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目指せチュウレイ

 軍に会いに行く。

 それはいいんですが。

「は? もう旧王都を攻めてる???」


「はい。リンアンに展開している軍は北方の情報を見張っております。どうも二手に別れて旧王都を攻めているようで……」


 命令する前にもう攻めてました。

「旧王都は遠いしなぁ……」

 レン様を助けに行った時は動物軍団でいきましたからすぐでしたけど、普通に行くと滅茶苦茶遠い。


 旧王都に行ってる時間はないので

「チュウレイなら真っ直ぐ北に行けばいい。そっちに向かいますかね」



 チュウレイに行くことにして本当に良かった。

「……ま、まだ着かないの……?」

 ショウサを出発して10日。動物軍団なら既に旧王都に着いていたころ。


 馬車で急いで行ってくれてはいるのだが、それでも遅い。


「すみません、これでも急いでいるのですが……」

 ゼンウラにレン様とヤン様連れた時はもっと時間がかかっていたから実際そうなんだろうなぁ。


「本当に申し訳ないです……責めているわけではなく……」

 これが実情なんだろうなぁ。

 あの人達がこれだけ暴れまわれている理由はあの機動力。


 既にゼンウラも過ぎ、チュウレイ近くにはいるのだが、まだ3日ぐらいはかかりそう。


 馬を休ませる為に休憩。

「……そう言えばウェインさん達、動物休ませる時間は長かったなぁ」

 馬車は結構休まず進む。でも動物軍団は一気に突き進んで、長時間休ませる。


 そのあたりのメリハリも大きかったのかもしれない。


 そんな事を考えていると

「シャオ様! 馬車にお戻りください! 山賊かも知れません!!!」

 え?


 振り向くとそこには武装した男達十数人。

 え? ヤバくないですか?

 だってこっち護衛合わせても5人ですよ?


「金を出せ」

 向こうの要求はシンプル。


「大人しく出しましょうよ。まあ大した金無いですが」

 食糧買う金とかでそれなりに積んではいる。

 足りなくなったら軍から借りましょう。うんうん。


「話が早いな」

「シャオ様! 山賊共の言いなりになるなど、なにをされるか……」

 山賊、山賊……


「そう言えば山賊って、どちらの方なんです? ここらへんって治安悪かったでしたっけ?」

 満賊が占領する前はともかく、占領後はゼンウラ付近は平和だったと聞く。


 ゼンウラがこちらに付いてからは軍の衝突区域として、そもそも人の往来が無くなっていたはず。

 人が通らなきゃ山賊さんも商売あがったりでは。


「……随分と気の強い娘だな。我らはリャン族だ。このあたりを縄張りにしている」

 リャン族。


「ああ、北方の。女神信仰されているんでしたっけ?」

「……? ああ、そうだが……まて。なんだその余裕は? 我等は山賊。お主は女だ。なぜそんなに落ち着いて話をしている」


 なぜ?

 うーん。

「いや、せっかくなんでお聞きしたいんですけど。女神信仰の女神って降臨したってお聞きになっています?」


 目を見開く山賊さん達。

「……ま、まさか……」絶句する山賊のリーダーさん。

 そして


「かしらぁ!!! そうだ! シャオ様だ!!! トハンの連中が言っていたのはシャオ様ですよ!!! 同じ名前だ!!!」

「女神様だ! トハンではなく! 我等リャン族の元に向かわれていたのだ!!!」


「女神様! ご無礼お許しください!!!」


 一斉に土下座する山賊の人達。

 ええーっと?


「め、めがみ……ほ、本当に……?」

 山賊のリーダーさんだけがそのままの姿勢。


「いや、別に信じてとかじゃなくてですね。その話をせっかくだからお聞きしたいなぁって」


 そのリーダーさん。そのまま土下座。

「申し訳ありません!!! わざわざ向かって下さっている最中に!!! このようなご無礼を!!!」

 いやいやいや。


「すぐにお迎えを寄越します! 大変に失礼致しました!!!」


 そのまま帰って行く山賊さん達。

 ええーっと?


「……た、助かった?」

「このままここにいると連れ去られそうなんですけど、動けます?」

 話しているうちに、もう夜。夜の移動はあのウェインさん達すらしていなかった。


「夜は無理です。道を踏み外します」

 ですよねー。



 結局そこで一晩いたのだが、幸い山賊さん達も帰って来なかった。


 そのまま予定通りチュウレイに向かっていく。


「リャン族とも話は必要なんですよねー」

 涼の復活。

 同じ女神信仰でもトハン派がいる。

 トハン派はかつてあった涼という国の復活。


 ヤン様の必要性で別れてしまう。


「軍と話をしたら、次はリャン族とかな?」

 そう思っていると

「しゃ、シャオ様!? ご覧ください!!!」

 馬車の外からの絶叫。


 そこには

「……はい?」

 山道いっぱいに広がる大勢の人々。

 そして多くの楽器。


『女神様!!! 歓迎いたします!!!』

 山中に響き渡る大声で、彼等、リャン族は叫んでいた。

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