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地理もロクに憶えてないヤン

 キス。接吻。

 なんというか。


「しゃおーーー♪」

 今日も抱きつくヤン様。


 昨日のキスがとても良かったらしい。

 ワクワクした目でこちらを見ている。


 なんですが今はまだ昼です。


「ヤン様、あのですね。あれ毎回も毎日もやりませんからね?」

「えーーー」


 まあそれはともかくだ。


「ヤン様。レン様から言われてまして」

 なんか朝呼び出されてなんだろ?

 と思ったら


「そろそろ私から厳しく伝える時期は終わりにすべきだと思う。シャオから優しく聞いてもらっていいか?」

 と言われたのである。


 なにが? と言うと


「大陸を9つに分けます。これを見ながら答えてください」

 北東部、北部中央、北西部

 中央東部、大陸中央部、中央西部

 南西部、南部中央部、南東部

 それぞれを区域分けした地図を見せる。


「えーーーー。なんでシャオがお勉強なのーー???」


「その代わり今日からしばらくレン様の講義はありません」

「ほんとうにっっ!!!!」

 スッゴい嬉しそう。


 厳しかったからなぁ。


 んでお勉強。

 勉強というか、なんというか。


「ゼンウラはどこでしょう?」

「???」

 うむ。


「……ヤン様?」

「……ええっと……」

 レン様、厳しく教えても身に付かないと最近悩んでおられていたそうで。


 いや、それにしたってですね。

 お国の地理もロクに憶えてなかったらしい。


「我々が抑えている領地はどのあたりなのか?とかが分かると、ゼンウラの位置もわかるかなーと」

 今はリョウンとゼンウラが最前線。

 特にゼンウラはこの前行ったばかりなんですが。


「……うーんと……? ここ?」

 おっきい丸を描くヤン様。


「……ええっと……?」

 なんかど真ん中に円を書かれる。

「……ヤン様、それ今いるショウサの街が入ってませんよ……?」

 自分のいる街から分かってなかった。


「……地理、難しい……」

 うん。レン様、ご苦労が分かりました。



 取りあえず一からゆっくり教えていく。


「今いるのはショウサ。南西部の街です。南西部では比較的中央によってはいますが。ここより西を『リョウン地方』と言います。リョウンという大都市を抱えるこの地方は縦に長いです。山に囲まれた土地でして、北西部の南側、中央西部、そして南西部にまたがって存在します」

 地図に書き込むが、デッカいハテナを出したまま固まるヤン様。


「山の奥にはトハンという蛮族がいます。現状の私達はこのリョウン地方とトハンを抑えています」

 地図を塗っていく。


 ヤン様は固まったままだが


「次にこの大きな河。リョウン地方の山から東の海にかけて流れる大河で大陸は分けられています。この南部は全部こちらが抑えています」

 これも塗っていく。


「そしてこの前行ったゼンウラ地方はこちら」

 大陸のど真ん中を指差す。


「あれ?こんなに真ん中だったの?」

「はい。ただゼンウラ地方も広いんです。ゼンウラ地方全域を抑えたので、リョウン地方と接しました。北部中央部の南側まで抑えています」

 また塗っていく。


 その塗った地図を見せる。


「これが現在の私達のエリアです」

 南部は全て。中央部は西と中央。北部は西と中央部の南側。


 なんでこんな塗り絵をしたか。


「うん。そーなんだー」

「はい。で、次はどうします?」

 それにまたデッカいハテナな顔をするヤン様。


「因みにここが私達がいた王都で、今は敵の王都です」

 北東の王都を指差す。


「えー、こんなに北にあったの!?」

 そうなんですよ。


「……うーんと? ええっと……? 今は軍はゼンウラにいるんだよね?」

「はい。そして敵は北西の大都市チュウレイ……ここですね、ここに籠もっています。大軍ですから下手をすればリョウンとゼンウラは襲われる状況です」


 ヤン様は指をゼンウラからゆっくりチュウレイに移動させるが


「うーん?」

 そう言って一気に王都に向かう。


「……なぜ?」

「いや、その……僕らにとっては王都を取り返すのがなによりも優先することなのかな? と思って」

 なるほど。そういう考え方もありますね。


「素晴らしいですわ。そうやってちゃんとお答えになればレン様もご安心されます。その上で現状をお伝えしますね」


 そのあとヤン様に軍の食糧問題、補給の重要性などを話していったのだが


 まさか、軍が勝手にヤン様の指と同じコースで動いているなんて思いもしなかった。



 =====================


「……???」

 ラムダは城の上から包囲網を見て疑問に思っていた。


「城攻め下手くそって言ったって、いくらなんでもおかしくね?」

 なにしろ城攻めに必要な道具からない。


 そしてなによりも

「ソンケワンは? ウェインは?」


 リジンジョウの旗と本人らしき姿、そしてザンリと思わしき人物は上から見える。

 だが目立つ二人が見えない。


 防護に回すには不適すぎる二人。

 ソンケワンは暴れることしか出来ないし、ウェインは疾走する部隊だ。この二人がいない。

 つまり


「はあ!? まさかこの馬鹿やろう共!? 王都に向かったのか!?」

 青ざめるラムダ。


「な、なんですと!? 追いかけますか!?」

 部下が話しかけるが


「……いや、まて。この包囲網の兵士の数はいくらだ? 西軍と順軍の殆どじゃないか?」


「……そ、そうですね……」

「……王都にはまだ精鋭が多く残っている。下手に打って出れば思うツボだ。やつら不得意な攻城戦なんかやらずに平地で戦おうとしている。その手には乗るか。このまま睨み合え。リジンジョウとザンリをここから離すな」


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