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初代の血筋

 私の問いにダオは目を瞑る。

「……なにもかもご存知ですか……となれば全てをお話しましょう。ライディラ様がなにを目指されていたか、について」

 レン様の食事に毒をもったのはダオ。


 遅効性の毒だが、今のレン様にはそれで十分キツい。

 でもそれは女官の毒味で気づかれた。

 そして、なぜそんな事をしたのか。


 今まで聞いた話を総合すれば


「シャオ様。先に言いますが、ライディラ様が自殺されたことに疑いはありません。ライディラ様が死なないと、ミィンジャオは蘇らないのです」


 蘇る?


「1からお話します。この愚鈍なダオがどこまで旦那様の思想を伝えられるか自信はありませんが……既に亡くなったライディラ様のご意志を伝えることだけは致します。シャオ様。旦那様がやろうとしたことは……」

 ダオは唾を飲み込む。


「血筋をミィンジャオの初代に返す。ミィンジャオは全てを終わらせ、初代に戻すのです」

 初代に戻す。初代?


 初代……

「ああっ!!! まさか!? ヤン様のお母様の血筋のことですか!?」ピヨが絶叫する。


 血筋?


「……私は女神信仰など信じてはおりませんでした。旦那様がどこまで本気だったかも分かりません。ですが、私は身近でシャオ様とヤン様を見守っておりました。今ではあの教えは正しかったのでは? と思っております」


 待って。


「ピヨ、ヤン様の血筋ってなに?」

「……ええっと? ミィンジャオの歴史はご存知ですよね?」

 歴史。歴史。


「初代ミィンジャオ国王の後継者、今では名前の消された本来の二代目リオ様。これに対して初代の甥にあたり、本来の二代目リオ様の従兄弟にあたるサルヴァ様がクーデターを起こされ、王位を簒奪された」

 ああ、そうだ。そういう歴史があった。


 でも

「ヤン様の血筋って?」

 初代って200年前の話ですよ?


「リオ様は殺されましたが、その姉妹は生かされたのです。その姉妹の血筋は特別に擁護されていた。そのうちの一人がヤン様のお母様」

 レン様とヤン様は父親は同じでも母は違う。


 そこらへんは知っていたけれど。


「そうです。そしてシャオ様。あなたのお母様もそうです。ミィンジャオ国初代の直系の血筋のお母様なのです」


 ……???

 はい?


「え!? 私とヤン様って血繋がってるの!?」

「ご安心ください。直系と言いましたが、なにしろ200年経っております。それぞれの血の繋がりは薄い」

 なるほど。というかお母様がそうだったの知らなかったんですけど。


「女神信仰の教義は『一度全ては破壊される』のです。ミィンジャオの国は一度は完全に崩壊した。次は古い血です。直系以外の血は滅ぼす」


 つまり、他の王族を殺そうとしていると。


「私が女神信仰は正しいのか? と思った理由の一つがアレンとコウルです。あの二人も初代直系の血を引いているのです。苦戦はしていましたが、結果的に最後まで抵抗出来ていたのは直系の血筋だけなのです。レン様はこちらが助け出さなければ死んでいた。女神信仰の通り、古い血筋は全滅し、本来の血筋が救い出すのです。後はレン様だけです」

 後はレン様だけ?


「バカな。まだ北方には王族の方が……」

 あ、いや。違う。報告が来なくなった軍は

「……まさか、今殺して回ってるの?」


 ======================


「キャハハハハハハハッッ!!! 王族の血は美味しいなぁ!!!!」

 絶叫して笑うソンケワン。


 ソンケワンとウェインの部隊は北西から北東に向かって進撃していた。

 だが目的は大清の制圧ではない。

 途中にいる、ミィンジャオ国の王族を皆殺しにすること。


 今はミィンジャオ国の王族はレン、ヤン、アレン、コウルの4人が南にいて、後は皆北方に連れて行かれていた。


「……」ウェインは口を開かない。

 だが、冷徹に王族を守ろうとする人々を殺していた。


「安心するといいよ! 僕の血肉になるし! ミィンジャオは復活するんだ! 女神は降臨し! 世界は救われる!!!」

 絶叫し、襲いかかるソンケワン。


「……そうだ。世界は救われる。全ては教義通り」

 ウェインは小声で歌うように囁いた。


 =======================


「ザンリ、いよいよだ。シャオ様に女神が降臨される。私はその儀式を行うためショウサに戻る。ここは任せた」

「任せた。って? うちらだけで包囲しろってことっす?」

 ザンリはリジンジョウに答える


「もう戦いは終わりだ。包囲も解いて構わん。そもそも我々は攻城戦などする気はなかった。ラムダをここに釘付けにしておければそれで良かったのだ。もう目的は達した。ウェインの移動速度にはもう追いつけん。王族は殺し終わり、王都は陥落する」


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