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ファーストキッス

「休戦の話は無くなった。後は暴れるだけだ」

「でもチュウレイにいるラムダと攻城戦ってきついっすねー」

 元順のザンリが答えるが、リジンジョウは首を振る。


「ザンリにはもういいだろう。ここまではライディラ殿の策通りだ。ラムダはチュウレイに籠もり、我々はこれを攻める。リョウン地方を占拠し、この形にしてから我々はチュウレイを無視して王都に攻め込む」

「はあ!? 正気っすか!?」

 驚くザンリ。


 ゼンウラはリョウンよりも王都に近いと言っても大陸の横断に近い。国の端から端。


「ゼンウラは想定外だった。ここから出発だと疑われる。リョウンのウェインと合流し、チュウレイを包囲してから一気に王都に全力だ。休みなく走り抜ける」


「……な、なんでそんなことを? 王都を目指すにしても、普通にゼンウラを経由して攻めればいい。いや、もっと言えば。王都を目指すだけなら、リンアンから北上すればいいじゃないっすか。距離を考えたら西から東に攻め上がるよりも、南から北に行ったほうが距離は短い」


 それに首を振るリジンジョウ。


「北の大地に兵をならさないといけないのが一つ。そして次が重大だ。これはシャオ様には絶対に伝えられないこと」

 リジンジョウは、打ち合わせにも入らず血まみれのまま肉を食べているソンケワンを指差し


「ミィンジャオの王族は北の大地に隔離されている。それは離れて分けているが、ちょうどチュウレイから王都にかけて東西に散らばっているのだ」


「??? それを助けだすっすか?」

 リジンジョウはソンケワンに指した指をそのままにし


「ソンケワンに殺して回ってもらう」


 =====================


「ふ、フワン様が殺された!?」

 レン様、ヤン様、そして私や女官はショウサに引き上げた。

 レン様の体調もそうだし、ゼンウラとリョウンを取ったと言っても、本拠地は南部である。ショウサにいると色々便利。


 そこに「フワン様が殺された」と報告が来たのだ。


 フワン様はショウサに連れてくるとなにやらかすか分からない&ヤン様が怯えていたので、とりあえずゼンウラとショウサの間の都市、ケイリンにいてもらうことにしていた。


 ケイリンは南部中央の都市でそれなりに兵士もいる。

 ゼンウラに残したままだと、またなんかやらかしそうなのでとりあえず間の都市で監視しましょう。


 としたのであるが


「……信じられません。誰に殺されたのですか?」

 脚を砕かれても筋肉で補強して普通に歩けるようになるぐらいの人である。

 マトモに殺そうとしても難しいのではないか?


「毒、だそうです。口から緑の液体を垂れ流していたと……」

 毒?


「ま!? まって!!! ケイリンに王族を毒殺するような人間が混ざってるってこと!?」

 元々連合軍だ。忠誠心なんてたかがしれてる。


 それでも王族を毒殺するような人間が混ざっている恐怖は改めて考えるとすごい。

 それにオウコモラはスパイだとレン様は仰った。


 スパイが堂々といるのだ。つまり、毒殺するような連中は近くに潜んでいるかもしれない。


「毒味も含めて考えましょう……」


 とりあえずそれをレン様とヤン様に伝える。


「……なに!?」

「そ、そんな!?」

 二人ともびっくり。問題児とは言え御兄弟ですもの。


「毒だと? なぜフワンを殺す必要がある。あやつはゼンウラでしっかり謝罪した。現状で殺される動機などない。なぜだ? 誰がやった?」


 レン様は必死に考える。

「我等が仲間割れをした、と敵が宣伝するために殺させたのでしょうか……?」

 動機としてはそれだが


「ならば殺す先はアレンかコウルだろう。実の兄弟よりも王位継承権は上位だぞ? そっちの方が劇的だ」


「南部に毒を盛るような人間がいることが重大です。レン様はこれからピヨ達が管理する物以外は口にされないでください。ピヨにはこれから伝えますから。ヤン様は私以外の者からは口にされませんように」


 その言葉にヤン様は顔を赤らめて

「うん!」

 嬉しそうに笑った。



「ピヨ、毒はなにに入れられるかも分からない。本当に注意して」

 町の人の善意の食糧にすら混ぜられるかもしれない。


「ええ。幸い毒味してくれる犬は沢山居るわ。十分警戒するわね」

「レン様は体調がまだ優れない。遅効性の毒も致命的。毒味だけでは防げないかもしれない。使えるものは全て使って防ぎましょう」



 ここで問題です。

 ピヨ達はこの難問にどうやって立ち向かったでしょうか?


 答え:口移し。


「おまえらよー!!! なんでそうなるんだよー!!!」

「私達が身体で確かめてからが確実ですわ。それにレン様は北から戻ってきて身体の調子が優れません。咀嚼して柔らかくして食べて頂いた方がいいのです」


 ピヨは平然という。


 いや、普通に窓から見ちゃったんですよ。

 ピヨ、顔真っ赤にして接吻してるから、なに食事の時間に盛ってんだ? と思ったら食事でした。という。


「ヤン様にもしてあげたらどうですか?」



 部屋に帰ったらヤン様はやる気満々でした。

「シャオーー!!! あれやりたーーーい!!!」

 ニコニコしながら芋を差し出すヤン様。


 いや、まあ。うん。ピヨもやってたし……

「そ、その。毎回はダメですよ……?」

 私はゆっくりと芋を噛み締めていき、一度飲み込む。


「あれ?食べちゃった?」

「毒味ですから。最初は私が食べるんです」


 ゆっくりと咀嚼し

「……じゃ、じゃあ。その……」

「うん♪」

 ぴっとりとくっつくヤン様。


 あれ、ふと思ったけどこれ初めてヤン様とするキス?


 なんか頭の中がグルグルしながら、そのままヤン様と唇を重ねた。

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