー。レン様にお話があるんだけどー???」

 南部中央部の占拠は終わった。北部と南部は大河によって別れている。

 後は南東部さえ占拠すれば大河での迎撃戦に変わる。


 そうすれば川沿いの街以外は平穏になるのだ。


 本当はリョウン地方から回り込めるのだが、あそこは山道が険しく、補給先として機能していたリョウンが完全に滅んじゃったので

「ジュウレンに兵を展開しておけばいいかと」とのこと。


 なので南東部どうします?

 という相談、というかなんで私がそんなことしとるのだ。いや領主さんたち、みんな私に言うんだもん。


「今脚を薬草で浸しているの。もうしばらく待ってて」

 しかしピヨ大人しくなったなぁ。

 いや、まああんなことがあれば……

「ぴよぴよー、なんか私レン様から遠ざけられてなーい?」

 なんか最近そんな感じがする。


 報告終わったら「ヤンと相談して決めろ」か「こうするようにヤンに伝えろ」で話が終わり。


 私助け出してからあんまり話してないのです。


「……ああ。まあ、経緯が経緯だし……申し訳ないんじゃないかな?」

 ?

「けいい?」

 なにが?

「……まさかと思うけど、婚約破棄されてこっちに流されたこと忘れてるの……?」

 ……


「あったねぇ。そんなことが」

 だってヤン様は逃げてくるし、国は滅ぶし。

 そんな昔のこと忘れました。


「……まったく、凄いわね。それとヤン様と出来るだけ時間作ってあげたい兄心でしょう? 教育が長いからね。せめて教育以外の時間はヤン様とシャオは一緒にいてほしいって」

 ……?


「……なんで???」

 ピヨはもの凄い変な顔をして

「そら、ヤン様の結婚相手になるんだからそうでしょうが」


 ……?

 ……???


「はあぁぁぁ!!!???」

 私の絶叫が街中に響いた

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